罪悪感や焦りで「のんびり休む」ができない人へ。超簡単な「休む練習」とは?

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公開日:2021/9/30

「もうもたない…」折れそうでも大丈夫
『「もうもたない…」折れそうでも大丈夫』(鹿目将至/青春出版社)

 不安が邪魔をして、集中力や気力がダウン。やっと集中できても、すぐに息切れ。そんな状態に陥るのは、心と体の充電が十分ではないせいかも。

『「もうもたない…」折れそうでも大丈夫』(鹿目将至/青春出版社)で、そう語るのは、精神科医の鹿目将至(かのめまさゆき)氏。2020年7月に『1日誰とも話さなくても大丈夫』(双葉社)を出版するなど、強い不安を抱えた患者さんと一緒に、少しでも楽に生きられる方法を、日々考えて過ごしている。そんな著者らしく、もがき悩みながら見つけた、普通に生きる方法が紹介されている本書。なかでも特に気になったところは、最近の患者さんを見ていると、様子が少し変わってきているように思うという点。

 例えば、仕事は続けていけるのか、お金は足りるか、このまま孤独に暮らしていて、自分は大丈夫か、と考えているうちに、どうしようもなく焦ってしまったり、ソワソワして落ち着いていられなかったりと、外来へ訴えに来る人が増えている。これまでより単純な不安だけではなく、「不安と焦り」がセットになっているというのだ。

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 バランス良く休むというのは意外と難しく、休むこと自体を苦手とする人もいる。精神科でも問題となるのは、かなりの割合で「のんびり休む」の方だという。心配性で、不安が強いという著者もなかなか休むことができない。「のんびり休む」ということに苦手意識があり、罪悪感すら覚えてしまっている。「本当に休んでしまっていいのだろうか」「あれもやりたい、これもやりたい」「もっと有意義に時間を使わないと」「休んでいる場合じゃない」と。夜になれば、「今日はあれもやり残してしまった」「こっちもやっていない」「もう少しだけ本を読んでから寝よう」となり、気がつくと午前1時や2時なんてことも。睡眠時間が減って、翌朝は朝からぐったり、気分も冴えないという具合になる。

「休むことが苦手」「休むことは悪いことだと思ってしまう」といった考え方の傾向=「認知のゆがみ」を行動から修正する、認知行動療法というものがある。それにより、「休むのが苦手」を「休むことは簡単だ」に、「休むことはいけないことだ」を「休むと、こんないいことがある」に、変えていくのだ。

 とはいっても、休みたいのに休めないという人は少なくないだろう。そういう人にまず必要なのは、「休む練習」である。やること自体は簡単だ。とにかく体を休めるだけ。ベッドに横になり、目を閉じてじっとする。何かをしたくなっても、休むことに集中。たった5分でOKだが、その間はスマホも本も絶対にダメ。

 やることはこれだけであるが、ポイントは「昼間に行う」こと。意識がはっきりしている日中の時間帯に、意識して「休む」。そうすることで「休む」ことに慣れていく。これを繰り返すと、夜も休めるように。会社でも、ランチ後の5分間をリラックスにあててみよう。イスに座ったまま、足を伸ばし、目を閉じて、しばしの瞑想タイムを試してみてほしい。

 ということで著者は、リラックス用のグッズを愛用し、普段から持ち歩いているそうだ。それは、

①目薬
②アイマスク
③手のひらサイズのマッサージ玉

 上記3セット。使い方は、いま自分は焦っているな、少し落ち着いた方がいいな、そう思ったら目薬を点眼。目を閉じて5分お休みする。仕事を一旦強制終了させるのだ。そのおかげでだいぶ、休むことが得意になったという。

「だるい、何もしたくない、めんどくさい」。もしそんな気持ちになっているようなら、それは心と体があなたに発している危険信号かも。「そろそろ休んだ方がいいよ」「ちょっと睡眠が足りていないよ」「このままにしていると具合が悪くなってしまうよ」と、自身に訴えているのかもしれない。

 そんなときは、まずは自分好みのリラックスグッズを揃えてみたりして、あなたらしい「休む練習」をはじめてみてはいかがだろうか。

文=Sachiko