シリーズ累計666万部突破! アニメも大好評の『魔入りました! 入間くん』にノベライズ版が登場!
公開日:2021/8/26
今期アニメとして絶賛放送中の『魔入りました! 入間くん』(略称:入間くん)。2019年10月~2020年3月にNHKアニメとして第1期が放送され、現在も春アニメとして2021年4月から第2期が放送されている。原作は、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載されている同名のマンガ作品。シリーズ累計666万部を突破している大ヒット作だ。
先日2021年8月11日、ポプラ社のジュニア文庫新レーベル 「キミノベル」から、この「入間くん」のノベライズ版『小説 魔入りました! 入間くん(1)悪魔のお友達』(西修:原作・絵、針とら:作/ポプラ社)が刊行された。カバーイラストは原作者である西修さんの描き下ろし、文章はシリーズ累計80万部の大人気児童文庫「絶望鬼ごっこ」シリーズの著者・針とらさんが手掛けるなど力の入り具合が窺える。また、発売即重版が決まるほどの人気だ。
本作品の主人公は、鬼畜外道な両親に売られて大悪魔・サリバンの孫となってしまったお人好しの少年・鈴木入間(イルマ)14歳。悪魔に買われどうなることかと思った入間くんだが、サリバンに危害を加えられるどころかデロデロに甘やかされ、十分な衣食住も保証され、魔界の悪魔学校にも通わせてもらえることに。しかしなんと、悪魔学校では人間だとバレたら食べられてしまうみたいで――!? 入間くんは人間であることを隠しながら、できるだけ目立たないよう学校生活を送ることを心に誓うのだった。
だが、悪魔学校の理事長でもあるサリバンの孫で人間の入間くんにそんな生活が送れるわけもなく、入学式の理事長挨拶で盛大に紹介され、サリバンにもらった祝辞を入学式に読み上げたことで大歓声を巻き起こしてしまう。その祝辞に書かれていた謎の言葉は、なんと読み間違えただけで手足が爆発する「禁忌呪文」だったのだ。普通なら怒られるどころじゃ済まない話だが、ここは悪魔学校。先生たちは一応注意しつつも親指を立て、「最ッ高に楽しかったよ!」と一言。入間くんはキケンでクレイジーな悪魔として認識されてしまったのだ。
このあとも、目つきが鋭く厳しいナベリウス=カルエゴ先生を使い魔にしてしまうなど、ことあるごとにイレギュラーな事態を巻き起こし続ける入間くん。だが、注目されても入間くんの本質は変わらない。お人よしで、優しくて、断れない。この性格が一層彼を学校内のトラブルに引き合わせていく反面、問題に直面しても諦めない入間くんの前向きな姿勢、真摯に向き合う姿勢に、悪魔たちは心を動かされていく。女の子悪魔ウァラク・クララと友達になる場面で入間くんは、クララが自身と遊ぶ対価として渡そうとしてきたお菓子を、そんなものなくても友達だと伝えるために断るのだ。これには筆者も思わず胸を打たれた。
この『小説 魔入りました! 入間くん(1)悪魔のお友達』では、主な読者層である小学生に、他者を思うことの大切さといったようなメッセージが伝わりやすいよう、イラストを交えつつより掘り下げた小説ならではの表現がなされている。今、長引くコロナ禍で思うように友達と遊べず、孤独を感じている子どもたちも多い。ごく普通の少年が魔界という異世界で頑張るハートフルストーリーは、そんな子どもたちに前向きな心と温かさをくれるはず。アニメを見ていない、マンガを読んでいない人でもイチから楽しめる作品なので、本書を手に取って、異世界で頑張る男の子に元気をもらっては?
文=月乃雫