脚やせにはお腹を鍛えよ!? 脚やせの結果が出る人と出ない人の意外な事実
公開日:2021/10/2
「脚やせのためにトレーニングをしているけれど、なんか始める前より太くなってない!?」こんな“脚やせあるある”のお悩みは、実は脚ではなく、「お腹」に問題があるそう。脚やせなのにお腹とは、どういうことなのでしょうか? その答えは、今年8月に刊行された『最強ずぼら女子が発見した 脚やせの極意』(KADOKAWA)にありました。
著者のちぃさんは、宅トレで行うダイエットの様子をInstagramで発信し、現在は60万人のフォロワーから注目される存在。今回は、ちぃさんと、本の監修をつとめた柔道整復師の長島康之先生にインタビューを行い、脚やせのポイントや、ダイエットに励む人への応援メッセージをいただきました。
病気と不定愁訴のデパート……突然死の可能性30%を突きつけられ崖っぷちからダイエットスタート
――今や60万人のフォロワーがいらっしゃるちぃさんですが、ダイエットの経緯をInstagramに記録、発信しようと考えたきっかけはなんだったんでしょうか?
ちぃさん(以下、ちぃ):ダイエット自体は、2017年から始めたのですが、それまでの私は、持病と不定愁訴で365日24時間体調が悪いという状態が続く日々を送っていたんです。体力的にも精神的にも、医師からはずっと体を動かすことをすすめられていたのですが、もう何しろズボラだし意志が弱いしでできずにいて……一方で、私は2児の母なのですが、2015年くらいに、医師から「突然死の可能性が30%」と告げられ、衝撃を受けました。
それでようやく、「私が倒れたら子どもはどうなってしまうんだろう」と一念発起。体質改善のために、少しずつ体を動かすようにしたんです。
でも、体調は相変わらず悪いままなので、少し体を動かすだけですぐダウンしちゃうんですよ。それでもなんとかできることを続けて、2016年にようやくダイエットができるくらいの体力がついてきました。その年の年末、背中の写真を夫に撮ってもらったのですが、これまた衝撃! 今まで目をそらしてきただらしない後ろ姿をなんとかしたい、とダイエットを決意。
2017年の元旦にダイエットを開始。先程もお話ししたように、意志の弱さは自覚していたので、友人などに「ダイエットするから!」と周知。Instagramのアカウントも開設して、写真を上げることに決めて、後戻りできないような環境を設定した、というわけなんです。
同じトレーニングをしていても脚やせする人としない人がいる、その違いって何?
――そうなんですね。その後、ちぃさんは独自のメソッドを取り入れた宅トレでダイエットの結果を出し、2020年には著書『最強ずぼら女子が成功した唯一のダイエット』を上梓、大反響となりました。そんな中、今回はなぜ「脚やせ」に注目したのでしょうか?
ちぃ:はい。私自身は上半身に悩みがあって、ダイエットもそちらに力を入れていたんです。そうして、上半身を鍛えていたところ、トレーニングの効果で下半身の形も自然とすらっとしていきました。
一方で、Instagramのフォロワーさんに聞いたところ、下半身に悩みを持っているという方がものすごく多かったんです。
私は脚やせに成功したけれど、同じことをやっても結果が出ている人と出ていない人がいることを、ずっと疑問に思っていました。そこで、今回、長島康之先生という体のことを知り尽くした専門家の意見を聞いてみようということになったんです。
私は、私の体のこと、私が経験したことしか発信できませんが、より多くの人の下半身の悩みに応えたい、そんな気持ちでたくさんの人の体を見てきた先生に相談しました。
長島康之先生(以下、長島):同じことをやっているのに結果が出ないという場合は、1つの視点にこだわりすぎているのかもしれませんね。例えば、運動だけでなく、ストレスやメンタルというのも、みなさんが考えている以上に、体には大きく影響するものなんです。心身を総合的に整えなければ、体質改善やダイエットは成功しないものです。
お腹の体幹がない人は、足を鍛えても太くなってしまう!?
――本の中では、「太ももやせのためには、お腹を鍛える」というメソッドが登場します。お腹を鍛えたら太もももスッキリする仕組みについて詳しくお伺いしたいです。
長島:はい。ダイエットには、いくつかの段階があるのですが、優先的に鍛えなければいけないのが「お腹」なんです。
赤ちゃんが生まれ育って行く過程で、最初に確保するのがお腹の機能。お腹の体幹が安定することで、寝返り、はいはい、つかまり立ちができるようになります。つかまり立ちというのは、手足の力があるだけでなく、お腹が安定しないとできないんですね。
大人も同様で、お腹が“入っていない”状態で手を動かすと五十肩になったり腱鞘炎になったりします。下半身を動かすときも同じで、お腹が入っていれば、股関節の動きもなめらかになり、太ももを使いすぎることはありませんが、お腹が入っていないと姿勢が崩れ、ペンギン歩きのようになり、太ももにも余分な力が入り、運動するほど太くなっていく……というわけなんです。
ちぃ:私の場合は、意識はしていませんでしたが、運良く、お腹が入った状態で体を動かしていたから、脚やせに成功していたんです。
――気になる部分をトレーニングする前に、まずはお腹を鍛えなければいけないんですね。“お腹が入る“というのは、どういう状態を意識すればいいのでしょうか?
長島:お腹の体幹を鍛えるには、お腹に空気を送り込んでパンパンに膨らますように力を入れてみてください。自家製コルセットをお腹に巻きつけるようなイメージですかね。お腹に力を入れるというと、凹ますように引き締めるようなイメージをする方が多いかもしれませんが、それだと体幹は安定しないので注意が必要です。
お腹が入るようになると、お腹自体の脂肪燃焼もしやすくなりますよ。
――お腹を凹ますのではなく、膨らませるんですね。
ちぃ:ダイエットに関する情報って目まぐるしく変化するから、何を信じていいのかわからなくなることもありますよね。
でも、体の構造に関わることはどの時代も共通認識であることが多いので、基本的なエビデンスを知った上でダイエットに挑むことが大事なんだと気づきました。
一歩踏み出すこと、続けること、小さな行動の変化が体と人生を変える!
――最後に、ダイエットに励んでいる方や、挫折中の方、痩せたいけどダイエットはしたくない……などダイエッターにメッセージをいただけますか?
ちぃ:私のInstagramをフォローしてくださっていたり、著書を読んでくださっていたりする方はすでにご存じかとは思いますが、ダイエットって痩せる・痩せないだけじゃなく、人生そのものが変わるんですよね。私はそれまで体の不調や痛みでできなかったことができるようになったのはもちろんですが、意志が弱いと思っていた内面も変えることができました。
変わるためには、まず小さな一歩を踏み出すこと。どんな小さなことでもいいので、体を動かすことをはじめて、できたことを自分で認めてあげる。そして、その小さなことを続けてください。行動が変われば体も変わりますよ!
私のInstagramや本が、その一歩を踏み出すきっかけになってくれればうれしいです。
取材・文=須川 奈津江