雑誌やインスタで話題の刺繍作家・小菅くみさん初めての本!「どうぶつ・たべもの・ひと」の再現がすごい
公開日:2021/8/21
リアルな表情をとらえた猫、お箸でつまめそうなぎょうざ、犬と戯れる西郷どん──糸の質感がほっこりかわいく、ひとめ見れば思わずほほえんでしまうユーモラスな刺繍たち。そんな刺繍を生み出す刺繍作家・小菅くみさんが、はじめての書籍を上梓した。『小菅くみの刺繍 どうぶつ・たべもの・ひと』(文藝春秋)は、Instagramなどで大人気の彼女の世界観がたっぷり詰まった一冊だ。
「針と糸とでモノマネをしている。愛嬌と敬意をちくちく刺繍していく。好きな気持ちで針が動いている。」(糸井重里さんの帯文より)
本書では、小菅さんが作品のモチーフとしてよく取り上げるかわいいどうぶつ、おいしそうなたべもの、ちょっとおかしみのあるひとたちを、ひと針ひと針ていねいに縫いこんだ刺繍を多数披露。ころんと転がるパンダ、ぷりぷりの弾力まで伝わってくる牡蠣、頭飾りに羽があしらわれたマリー・アントワネット──どの刺繍にも、小菅さんのモチーフに対する愛情や観察眼、「おもしろい」「いとおしい」と思った瞬間を糸で縫いとめる表現力の豊かさが感じられる。
刺繍作品の写真だけでなく、本書には、作品を再現するために必要な図案と糸番号、基本のステッチの解説も載っている。かわいい作品を堪能し、「自分でも作ってみたい!」と思った人が、気軽に刺繍をはじめられる構成となっているのだ。小菅さん愛用の道具も紹介されているので、刺繍上級者の小菅さんファンも、「まずは形から」という刺繍初心者も、楽しんで参考にできるだろう。「猫ブローチの作り方」も、スモールステップでわかりやすく説明されている。
刺繍は、器用で無くても、どこに居ても、少しの道具さえあれば気軽に始められる手仕事です。一針一針時間をかけて刺すひと時は、穏やかで愉しく、また集中力も高まるので心がとても整います。少しずつ刺していき、世界にたった一つの作品が完成した時には何事にも代え難い喜びがあります。改めて「手仕事」の素晴らしさに出会えるのです。(「はじめに」より)
刺繍が大好きな人はもちろん、最近おうちにいる時間が増えたという人、涼しい場所でなにか楽しいことをはじめたいという人も、眺めてよし、作ってよし、使ってよしの小菅さんの刺繍の世界。日常の中にある「かわいい・おいしそう・いとおしい」を縫いとめた彼女の刺繍とその世界観に、あなたもどっぷり浸ってみては?
文=三田ゆき