恥をかくのはチャンス! 今日から自分を変えるためのマインドセット
公開日:2021/8/16
恥も“投資”のひとつ。ビジネス書『いくつになっても恥をかける人になる』(中川諒/ディスカヴァー・トゥエンティワン)から受けた印象だ。転職やパラレルワークも当たり前の時代。恥の大切さを伝える著者は「長い社会人生活。ひとつの領域に限った知識やスキルを追い求めているだけでは、手詰まりになってしまう」という。
人それぞれにある“恥”の2タイプ
著者いわく恥には“2つ”のタイプがある。ひとつは、他人に「こう見られたい」と思う理想から外れたときに出会う「外的恥」。もうひとつは、心の中で「自分はこうあるべき」と感じている美学から外れたときに生まれる「内的恥」だ。
外的恥を感じやすいのは、他人の目を気にして最初の一歩を踏み出せない人。その反面、他人の気持ちを汲み取れる「優しい性格」ともとれる。このタイプの人は「行動したあとに起こりうる悲劇的な状況」と「行動したあとに起こりうるメリット」を天秤にかけて、ほんの少し、メリットの方へ勇気を出してみるのがいい。
一方、内的恥を感じやすいのは職人気質な人。行動の指針は「自分のこだわり」にあり、妥協せずに物事を突き詰める性格でもある。ときには、周りの目を気にすることなく思い切ってチャレンジできるのも特徴。ただ、自分のこだわりが他人にとってはどうでもいいこともあるため、客観的な視点を持つのも大切だ。
今さらわたしなんか…を突破するマインドセット
恥は成長の種でもある。しかし、恥をかくことを恐れて、成長のチャンスをみずから潰してしまうときもある。読者の背中を押してくれる本書では、日常にありがちなシチュエーションで外的恥タイプの人と内的恥タイプの人がどのように対処するべきか、アドバイスしてくれる。
例えば、知ったかぶりも成長のチャンスを潰す要因。外的恥タイプの人は「そんなことも知らないのか」と思われたくない気持ちが働いてしまうため、正直に「聞くのが恥ずかしくて言い出せなかったんですけど」と打ち明けてみる。内的恥タイプの人は「知らない自分」に恥を感じてしまうため、初めての物事に出くわしたとき、自分に対して「始めたばかりなら知らないのは当たり前」という常識をすりこませるのがいい。
また、年齢や忙しさを理由に「今さら新しいことを始められない」とためらう人もいるだろう。
この場合、外的恥タイプの人の心には、新しく何かへ取り組んでいる自分に対して、他人から「プロフェッショナルになれなかった、中途半端なやつ」と見られる怖さが働いている。しかし、けっして「最初の一歩」ではない。これまでの経験と「地続きの一歩」だと胸を張ればいい。
一方、内的恥タイプの人は「チャレンジしている自分をカッコ悪い」と感じてしまう。過去の経験や実績から来る「ここまでやってきた」というプライドも邪魔者。しかし、似たような境遇の人はたくさんいる。そもそも「今さらわたしなんか」とためらう位置に立っているだけでもチャンスなので、あともう一歩、自分を奮い立たせるだけだ。
誰にでもチャンスがある時代。それこそSNSを駆使すれば、誰もが影響力を持てるのも現代だ。ほんの少し恥を乗り越えるだけで、明日から違う世界が見えるかもしれない。そう感じさせてくれるのも、本書の魅力である。
文=カネコシュウヘイ