赤坂アカ×横槍メンゴによって生み出された超話題作『【推しの子】』制作秘話《「次マン」コミックス部門1位!》
更新日:2021/9/24
(雑誌『ダ・ヴィンチ』10月号より一部を転載しております)
赤坂アカ、横槍メンゴというふたりのスター作家によって生み出された、超話題作『【推しの子】』。コミックス部門1位を記念して行われた対談で、本作の魅力に迫っていこう。
(取材・文=五十嵐 大)
まるで戦友のようなふたり 奇跡のタッグで本作が誕生
「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門で第1位を受賞されました。おめでとうございます!
横槍:ありがとうございます! 私は過去にコミックス部門11位を2回いただいているんですけど、1位を獲ることなんてなかったので、とても感慨深いです。でも、アカ先生は慣れているのでは……?
赤坂:いやいやいや、慣れるもんじゃないよ! 1位をいただくのは2回目だけど、何度もらってもうれしい。それと個人的には、メンゴ先生に賞を獲っていただいたのが一番うれしいかもしれない。
横槍:いつもそうやって喜んでくれるよね。
――それはどういうお気持ちなんですか?
赤坂:昔、メンゴ先生が「私は賞とは無縁の作家なんだ」と言っていたことがあるんです。
横槍:そこまで賞に固執していたわけじゃないんだけど、あんまりもらえないとちょっと気になってくるんだよね(笑)。周りから「(受賞を逃して)今回は残念でしたね」みたいなことも言われちゃうし、そうすると「あれ、残念なのか……」と思い始めてしまう。
赤坂:だからこそ、今回の結果は余計にうれしいんですよ。
横槍:私もアカ先生が褒められているとうれしい。逆に、マイナスコメントでなにかアカ先生が悪く言われていると悲しくなっちゃう。一蓮托生みたいな気持ちでいるから、もし悪くとられたなら自分のせいでもあるしって思うし。とにかくアカ先生の凄さが評価されてるとヤッタ!てなる。多分、作品を一緒に制作する上で戦友みたいになっているんでしょうね。もしも仲が悪かったら、「相手ばっかり褒められて……」と感じるはず。
赤坂:そうそうそう! だから、すごく良い関係性だよね。
――最高のパートナーという感じが伝わってきます。そもそもどうしておふたりで組むことになったのか、その経緯も教えてください。
赤坂:元々、僕は原作者志望だったんです。でも、編集者さんのトークスキルが非常に巧みで、いつの間にか絵も描くことになってしまって(笑)。気づいたらマンガ家としてのキャリアを積んでいた。でも、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』が軌道に乗ってきたときに、「やっぱり原作者としての仕事もしたい」と思うようになったんです。そんなときにちょうど、アイドルから生まれた子どもたちが芸能界で生きていく『【推しの子】』のアイデアが浮かんで、「これはメンゴ先生に作画を担当してもらいたいな」と。
横槍:その頃、連載の準備をしていたんですけど、なかなかうまくいかなくて。なので、1年間は読み切りだけを描いてのんびり過ごしていたんです。その読み切り作品の1本がダークな芸能界アイドルものでした。それを読んだアカ先生から、「描いてくれないか」とお願いされたんです。
赤坂:そもそもメンゴ先生とは10年くらいの古い付き合いで、作風とかもわかっていましたし。『【推しの子】』はメンゴ先生のテンションが上がりそうな内容にしているんです。第1巻で伝説のアイドル・アイに衝撃の展開が訪れるのも、メンゴ先生を意識した結果ですから。
横槍:あ、私のせいにしてる(笑)。でも本当に私の好みに寄せてくれてますよね。それを「メンゴ味が強い」って表現してます。最初にプロットをいただいた時点で面白そうでしたし、なによりも「これは私が描いたほうがいいな」と思えた。仮にド派手なアクションものだったら「他の人にお願いしたほうがいいよ」って断っていたと思う。でも、アカ先生は「1000年に一度の、美少女アイドルを描いてほしい」って頼んできたよね? それなら私がやるしかない、と。
赤坂:メンゴ先生なら描けるって思ったんだよ。(つづきは雑誌『ダ・ヴィンチ』10月号でお楽しみください)
あかさか・あか●新潟県生まれ。2011年、ライトノベル『さよならピアノソナタ』のコミカライズでマンガ家デビュー。15年にスタートした『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』は第3回「次にくるマンガ大賞」コミックス部門で第1位に選出された。
よこやり・めんご●三重県生まれ。2009年、成人向けマンガでデビューする。12年に連載スタートした『クズの本懐』が大ヒット。高校生のピュアで歪んだ恋愛を描いた同作は、テレビアニメ、テレビドラマ化され話題を集めた。