「どこから観ればいい?」という人でも大丈夫!『ひぐらしのなく頃に』シリーズを一気に振り返る!
更新日:2021/9/17
※この記事は作品の内容を含みます。ご了承の上お読みください。
2021年7月から放送がスタートしたTVアニメ『ひぐらしのなく頃に卒』が、今まさに佳境を迎えつつある。同作品は、2020年10月に放送された『ひぐらしのなく頃に 業』から連なる続編。2006年放送のTVアニメ『ひぐらしのなく頃に』のリメイクかと思いきや完全新作とあって、往年のファンはもちろん新規ファンもフラットな視点で楽しんでいるようだ。
とはいえ、「『ひぐらしのなく頃に』シリーズは作品数が多くて、どこから入っていいかわからない」と感じている人も多いはず。そこでこの記事では、シリーズの流れを紹介するとともに、「これさえ押さえておけば大丈夫」という主要作品についてお伝えしていこう。
【ゲーム】すべてはここから始まった── 原点は「07th Expansion」による同人ゲーム
TVアニメ、マンガ、小説、実写映画、ドラマなどさまざまなメディアに展開が広がり、一大ブームを巻き起こした『ひぐらしのなく頃に』シリーズ。その原点は、竜騎士07氏が代表を務める同人サークル「07th Expansion」によるノベルゲームだ。
作中で描かれるのは、田舎の小さな村で起きる連続怪死事件。選択肢による分岐はなく、謎が提示される「出題編」4編、真相が明かされる「解答編」4編を順にプレイすると、事件の全貌が明かされる仕組みになっている。第1作が発表されたのは、2002年夏のコミックマーケット。以降、コミケで1作ずつ発表されていき、新作がリリースされるごとにさまざまな考察がネットをにぎわせることに。全8編が完結した後も、番外編やスピンオフが続々登場。家庭用ゲームに移植される際にも、新エピソードが追加され、物語は多様な広がりを見せていった。とはいえ、根幹となるのは「出題編」4編、「解答編」4編の計8編。これさえ押さえておけば、「ひぐらし」ワールドを十分理解できる。
舞台となるのは、昭和58年、過疎化が進む雛見沢村。この村では、毎年6月に「綿流し」という祭りが行われていた。だがここ数年、「綿流し」の日になると、ひとりが死に、ひとりが行方不明になる怪事件が発生。村人は「オヤシロさまの祟り」として、事件を畏れていた。
前原圭一は、都会から雛見沢村に引っ越してきた少年。村にある唯一の学校に通いはじめた圭一は、竜宮レナ、園崎魅音・詩音、北条沙都子、古手梨花と親しくなり、にぎやかな毎日を過ごしていた。だが、やがて迎えた「綿流し」の日、新たな事件が起きてしまう──。
こうした設定をベースとしつつ、「出題編」4編では異なる惨劇が描かれていく。ひとつのエピソードが終わると時間が巻き戻され、また次の1編がスタート。各編がパラレルワールドのようになっており、中心となるヒロインも移り変わっていく。
このシリーズの醍醐味と言えば、のどかな日常が暗転する恐怖。それまでにこやかな笑顔を見せていた萌えキャラ的なヒロインが、突然悪鬼のような表情を見せたり、鉈を手に現われたりする豹変ぶりに震え上がること間違いなし。この村では何が起きていて、どうすれば呪われた運命を回避できるのか、推理をめぐらせる楽しさも存分に味わえる。
なお、現在はグラフィックを一新し、「出題編」「解答編」に加えて「番外編」やスピンオフをすべて収録したオールインパック『ひぐらしのなく頃に奉』が発売中。PC版がSteamで配信されているほか、Nintendo Switch版、PS4版も楽しめる。Steamでは『ひぐらしのなく頃に奉』の「鬼隠し編」を、07th Expansion公式サイトでは原点となる『ひぐらしのなく頃に』の「鬼隠し編」「綿流し編」を無料配信しているので、気軽に「ひぐらし」ワールドに触れることができる。
それでは、シリーズの中核をなす8編について紹介していこう。できるだけネタバレを避けてはいるが、予備知識なしで楽しみたい人はご注意を。
出題編『ひぐらしのなく頃に』
