『アイドルマスター シンデレラガールズ』の10年を語る③(川島瑞樹編):東山奈央インタビュー

アニメ

公開日:2021/10/1

川島瑞樹
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 2021年、『アイドルマスター シンデレラガールズ』がプロジェクトのスタートから10周年を迎えた。10年の間にTVアニメ化やリズムゲームのヒット、大規模アリーナをめぐるツアーなど躍進してきた『シンデレラガールズ』。多くのアイドル(=キャスト)が加わり、映像・楽曲・ライブのパフォーマンスで、プロデューサー(=ファン)を楽しませてくれている。今回は10周年を記念して、キャスト&クリエイターへのインタビューをたっぷりお届けしたい。第3弾は、川島瑞樹役・東山奈央に、10周年と『シンデレラガールズ』への熱い想いを聞かせてもらった。

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川島瑞樹を降ろしてこられるように日々努力していかないと、底力も出てこないと思う

――10周年を迎える『アイドルマスター シンデレラガールズ』に関わり続けて長い時間を過ごしてこられたわけですが、このプロジェクト全体にどんな印象を持っていますか。

東山:『シンデレラガールズ』は、これだけ長く関わっていてもまだすべてを知り尽くせないというか、どんどん深くなっている気がしています。スタッフさんがコンテンツを押し上げていって、キャストがアイドルたちを理解してパフォーマンスに昇華していって、どこまでも可能性が広がっていくんだろうなって思います。個性的な楽曲も多くて、聴いていてワクワクするし、ライブでどんな演出がついて演者がどうパフォーマンスをするのか、楽しみは止まるところを知らないです。応援してくださるプロデューサーの皆さんも、常にたくさんの愛情を注いでくださっているからこそ『アイドルマスター』は脈々と受け継がれてきているのだと思いますし、コンテンツとしてずっと勢いがある印象を持っています。

――『シンデレラガールズ』に関わるキャストさんは本当に熱い想いを持っているんだな、と特集を作るたびに感じるんですが、特にギアが入る理由についてどう感じてますか?

東山:これはわたしなりの実感になりますけど、関わっている年月が長いことでアイドルのいろいろな一面を知ることができる、というのが大きいと思います。川島瑞樹であれば、最初は「面白お姉さん」みたいな印象が強かったと思うんです。関西でアナウンサーをやっていたのに28歳でアイドル業界の門を叩いて、お姉さんポジションとして、いじられたりもする愛されキャラのようなところがあったんですよね。初期の頃はそういった一面はキャッチーで記憶に残りやすかったんじゃないかな、と思っています。でも、何度もコミュを演じていくうちに、一言では表し切れない彼女の内面に触れていくことになりました。「画面の向こうにいる平面的な存在」ではなく、人間味があるし、共感できる悩みや葛藤を抱えていて。それをどう克服していくのか、という部分にひとつも綺麗事がないと感じますし、そこに勇気づけられたりもします。川島さんを演じていて、最初は年齢のギャップがあるところからスタートしましたが、川島さんには「憧れのお姉さん像」というものを何度も感じました。そして年齢が追いつき、追い越した今でも、川島さんがアイドルの仲間たちに向けている親愛や絆というものには強く共感するものがあります。そして一方では、相手のことを認めているからこそ対等なライバル意識も持っていて、「まだまだ私も負けていられないわ」と、ひとつも自分に甘んじていないところもかっこいいんです。

シンデレラガールズとしてライブでステージに立つときって、アイドルと演者とイコールに見えてくる、境界線が曖昧になってくる瞬間があると思います。それはすごくいいことだな、と思っているんです。それだけアイドルの存在を感じてもらえているってことだから。そこに実在してほしい存在を肌で感じられる、ということだから、そこを目指していきたいと思っています。だけどそれって簡単に実現できることじゃないから、ちゃんと自分がシャーマンになって、川島瑞樹をその瞬間に降ろしてこられるように日々努力していかないと、底力も出てこないと思います。自分の表現者としての生き方にもヒントを与えてくれる川島さんを、彼女のいろんな内面に触れながら感じています――早速熱く語ってます(笑)。

――(笑)東山さんの中で、三人称は「川島さん」なんですね。これは初期からずっとですか?

