老後って結局いくら必要なの? 自分の資産を見える化してできることを見つけよう
公開日:2021/10/7
「老後は2000万円必要」とは言うけれど、実際に必要な額は個人のライフスタイルや、年金や退職金の額によっても変わる。「自分はどれくらい貯めていればいいのか?」「定年後も住宅ローンの返済が続くが大丈夫か?」など、漠然とした不安を抱えている人は多いだろう。
老後の資金が心配になってきたら、本書『書けば貯まる!今から始める自分にピッタリな老後のお金の作り方』(三原由紀/翔泳社)の出番だ。老後資金にまつわる指南書は多いが、「自分の場合はこうなる」を整理して行動につなげるのはなかなか大変。本書は、プレ定年専門FP(ファイナンシャル・プランナー)の三原由紀さんがお金の整理を導いてくれるのだが、直接本に書き込んでいけるから便利である。説明に沿って進んでいけば、おのずと必要な資金や取るべき行動がわかってくる。
老後資金の不安を解消するには?
本書は、3ステップの構成になっている。まずは、①老後の収入を知る。年金や退職金を計算し、いくらお金が入ってくるのかを見える化しよう。次に、②老後の支出を知る。老後の生活には、いくらかかるのか。今の生活をもとに、想像してみよう。最後は③老後の必要額を知る。今の資産を改めて確認しよう。①~③を整理すれば、「老後に足りないお金」がわかるはずだ。
まずは、老後に入ってくる資金を知ることから始めよう。老後の収入の柱は、公的年金だろう。今のまま支払いを続けると、自分がいくらもらえるかはわかるだろうか? 国民全員が加入する「国民年金」だけでなく、会社員・公務員が入る「厚生年金」も払っていればもらえる額は変わる。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」をチェックし、本書に書き込んでいけば、見込み額がはっきりしてくるだろう。
老後の生活っていくらかかるの?
年金や退職金の見込み額が整理できたら、次は実際に老後にどれくらいお金を使うのか計算してみよう。本書によれば、高齢者無職世帯の平均生活費は、夫婦で月24万円。単身であれば、月14万円ほどだという。内訳は以下の通り。
これに加え、旅行やレジャーなどのゆとりのある生活をするには、夫婦ふたりでさらに月14万円ほどかかるという。合計すると、38万円だ。これらを目安に、今の支出から自分の場合はいくらになるのか考えてみよう。そこから老後の収入を引けば、足りないお金が見えてくる。
本書では、ひとつひとつステップを踏みながら整理してくれるだけでなく、足りない資金を補うための視点も教えてくれる。ライフスタイル別の生活費や保険料の見直し方や、会社員がそもそもの収入を増やすための方法も書かれているから、参考にしてほしい。不安の解消は、まず現状を知るところから。
文=中川凌
(@ryo_nakagawa_7)