参加者が「場」を「自分ごと」にして、話し合いに参加することが大切!/グラフィックファシリテーションの教科書
公開日:2021/9/20
グラフィックファシリテーションとは、絵や色を使って話し合いの様子を「見える化」し、みんなで語り合い一緒に探究する楽しさなどを実感させてくれるもの。「話し合い」をより豊かで面白いものに変えてくれる「魔法のツール」です。
会議などで、参加者の意見が深まらず、みんなが他人任せになってしまったことはありませんか? そんなシーンには、言葉では伝えきれない思いや雰囲気を、絵や線を使って可視化し共有するグラフィックファシリテーションを活用しましょう!
NHK総合『週刊ニュース深読み』で、グラフィックファシリテーターとしてレギュラー出演していた著者が贈る、グラフィックファシリテーションを学ぶ決定版です!
※本作品は山田夏子著の『対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書』から一部抜粋・編集しました。
「目的を握る」って、どういうこと?
▶▶▶「なぜ、それをするのか?」の答えを、自分自身ではっきりと自覚している状態です。
話し合いや会議の「目的」を握ると「今、場がどういう状態か」を判断する「基準」が、明確になります。
参加者自身が、場の状況を見極め、「良い」方向になるよう、自ら行動できるようになります。
「目的を握る」とは、自分の「軸」や「判断基準」が明確になっている状態
「目的」は「なぜ、それをするのか?」の答えです。
「目的を握る」とは「なぜ、それをするのか?」の答えを、自分自身ではっきりと自覚していること。答えが明確になっていて、自分の行動の「軸」や「判断基準」として掴んでいる状態を指します。
目的を握っていないと、自分の「軸」や「判断基準」があいまいになり、周りに振り回されやすくなります。
人の主体性は「自分の意志を示す」「自分で決める」といった、自分自身の軸に基づく決定と行動のくり返しによって、育まれます。つまり「目的」は、主体性と表裏一体の関係なのです。
自分の主体性を発揮していくためには、同時に、自分の「目的」を自覚し、握ることが大切になります。
参加者みんなで、「場の目的」を握ることの効果
話し合いや会議の「目的」を握るという場合、次の2つの観点から問いが立ちます。
①「なぜ、その話し合いをするのか?」
②「なぜ、自分が参加するのか?」
参加者自身が2つの問いの答えをはっきり掴んでいると、「どのように場に関わるか」の「軸」が、一人ひとりの中で明確になります。
話し合いや会議の「目的」を握ると、「今、場がどういう状態か」を判断する「基準」も明確になるため、場を「良く」するための行動を、参加者が自ら主体的に起こせるようになります。すると、一人ひとりが意思を持って場に関わるようになるため、自ら話し、決める「主体的な合意形成」へと、向かうことができます。
参加者みんなで「場の目的」を握ることで、場にエネルギーが生まれ、循環し、創造的な未来へつながるプロセスになっていくでしょう。
参加者みんなで、「場の目的」を握るための3つの問い
話し合いや会議の内容や性質、参加者の特徴によっては、参加者みんなで「場の目的」を握ることが難しい場合があります。
そんな時は、
「意義や理由を明らかにするための3つの問い」を使って、参加者みんなで目的を深めていきましょう。
たとえば、こんなとき…
・ 中長期にわたって考え、取り組む必要がある話し合いや会議(例:働き方改革)
・ 参加者にとってリアリティが少なく、具体的な実感を持ちにくいテーマの話し合いや会議(例:ビジョン策定)
・ さまざまな立場や職種、世代など、多様な人が参加するとき
「目的を握っていない」ことで起きてしまう…!
職場での会議や話し合いの「こんな状況」
職場で、仕事の内容やゴールは示されても、「目的」が明確に示されることは、意外と少ないものです。そして「目的」は与えられるものではなく、自分に問い、自ら見出し、掴むものでもあります。
仕事の目的は「なぜ、その仕事をするのか?」の答え。目的を握っていないことで起きている職場での会議や話し合いでよく見る状況を3つ、例として挙げてみました。