東山:これも絶妙なところで、初期の頃のゲームの台本では、ずっと「川島さん」だったんですよ。他の子は「卯月」とか「未央」と書いてあるのに、川島さんだけ「川島」と書いてあって、「おや? なぜ川島さんは瑞樹じゃないんだ?」と(笑)。でも川島さんって、名字でさんづけであることに距離感を感じるのではなくて、もう川島さん、というあだ名みたいなところがあると思います。だから「川島さん」が馴染んでいるし、プロデューサーさんの中でも「瑞樹」と呼ぶ人はあまり聞いたことがなくて。川島さんが出てきたらとにかく期待しかない、どんな面白いことをしてくれるんだろう? どんなにクールで素敵な一面を見せてくれるんだろう?という期待感もあって。そういう人だから「川島さん」と呼ばれるのかなって思います。わたし、川島さんは、「100点は当たり前」のアイドルだと思うんですよね。でも、川島さんはそうかもしれないけど、わたし自身には日々ムラがあると個人的には感じていて。川島さんを正しく魅力的に表現できる自分であるために、ステージ上でもスタジオにいるときもしっかりしないとなって思っています。

――東山さんと川島瑞樹でひとつ記憶に残っているのが、2014年の代々木第一体育館でのライブなんです。あのとき、MCで自分の年齢と川島瑞樹の年齢の話をしていたな、ということを覚えているんですが、川島瑞樹に追いつく、川島瑞樹でいるために力を発揮するためにギャップを埋めていくのは、当時は大変だったりしたんでしょうか。

東山:オーディションをして合格をいただいているので、たぶん川島さんとわたしはウマが合ってはいると思うんです。なので、川島さんは完璧だけど自分はそうじゃない、というギャップで苦しむことはあまりなくて、とにかく全力でパフォーマンスしていましたね。だって、川島さんは、客観的に見たら完璧かもしれないけど、たぶん川島さんの中で自分はまだまだだと思っているんじゃないかな、と感じていて。キャスティングしていただいたとき、わたしは20歳だったので8歳差でしたけど、20代の8歳差って、とても大きな差がありますよね。もう、とても想像が及ばない。でも、そもそも役者のお仕事って自分と違う存在を演じるときに、自分との違いをいかに想像力で埋めるか、でもあって、「わたしは川島さんはこうだと思う」という自分が心で感じたものを表現したいと思っていました。それが、自分も川島さんと同じくらいの年齢になって――川島さんのコミュで“Gaze and Gaze”という楽曲に出会ったんです。村上巴ちゃんとふたりで歌っている楽曲なんですが、そのコミュでの川島さんの言葉が非常にしっくりきて、それはたぶんわたしが20歳のときは理解できない気持ちだったかもしれないなって感じました。その内容を話し始めると、またちょっと長くなりますけど――。

――ぜひ聞きたいです(笑)。

東山:(笑)川島さんは巴ちゃんと“対等のパートナー”としてユニットを組みたかったんですけれども、巴ちゃんは最初から川島さんを“憧れのお姉さん”として見ていて、ユニットを組むことになったとはいえ、対等の存在にはとてもなれない、という主張がせめぎ合っていたんですね。川島さんは巴ちゃんと対等の存在になるために模索するんですけど。最終的には巴ちゃんから「姉御はわたしにとっての憧れだから、自分はずっと追いかけていたい」と改めて言われるんです。そこで川島さんは、「この子から憧れを奪っちゃいけないんだ」って結論に至って。わたしがずっと前を走り続けるから追いかけてきなさい、と。「憧れを奪っちゃいけない」って、とても重たい言葉だと思います。後輩の子たちがどんどん突き上げてきても、「いいじゃない。刺激的じゃない」って、それすらも力に代えて前進していく川島さんが、心底カッコいいなって思いました。わたしも声優として12年目になるから、後輩の子たちもたくさんいて、みんなかわいく好きだし、だけど自分も余裕たっぷりというわけでもなく、あぐらをかいてる暇はない、と思うんですね。この共感の仕方は、自分がまだまだ新人で、後輩でしかなかったときだったとしたら、想像ができなかったです。ある程度キャリアを重ねて自分が先輩になって、でもまだまだ自分にはやるべきことがあると思っている、ちょうど川島さんと同じところに並びかけているのかなって思ったんです。

