マンガやゲームでもできる! “頭の良さ”を育てるインプット&アウトプット強化術
公開日:2021/8/28
今、大人のビジネス書でも注目される“インプット力”。そして、AIが当たり前の時代に生きる子どもに必要とされる“アウトプット力”。どちらも親世代はほぼ学んでこなかったこと。大事だとわかっていても、うまく教えられる自信はない…!
そこで参考にしたいのが、『頭が良くなるインプット』『頭が良くなるアウトプット』(齋藤孝/主婦の友社)の2冊です。
これからの時代、“頭がいい”条件とは、インプットとアウトプットが上手にできることだとか。『頭が良くなるインプット』『頭が良くなるアウトプット』では、「聞く」「話す」「書く」「調べる」「表現する」などの項目別に、日常の中ですぐにも試せる、インプット力&アウトプット力を高めるコツが、小学生向けに紹介されています。
著者は、ベストセラー本を連発する齋藤孝先生。ノリのいい文章で、読書が苦手な子でもサクサク読めそう。総ルビつきで低学年でも読むことができます。
こんなふうに苦手分野を克服したい! という子におすすめできます。
・人前で意見が言えないので、大きな声で発表できるようになりたい。
・勉強はきらいだけど、頭がよくなりたい。
・読書感想文が苦手だから、スラスラ書けるようになりたい。
・友だちと話すとき、おもしろいことを言えるようになりたい。
意識するだけでいつものアニメやゲームも違って見える
インプットとは知識や情報をとり入れることで、アウトプットするときの燃料のようなもの。アウトプットとは、自分の考えを話したり書いたり、何かを作ったりして外に出すこと。
さらに知っておきたいのは、インプットとアウトプットはつながっているということです。『頭が良くなるインプット』には次のように書かれています。
インプットの最終目的は知識をたくわえることじゃない。たくわえた知識で自分を表現する、人の役に立つ、問題を解決する——そんなふうに、とり入れた知識を外に出すことが大切なんだ。(中略)アウトプットを意識すると、インプットの吸収力が高まります。そして、吸収した知識をまたアウトプットする。(『頭が良くなるインプット』p.21より)
インプット力とアウトプット力を高めるための教材は、日常のそこかしこに散らばっています。アニメやゲームだってそのひとつ。それらに触れるときにアウトプットを意識することで、インプットの量が増え、インプットされた情報はアウトプットでまた活用される——。例えば『頭が良くなるインプット』のp.72~73で紹介しているように、アニメを見ているときはCMの間にそれまでのあらすじを家族に説明します。こうすると、注意深く見たり、話のポイントを聞き逃さないというインプットの練習になり、CMの時間という短い間にアウトプットをする練習になります。なるほど、このスパイラルでぐんぐん頭がよくなっていくのですね。
「だけど結局インプットって勉強でしょ?」という質問に、著者は「勉強はインプットのすごくいい練習です」と答えています。
「読む」や「聞く」はインプットの基本です。これがきたえられないと、知識が足りなくて言葉の力も育たない。大人になって仕事でミスをしたり、自分の意見を言えなかったりして、「いいかげん」「信用できない」と思われてしまう。(『頭が良くなるインプット』p.15より)
著者によれば、勉強はやっぱり必要で、それはインプットにも役立つとのこと。ただし、勉強はイヤイヤしても身につかないから、「かんたんなことから始めてみよう」とアドバイスしています。最初からむずかしい本を読む必要はなく、マンガやクイズでもいい。インプットも勉強と同じで、楽しみながらじゃないとなかなか身につかないといいます。
「好きなこと」から知識を広げるのが正解
どうしても勉強が苦手なら、「好きなこと」を探すところから始めてもいいかもしれません。
『頭が良くなるアウトプット』によれば、「ゲームやマンガの“好き”の理由を書く」のもアウトプットの練習。好きだと思う理由は、ほかの誰でもなく自分の意見なので、まぎれもないアウトプット。理由を話すことがすでに、何かを生み出していることになるのです。
家族で食卓を囲んだときなどに話してもらうと、楽しく練習することができそうですね。
読書感想文といえば、苦手と感じている子も少なくありませんよね。しかし、読書感想文こそ、インプット力とアウトプット力を同時に、効率よく高めることができるチャンスなのです。
読書感想文の準備は、本を読むところから始まっています。
3色ボールペンなどを使って、「すごく大事なところ」や「おもしろいところ」など、それぞれ色を分けて線を引くのがインプット。読み終わったあと、「線を引いた中から印象的な部分を3つえらび」、「えらんだ3つの文に自分の経験をからめて書く」のがアウトプット。
「えらぶ」ことも実は、アウトプットのひとつ。さらに自分の経験を交えることで文章にオリジナリティが出て、心に残る感想文が完成するはず。何もないところからいきなり書くのは大変ですが、順番を追ってひとつずつこなしていけば、苦手な子でもスラスラと仕上げることができそうです。
いい読書感想文が書ければ、子どもの自信も高まりそう。しかもその間に、インプット力とアウトプット力もしっかり高まっているというわけです。
一度はまったら楽しくて止まらない!
人前では恥ずかしくて話せない…というシャイな子も少なくないですよね。
『頭が良くなるアウトプット』によれば、人前でうまく意見を言えない子はとにかく場数を踏むことが大事。だけど、その練習ってどうやるの? そんな疑問も本書が取り除いてくれます。
まずは「下手だからやらない」という考え方を払拭するのが第一歩。もし友だちと意見が違っても、まずは「それもあるよね」と受け止めてから自分の意見を言えば大丈夫。声を出す練習もこんなふうに…と、自然とアウトプットが得意になる方向へと導いてくれます。
インプットもアウトプットも、最初はできないのが当たり前ですが、繰り返しの練習を忘れないことが大切。『頭が良くなるインプット』『頭が良くなるアウトプット』には、毎日の習慣にできることや、ミッション的にできることなど、多岐にわたったコツが書かれているので、飽きやすい子でも続けられそう。
子どもはいろいろな物事に興味を持つようになり、毎日がおもしろく、楽しく感じるようになるそうですよ。
親子で楽しく練習するのもおすすめ
これからの時代、勉強ができたってアウトプットできないのでは意味がない! それならば、最初からアウトプットをするつもりで勉強をすればいい。しかも、マンガやゲームまでが、子どもの力を高めるための道具になるなんて。
大人でも参考にできそうなコツが2冊にはいっぱい。親子で楽しみながら練習するのもおすすめです!
文=吉田あき