自己肯定感は顔に出る? 韓国の有名ヘアメイクさんが教える「自分の信じ方」
公開日:2021/8/19
最近、韓国アイドルが世界のトップブランドのモデルをしているのをよく見かける。ドラマの全世界配信も好調で、「Kビューティー」は世界に広がっていると言えよう。『私は今日も私を信じる「自分だけの魅力」の磨き方』(藤田麗子:訳/大和書房)の著者・ジョン・センムルは長年韓国でトップを走るヘアメイクアップアーティスト。名だたる女優の美しさを磨き上げ、化粧品ブランドを手掛けたり、YouTube配信したりと幅広く活躍している。
壮絶な少女時代からトップアーティストに。夢を支えた「人生ロードマップ」とは
トップメイクアップアーティストとして第一線を走り続け、自分の仕事をサポートしてくれる夫がいて、2人の子どもに溢れんばかりの愛を注いで……、と全てを手に入れたようなキャリアを持つ著者。しかしお金がなくて苦しんだ過去があり、17歳のころは大学の雑用のような仕事をして必死に稼ぐ毎日だった。それが30年後、その大学で講義を受け持つことになるとはなんともドラマチック。
著者は、夢を実現するために「人生ロードマップ」を描くことを勧めている。10年後、20年後に自分がどうなりたいかなどを描き、脳に目標はこれですよと教える。実際に著者は若いときから、スクラップブックをずっと作っているのだとか。
「ティリリンを買ってきて」と言われたらなんのことかわからず、スーパーに言っても見つけるのは難しく、良いものの選び方もわからない。しかし「バナナを買ってきて」と言われれば、どこに行って、どんな何を買えばいいのかは明確になる。それと同じだそうだ。
自分を魅了して引き寄せるイメージが一目瞭然になるように、あなたもスクラップブックをつくってみてほしい。すると、ある瞬間、マジックアイのように自分という人間のアイデンティティが鮮やかに浮かび上がる。
確かに「おしゃれになりたい」と思っても、アン・ハサウェイなのか新垣結衣なのか、韓国アイドルか。誰に憧れるかで方向性が違ってくる。まずは出発点を知ることだ。私も昔やっていたので今回久しぶりに少しやってみると、だいぶ好みが変わっていて驚いた。それだけでも多分、私の「ティリリン」は「バナナ」へとひとつ進んだだろう。
自己肯定感は「ささいなこと」で上げられる
SNSの拡がりとともに、他の人の情報がどっと流れ込むようになった。自分は何もない、たいしたことがないと落ち込むことも増えたと思う。その結果、世の中は自己肯定感ブームで、いろいろな本や動画が出ている。
著者は、自己肯定感は「ささいなこと」で完成すると言う。公衆トイレの洗面台をキレイにしてから去る。廊下に落ちていたごみを拾う。「よい人」であろうと努力する……そんなの何の役に立つ? 自分ばかり損するじゃないか、と思うかもしれない。でも、少しずつ積み重ねることで、自己肯定感は高まっていく。
高まった自己肯定感は必ず顔に表れる。いつしかあなたは余裕と柔らかな印象を持ち、どんな場でも歓迎される存在となって人々を引き寄せるようになる。
ささいな一言で人の心はささくれ、小さなしずくひとつで人は心を揺さぶられる。海水の塩分はたった3.5%。それが海を海たらしめているのであり、自己肯定感もそのくらいで満たすことができるのではないか、と著者は話す。
3.5%の自己肯定感を目指して
この本は優しく、厳しく、理知的だ。自分と付き合うのはいつだって難しい。努力を続けるのも大変で、たまには何もかも投げ出したくなる。そんな時、あなたの背筋に芯を入れてくれるだろう。
文=宇野なおみ