“閉鎖病棟”は元気になるための場所。ヨガやカラオケなど、楽しいイベントも!/マンガでわかるうつ病のリアル

マンガ

公開日:2021/9/28

マンガでわかるうつ病のリアル

閉鎖病棟=監獄というイメージは捨ててくれ!

 夢と璃杏がフシギがっている箱はダイヤル式公衆電話というものです。筆者が入院していた病棟にはなぜかこれが置いてあり、使い方がわからなくて困っている人がいました。まさにジェネレーションギャップですね。もしこのタイプで電話をかけなければならないときは周りのマダムやイケオジ様に聞いてください。

 …本題に入ります。閉鎖病棟に監獄みたいなイメージを持つ人がいるようです。

 確かに入院したばかりの筆者のように個室に閉じ込められる患者や、その個室の中の殺風景ぶりや、患者がベルトでベッドに拘束される様子などを見て「ひどい…」と思う人もいるでしょう。虐待にしか見えない、人間扱いをしているように見えない病院だってあることでしょう。

 ですが、それがすべてではありません。ひどい病院ばかりではありません。閉鎖病棟は患者さんが元気になるためにたくさんの工夫や配慮がされている、あくまで“患者が元気になるための場所”です(連載第27回参照)。患者さんのメンタルのケアや社会復帰の練習のために、病院ごとにいろんな楽しみが用意されているようです。

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カラオケや習字など、いろんなレクリエーションがあるんだ。

 筆者が入った病院はロビーと食堂にテレビがあり、マンガや雑誌や新聞や、トランプやオセロや、前に入院していた患者さんが作って置いていったスゴロクもあり、個室に持ち込まなければ自由に利用できるシステムでした。

 そしてレクリエーションとしてヨガやカラオケや楽器演奏、エアロバイクや習字や塗り絵などがあり、強制参加ではないので気が向いたときに参加して1人で楽しんだり、他の患者さんと一緒に遊んだりしていました。筆者はこのレクリエーションのヨガが特に楽しみで、祝日で開催されない日は本当に退屈でした。

 筆者は入院して最初の数日間は個室に閉じ込められていましたが、看護師さんから「状態がよくなって個室から出られるようになれば、これに参加できますよ」とレクリエーションについて書かれた紙を見せて励ましてもらったときは、「参加したいからがんばろう」と思ったことをよく覚えています。そう考えると“楽しみ”はとても強いエネルギーになるのかもしれません。

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閉鎖病棟は元気になるための場所。楽しいことも、ちゃんと用意されている。

 他にも社会復帰の練習のために、週に何回か別の階や棟に移動して普段は会わない患者さんと1つのテーマについて話し合ったり、薬や病気についての勉強会をしたりすることもありました。いつも同じ病棟の中で過ごしているので、別の階や棟に移動するだけでもちょっとしたイベント気分でした。

 他の方から聞いた話では、卓球、茶道、手芸、集団での近所へのお散歩、病院敷地内で夏祭り、クリスマス会、陶芸、プラモデル製作、パンを焼く…なんてレクリエーションがある病院もあるようです(個人的には『パンを焼く』が楽しそう!うらやましい!)。

 もう二度と入院することのないようにしたいですが、入院中にもこのようにたくさんの楽しみが用意されていたおかげで何だかんだで楽しく過ごせましたし、そのおかげで回復できた部分もあったと思います。筆者は「入院をしてよかった」と今も思っています。

 うつ病は誰がいつなってもおかしくない、なったことのない人が気づいていないだけの実はとても身近な問題です(連載第15回参照)。あなたがなっても、あなたの大切な人がなっても何もフシギではありません。入院が必要になることだってあるかもしれません。

 ですが、もしそうなったとしても変に怖がる必要はありません。閉鎖病棟は元気になるための場所です。うつ病になったらきっと誰もが願う“普通の毎日”に戻るための、ただの手段の1つなのですから。

<第29回に続く>

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