出題編は、「鬼隠し編」「綿流し編」「祟殺し編」「暇潰し編」の4編で構成されている。はじめの3編は前原圭一を主人公に物語が進むが、「暇潰し編」だけは公安部の刑事・赤坂の視点でストーリーが語られる。どこからプレイしてもよいわけではなく、この順番で読み進めるようになっている。
「鬼隠し編」
竜宮レナをメインヒロインとした、始まりの物語。ある日、レナの宝探しに付き合い、ゴミ捨て場へ向かった圭一。そこでカメラマン・富竹ジロウと出会った彼は、ふとした会話からかつて村で起きたバラバラ殺人事件について知る。興味を持った圭一が、レナたちに詳しい話を聞こうとするが、みんなは口をそろえて「知らない」とはぐらかすばかり。いつしか圭一は、レナたちに疑いの目を向けるようになる。
「綿流し編」
クラス委員長の園崎魅音を中心に、村の名家・園崎家の暗部に迫るストーリー。ある時、隣町にあるファミレスに入った圭一は、委員長の魅音そっくりの店員に出会う。彼女は、魅音の双子の妹・詩音。彼女と親しくなった圭一は、村の祭り「綿流し」の日に、ふたりで神社の祭具殿に忍び込む。だが翌日、同じように祭具殿に忍び込もうとしていた2名の人物が死体で発見される。圭一と詩音は、村の禁忌に触れてしまったのか……。
「祟殺し編」
下級生・北条沙都子を中心としたストーリー。両親が他界し、大好きな兄・悟史まで失踪したため、親友の梨花とともに暮らす沙都子。圭一は彼女のことを気にかけ、やがて兄妹のような関係を築いていった。だが、沙都子の叔父が村に帰ってきたことから、平和な日々は突然終わりを迎える。叔父の虐待を受け、みるみる弱っていく沙都子を見て、圭一はある行動を起こそうと決意。それはさらなる悲劇への第一歩だった……。
「暇潰し編」
古手神社の巫女・古手梨花をめぐるストーリー。前3編とは時系列や視点人物が異なり、昭和53年の雛見沢村を舞台に、警視庁公安部の刑事・赤坂衛の目線で物語が語られていく。新米刑事の赤坂は、建設大臣の孫が誘拐された事件を追って、ダム建設反対運動が巻き起こる雛見沢村へ。バス停で幼い少女・梨花と出会った赤坂は、彼女とともに村をめぐることに。そのさなか、梨花は赤坂に「東京へ帰れ」と警告を発する。果たして彼女の真意とは?
解答編『ひぐらしのなく頃に解』
解答編『ひぐらしのなく頃に解』を構成するのは、「目明し編」「罪滅し編」「皆殺し編」「祭囃し編」の4編。「目明し編」は「綿流し編」の解答編というように、それぞれのエピソードで出題編の裏側が語られ、答え合わせができる。4編すべてをプレイして、はじめてこの世界の仕組みがわかるようになっている。
「目明し編」
園崎詩音の視点で語られる、「綿流し編」の解答編。昭和57年、全寮制の学園を脱走した詩音は、双子の姉・魅音のふりをして暮らすことに。やがて彼女は、偶然出会った北条悟史に好意を抱くようになる。だが、悟史は妹・沙都子を叔母から守ることで精一杯。詩音は、沙都子の存在を疎ましく思うようになっていく。そして迎えた「綿流し」の夜、悟史の叔母が殺されて……。園崎家、そして雛見沢村の内情が垣間見える作品。
「罪滅し編」
竜宮レナと前原圭一の視点で語られる、「鬼隠し編」の解答編。父親が新たな恋人・間宮リナと付き合いはじめてから、日常に異変が起きはじめたレナ。やがて彼女は、父親がリナに騙されているのではないかと疑うようになる。ある日の放課後、リナは父親との再婚話を切りだそうとするが、レナは拒絶。ふたりが争ううち、悲劇が起きて……。レナと圭一の過去が語られるとともに、物語全体の謎が少しずつ解き明かされていく転換点。
「皆殺し編」
前原圭一と古手梨花を中心とした「祟殺し編」の解答編。このエピソードにより、物語の謎はほぼすべて明かされることとなる。村の祭り「綿流し」を前に、実行委員として準備を進める圭一。そんな中、沙都子の叔父・鉄平が、村に帰ってくる。彼が沙都子を虐待していたことを知る圭一たちは、沙都子を助けようと奮闘。彼らは繰り返される運命から逃れることができるのだろうか。
「祭囃し編」
すべての謎が解き明かされ、悲劇のループから抜け出そうとする最終エピソード。これ以上語ろうとするとネタバレになるため、続きは自分の目で確かめてほしい。