――これもまたエモい話ですねえ。

東山:もう、泣いちゃいます(笑)。あまり「泣いた」と言いたくはないですけど、このコミュを初めて読んだときは正直むせび泣きました。わたし自身が川島さんほどヒリヒリする感じを面白いとはっきり言い切れるかというと、ちょっとどうかなとは思うんですけどね。私は、基本的には自信がないタイプの人間ではあるので。でも、今までにいろいろな経験をさせていただいて、今のこの自分に対して自信がないというのは、あまりにも卑屈だなって思うんです。かっこよく生きていきたいなって。そんなときに川島さんがキラキラ輝いている姿を見て風が吹き抜けた感じがしました。「それだあ!」「わたしもそれでいこう」みたいな感じで、川島さんの言葉が追い風になってくれた感じがしましたし、影響を与えてくれたと思います。そのコミュは、『シンデレラガールズ』だけに限らず、わたしの声優人生の中でも特に印象に残っているエピソードです。

東山奈央

東山奈央

川島さんはかわいくて、カッコよくて、優しくて、お茶目で、頑張り屋さんで、素敵な大人のアイドル

――アニメの収録やライブ、あるいはレッスンのときなど、他のキャストさんの『シンデレラガールズ』に懸ける思いに触発されたエピソードを教えてください。

東山:みんな、アイドルの子たちに対しての思い入れがすごいです。本当にその子の人生を生きてる感じがするんですよね。それは、側にいてとても強く感じます。ユニットだったらお揃いのものを身につけたり、ネイルをしたり。それは役作りでもありつつ、「祈り」に近いものをわたしは感じています。その子といかに一心同体になるか、という――それぞれスタンスが違うと思うので、軽々しく言うことはできないですけど、わたしに関して言えば、「どうか遠目で見たときに川島瑞樹がそこにいるように見えますように」という気持ちでやっています。思い入れが強いからいっぱい練習するけれど、思い入れが強いからこそ、練習してきた成果をちゃんとステージでプロデューサーさんに見てもらえるだろうか、と思うと、緊張することもありますよね。

だって、もう、本番になったら自分次第じゃないですか。プロデューサーの方たちがこれだけ応援してくれて、スタッフさんたちも素晴らしいステージを用意してくれる。あとはほんとに自分次第になる中で、初めての舞台が『アイドルマスター』です、という子を何人も見てきましたけど、それぞれが生き生きとパフォーマンスしているのはすごいなあって思いながら見ています。アイドルといかに自分がシンクロできるのか、できることは全部やりたいですよね。「大丈夫、やれることは全部やってきた」って思うことで、自分のテンションも上がるし、鼓舞しているような気がします。あえて努力してます、なんて言わなくても誠意は勝手に見えてくるものだと思いますし、隠したって隠し切れないくらいのものを、みんながまとっているんですよね。誰もが「何かもっとできることはないか」「自分がこのアイドルとして表現できることはないか」って、寝ても覚めても考えているから、カッコいいし、尊敬できる。そんな子たちと一緒にステージに立てるのはワクワクするし、楽しいです。

――これまで参加した楽曲の中で、東山さんにとって思い入れの深い楽曲、その理由について聞かせてください。

東山:やっぱり“EVERMORE”かなあ。いろいろ歌わせていただいてますけど、『シンデレラガールズ』の歌詞って「えっ、なんでこんな歌詞が思いつくの?」と思うくらい、エモさがエグいです(笑)。共感が共感を呼ぶし、身体の奥がもうギュッとなってしまう、という歌詞が多くて。わたしの中で“EVERMORE”は、その筆頭のような気がしています。わたしが経験したステージの中では、終盤の大事なときにかかる印象がありますね。例えば、川島さんと私が28歳の同い年としてたった1回だけ、ライブのステージに立たせていただけることになって、そのステージで“EVERMORE”を歌いました。サビに、《先へ 先へ 夢の先へ/進んでゆくと誓うよ/歌い続けるReason/いつも 君が そこにいるから》という歌詞がありますが、あの日、私は川島さんと同い年としてステージに立つという自分の夢がひとつ叶いましたし、他のアイドルの子たちが夢を叶えていく瞬間も今までにたくさん見てきました。その夢が叶って終わり、ではなくて、その先にもまだまだ夢がたくさんあって、でもそれは、いつも君がそこにいるからこそある夢なんだよっていう。本当に、会場全体がひとつになる楽曲だなって思います。夢を追い続ける輝き、まだまだ夢は続いていくワクワク、「これからもずっと一緒だよ」みたいな心強さも感じる楽曲です。

