日本のことわざ「猿も木から落ちる」。インドネシア、韓国、ロシアではどんな意味?/世界のふしぎなことわざ図鑑

暮らし

更新日:2021/10/15

 ことわざを通して世界の旅に出かけませんか?

少し例えるモチーフは違うけれど、世界にも同じ意味のことわざがたくさんあります。
日本の有名なことわざ「ネコに小判」が、インドでは「サルにしょうが」、フランスでは「豚にジャム」。「月とスッポン」はマレーシアでは「キュウリとドリアン」、フランスでは「昼と夜」と表現されます。

世界を旅するように、たくさんの世界のことわざにふれ、世界中の人々の暮らしぶりや考えを伝えたい――。著者のことわざ研究家・北村孝一さんが、「日本のことわざ」とよく似た意味をもつ「世界のことわざ」を紹介します。

今回ご紹介する日本のことわざは、「猿も木から落ちる」です。

※本作品は北村孝一:著・伊藤ハムスター:イラストの書籍『320のことわざで 世界が見渡せる 世界のふしぎなことわざ図鑑』から一部抜粋・編集しました。

紙面の色味について、実際の本と色味が異なります。ご了承ください。

320のことわざで 世界が見渡せる 世界のふしぎなことわざ図鑑
『320のことわざで 世界が見渡せる 世界のふしぎなことわざ図鑑』(北村孝一:著、伊藤ハムスター:イラスト、ことわざ学会:協力/KADOKAWA)

はじめに

ことわざは、みじかい文なのに、ふしぎな魅力のあることばです。

たとえば、「猫に小判」は、ひらがなで書くと「ねこにこばん」と六文字です。つまり、たった六つの音(六音)でできています。「急がば回れ」は七音、「猿も木から落ちる」は九音です。

こんなにみじかいのに、ふつうのことばとはちがい、なにか聞く人の注意をひきつけるものが感じられるでしょう。動物のはなしをしていないのにネコやサルがでてきたり、急いでいるのに「回れ」といわれると、だれでも「おやっ!?」と思います。そして、ことわざの意味や使い方を知ると、なるほど、そういうことかと納得し、自分でも使ってみたくなるでしょう。

ことわざは、ふるくから使われていて、だれが、いつ言いだしたのか、わからないものがほとんどです。だれが言いだしたかわからないのに、みんなが、なるほど、うまいことをいうなと感心するのも、ふしぎですね。

ことわざは、日本だけでなく、世界中にあります。この本では、日本の主なことわざを80集めて、解説するだけでなく、日本のことわざと内容の似ているものをそれぞれ3つずつ集め、その国のことばで示し、解説しています。そのなかには、そっくりのものもあれば、びみょうにちがっていて、その国の自然や人々の暮らしぶりがわかるユニークなものもあります。

では、ことわざを通して、世界の旅にごいっしょに出かけることにしましょう。

北村孝一

日本のことわざ 猿も木から落ちる

320のことわざで 世界が見渡せる 世界のふしぎなことわざ図鑑

意味 木登りが得意なサルでも、枝から枝へ跳びまわっているうちに、ときには落ちてしまうこともあります。名人やじょうずな人でも、たまには失敗することもあるというたとえです。

用例 「ピッチャーフライで試合終了と思ったら、森君が落としちゃった」
「森君がエラーしたの? 信じられないけれど、猿も木から落ちるというから、しかたないわね」

 

インドネシアのことわざ

どんなに飛びはねるのが上手なリスでも一度くらい落ちる

Sepandai-pandai tupai melompat, sekali waktu gawal juga.

説明 リスは、枝の上をぴょこぴょこはねて進むけれど、落ちることもあるんです。

 

韓国のことわざ

猿も木から落ちるときがある

원숭이도 나무에서 떨어질 때가 있다

説明 韓国は日本に近く、このことわざは日本のものとほとんど同じですね。

 

ロシアのことわざ

馬は四本足でもつまずく

Конь о четырёх ногах, да спотыкается.

320のことわざで 世界が見渡せる 世界のふしぎなことわざ図鑑

説明 馬は四本足だから、姿勢が安定していて転んだりしないようにみえます。だけど、地面がへこんでいたり体調が悪ければつまずくこともあります。だれだって失敗することもあるというたとえです。

<第2回に続く>