「次にくるマンガ大賞2021」Webマンガ部門第1位『怪獣8号』主役は怪獣でオッサン!新しい王道ヒーロー漫画!

マンガ

公開日:2021/8/25

 ユーザーから「次にくる」と思うマンガを募集し、そこでノミネートされた作品から投票によって大賞を決める”ユーザー参加型”のマンガ大賞「次にくるマンガ大賞」。7回目となる今年、ついに受賞作品が決定しました! コミックス部門とWebマンガ部門を合わせたエントリー総数は3,582作品、投票総数は約51万票。その中からWebマンガ部門で第1位に選ばれた『怪獣8号』(松本直也/集英社)を紹介!

 本作の主人公・日比野カフカは、なんと齢32というオッサンである。この世界で日本は「怪獣大国」と呼ばれており、ヒトならぬ「怪獣」が頻繁に出現するという状況だ。そしてその怪獣を退治する組織が「日本防衛隊」なのである。カフカは幼い頃、怪獣に家や街を破壊され、幼馴染の亜白ミナと共に「防衛隊員になる」と誓った。しかしミナが防衛隊のエースとして活躍する一方、カフカは防衛隊員になれずに怪獣の死骸の清掃業者として働く日々。防衛隊員になることを諦めかけていたカフカだが、隊員志願の若者・市川レノが清掃会社の後輩として彼の前に現れる。そしてレノとの出会いから、カフカの運命は大きく動き始めることに。

 事態が動き出すのは、怪獣に襲われそうだったレノをカフカが助けたことからだ。防衛隊の亜白ミナに救われ、病院へと運ばれたふたりだったが、なんとそこでカフカは怪獣のようなモノにとり憑かれてしまう。そして気づいてみれば、彼の体が怪獣そのものに変貌していたのだ。慌てて病院から逃げ出したカフカとレノは、その途中で怪獣と遭遇してしまう。怪獣に襲われていた親子を助けるため、カフカは怪獣の姿で敵と対峙。彼の放った一撃は、怪獣を粉々に粉砕してしまうのだった。そしてカフカは、防衛隊に「怪獣8号」というコードネームで呼ばれ、追われることになる。

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 この後、一応もとの人間の姿に戻れたカフカは、レノと共に防衛隊への入隊試験へと臨む。しかし試験には史上最高の逸材といわれる少女・四ノ宮キコルなど多くの実力者が揃っており、32歳で崖っぷちのカフカにとっては厳しい状況。果たして彼はこの試練を突破して、防衛隊員になれるのだろうか──?

 本作は「怪獣」という超常の力を手に入れた主人公が、自らの正体を隠しながら脅威に立ち向かっていくという、いわゆる「ヒーローもの」である。正体がバレれば防衛隊に敵として追われることになるスリル感や、カフカの正体を知りつつ彼に力を貸す仲間たちとの友情など、まさに正統派の「ジャンプ漫画」と呼べるものだ。まあ主人公はオッサンなのだが、その熱きヒーロー魂は若きジャンプヒーローたちと同様である。怪獣の力を身につけた正義のオッサンがどのような活躍を見せてくれるのか、今後の展開が楽しみだ。

文=木谷誠