2番にも《立ち止まらないReason/いつも 君が 待っているから》とあるんですけど、ここもグッとくる歌詞です。この仕事をしていて、立ち止まりそうなときなんて山ほどあるし、「もう絶対無理だ」って思うこともあるけれど、この歌詞は「わたしの夢は、ひとりだけの夢じゃない」「君が側で待っていてくれるから、立ち止まりそうなときも、膝が崩れ落ちそうなときも、立ち止まらない!」という気持ちになるので、ステージに立つ人間として共感できる、大好きな曲です――もうひとつ、言ってもいいですか?

――どうぞ(笑)。

東山:ここまで話した「君がそこにいるから」「君が待っているから」という歌詞の解釈は、アイドルとプロデューサーの関係性についてですけど、わたしの中では「川島さんとわたしの関係性」でもあるんです。わたし自身が「シンデレラガールズ」の活動のなかで練習時間が取れなかったりくじけそうになったりしても進み続けることができるのは、川島さんに出会って川島さんを預けてもらったからには、「川島さんのことは一生わたしが素敵に輝かせてみせるからね」って思うからです。《先へ 先へ 夢の先へ/進んでゆくと誓うよ/歌い続けるReason/いつも 君が そこにいるから》という歌詞は、私にとっては川島さんがいるから歌い続けるんだ、日々頑張り続けるんだ、という川島さんとの絆を感じる曲でもあります。

――『シンデレラガールズ』の10周年に伴い、ツアーも計画されているわけですが、楽しみにしている方にどんなことを伝えたいですか。

東山:ポイントとしては10周年と、そしてこの状況下だからこそのライブ、という2点があると思っています。どのライブも、一生に一度きりで特別なものだと思っていますが、やっぱり10周年はことさら特別かな、という気がしています。10年続くって本当にすごいことだし、濃密だったけれどもあっという間の10年間でした。10という数字を改めて噛み締めることで、すごく大きな数字だなって実感しますし、皆さんにもそう思ってもらえたら嬉しいです。皆さんが応援してくれたからこその10だから、「一緒に作ってくださってありがとう」の気持ちが伝わるといいなって思いますし、いつも以上に感謝を込めてパフォーマンスをしたいです。でも10年だから何かを達成したわけではなくて、これから先も『シンデレラガールズ』はまだまだやりたいことがあるはずだし、わたしも川島さんと見ていきたい景色がたくさんあるし、プロデューサーさんと一緒にステージを遊んでいきたいと思っているので、引き続き変わらぬ熱いプロデュースをお願いします!

もうひとつは、今エンタメにとって制限がある状況下ではありますが、わたし自身はこの状況でも「どうやったらひとつでも多くエンタメを届けられるかな」ということに対して、去年からずっと火が点いている状態です。どうやったらこの状況を楽しめるのか――声を出して盛り上がることはできないけど、普段はなかなか見られないところまで全部見る、普段なかなか聴けないところまで全部聴く、絶対に見逃してやらないぞ、みたいな気持ちで、隅から隅まで、楽しんでもらえるといいな、と思います。

