手も道具も汚さずに55分で焼きたてパンができる! パン好き必見のその実力とは…? 【作ってみた】
公開日:2021/9/28
パンを手作りするのは大変だ。材料を計量して、腕が痛くなるほどこねる作業を繰り返し、じっくり発酵させて、成形して、焼いて…と余裕で半日つぶれてしまう。
でもやっぱり、パンは焼きたてがおいしい。
最近は家でも手軽にパンが焼ける方法を教えてくれるレシピ本が色々出ているが、今回紹介するのは、その中でも衝撃を受けた1冊。『55分で焼きたてパン』(沼津りえ/主婦の友社)は、そのタイトル通り、おいしい焼きたてパンが1時間以内に作れるという画期的なレシピ本だ。簡単なのはうれしいけれど、本当に55分でできるのか、味はどうなのか、というのが気になるところ。そこで、実際に作ってみた。
ポリ袋でシャカシャカ、こねこね…。フライパンで10分焼くだけ!
まずは基本の55分パンに挑戦。レシピは粉100gの食べきりサイズだ。用意する道具と材料はこちら。
ポリ袋の中に粉類(強力粉、砂糖、塩)と、液体(ぬるま湯、ドライイースト、サラダ油)を入れ、袋を1分ほど思いっきりシャカシャカと振る。
最初はドロッとしていたが、だんだん生地がまとまってきた。生地がまとまったら両手でていねいに1分もむ。さらにグーこね(手をグーに握り、猫の手で生地をぐいぐい押す)1分。こねる工程はこれで終わり。「え! もっとこねなくていいの!?」と心配になるほどあっという間だった。
ポリ袋から生地を取り出して折りたたむ・のばすを4回繰り返し、ナイフで6等分して丸め、フライパンに並べて発酵させる。その方法は、フライパンにふたをして強火で10秒加熱、火を止めて35分おくというもの。発酵方法も斬新! (生地を中央に寄せて並べると、生地同士がくっついてちぎりパンになる)
生地がふっくらふくらんだら、フタをして強火で10秒、弱火にして5分加熱。さらに裏返して5分加熱する。これで基本の55分パンが完成!
こちらがポリ袋とフライパンを使って、焼きあげた丸パン。直径5~6cmほどのコロンとかわいらしいパンが、トータル1時間弱で本当にできた。
1つ食べてみると、ふわふわもっちり! 焼きたての香ばしいいい香りも食欲をそそる。シンプルなパンなので、ディップをつけたり、サンドイッチにしたり、と好みでアレンジしてもおいしそう。せっかくなので本書に紹介されていた食べ方アレンジの中から、ミニハンバーガーを作ってみた。
お弁当にも持っていける「ミニハンバーガー」(p.26)
作り方はミニハンバーグ(今回は市販の冷凍食品を使用)やチェダーチーズ、レタス、ケチャップをはさむだけ、ととっても簡単! お弁当箱にも収まるミニサイズで、なんだか食べるのがもったいないほどキュートなビジュアルに仕上がった。見た目とは裏腹に、食べごたえはなかなかのもの。大人でも2個で十分満足できる。
生地であんこをサンドするだけ! 「あんパン」(p.58)
基本の55分パンはアレンジも自在。例えばごまやチーズ、ナッツ、ドライフルーツなど家にある材料を混ぜ込んでもいいし、ウインナーを巻いたり、チョコレートを包んだりしてもいい。
いちいち成形するのが面倒なときは、生地をフライパンに広げてビッグなパンにするのもアリ。今回はあんこを生地ではさんだビッグなあんパンを作ってみた。
生地にはぬるま湯の代わりに牛乳を使い、砂糖も多めに入れる。基本のパンと同じように生地を作ったら、2分割してフライパンに広げ、あんこをのせて、もう1枚をかぶせるようにのせて、黒ごまをふる。このまま基本のパンと同様にフライパンで発酵・焼成すれば、できあがり。あんこを1つ1つ包む手間がないから、これも1時間以内に完成した。
熱々をカットしてほおばると、サクッ、ふわ、あま~の順に幸せが口の中に押しかけてきた。端から端まであんこが楽しめるのもうれしい。あんこだけでなく、コロッケやチーズ、しらす&のりなどの具材をはさめば、おなじみの惣菜パンも完成。本書の後半にはベーグルやドーナツ、カレーに添えるお手軽ナンなども掲載されており、55分パンの幅広さに驚かされた。
満腹になって、さて後片付け…とキッチンへ行くと、洗い物の少なさにびっくり。作ったそばから、また作りたくなるパンのレシピに初めて出会ったかもしれない。
文=齋藤久美子