――ライブで想いを届ける相手であるプロデューサーの皆さんに、どんなことを伝えたいですか。

東山:プロデューサーの皆さんがいてくれるから、わたしたちが本来できないことができているんだよって感じているので、それを伝えたいです。プロデューサーさんたちが、毎日アイドルを育ててくれてるじゃないですか。曲もいっぱい聴いて、応援してくれて、アイドルたちの活躍を自分のことのように喜んでくれている。それが、すごく伝わってきているんですよね。ライブをするときって、わたしたち自身は緊張もするんですけど、もしかしたらプロデューサーさんたちの中には同じくらい緊張してくれている人もいるんじゃないかなって思うんです。自分の推しがステージの上で輝けるかどうか、楽しみな反面、固唾をのんで見守ってくれている感じ、というか。私にとっては、皆さんが応援してくれているんだ、という気持ちが、背伸びしても届かないかもしれないギリギリのハードルに対して、いつも挑ませてくれています。なので、みんな応援してくれてありがとう。その力は確かにわたしたちに力を与えてくれているんだよ、という気持ちを、ステージに立たせていただくときにいつも感じています。

――10年近くを走り抜けてきた『アイドルマスター シンデレラガールズ』は、東山さんにとってどんな存在になりましたか。

東山:「表現者でいさせてくれる作品」であり、「声優になってよかったな」と感じる作品です。表現者というとカッコよく言い過ぎかもしれないですけど。声優って、声でキャラクターに命を吹き込むお仕事で、だけど私は歌うことも踊ることも好きだから――表現をすること全てが好きです。だから、いかにキャラクターを表現できるか、に全力で取り組んでいきたいと思っていて――表現者っていうのが今はしっくりお話しできる気がします。川島さんでいるときは、ステージ上でも自分の存在がどこかにフッと押し出されて、全身が川島さんでいっぱいになっている気がします。たとえ直前まで物理的に練習時間が足りなかったとして、舞台袖で「ああ~! 若干パニック」となることがあったとしても、いつも「川島さん、やってくるよ」みたいな感じ、そして川島さんも「大丈夫よ」「だって、あなただもの」みたいな感じで、ちょっと気持ちのやり取りがあって。「行こう、川島さん」と、ふたりで意思疎通をしてステージに上がっています。そうやって川島さんを表現しているときに、プロデューサーの皆さんが川島瑞樹を感じてくれる瞬間は、何物にも代えがたいくらい嬉しいです。わたし自身がアニメファンだったときに、キャラクターに実在してほしいと思うくらい好きだったので、みんなの気持ちを叶えたいし、わたしも「川島さんを存在させたい」と思っています。これこそ表現者でいさせてくれる、ということで、さらに声優さんならではだと思います。うまく伝わるかな――シャーマンしてるんです(笑)。

――(笑)伝わってますよ。憑依するための器になる、みたいな感覚ですよね。いったん自分を全部追い出して、川島さんでいっぱいになる、みたいな。

東山:そうなんです。声優の仕事は、演じるキャラクターに声帯を貸すイメージですが、『アイドルマスター シンデレラガールズ』は身体ごと持っていかれる感じです。だから、表現者でいさせてもらえる、なんだと思います。

――では、これまで一緒に歩んできた川島さんに、東山さんからかけたい言葉はなんですか。

東山:「わたしたち、まだまだこれからだよね」って言いたいです。演じているキャラクターと声優の歳が同い年になることって、なかなかないことかな、と思っていて。それだけの年月をともにしてきたからこそ、同い年になれた部分もわたしたちの場合はあったので、感慨深くて、特別な気持ちをブログにしたためたこともありました。22歳のときに「川島瑞樹、22ちゃいで~す」って言って、毎年のライブでカウントアップをしていき、プロデューサーの皆さんも、「もう追いつくぞ~」ってワクワクしてくれて、28歳が一種ゴールになっていたところがあって。川島さんと長い年月を寄り添い、続いていくことがひとつの夢ではありましたが、ここから新たなる章が始まる感じがしています。なので、「わたしたちまだまだこれからだよね」と言いたいです。わたしは川島さんのいいところをいっぱい知っているし、川島さんはかわいくて、カッコよくて、優しくて、お茶目で、頑張り屋さんで、素敵な大人のアイドルだと思っているので。わたしは川島さんの歳を追い越して、さらに歳を重ねていきますけど、今度はわたしが大人として身につけていく魅力を還元していくことで、川島さんがもっともっと輝いていけるように、頑張っていきたいです。

取材・文=清水大輔