世界に通用する品格が身につく! 知っていると一目置かれる、茶道の心と作法
公開日:2021/10/15
大人になるにつれ、お金では買えない「本当に欲しいもの」が増えていく。例えば、品格。人間としての根っこの部分が凛としていたら、段々削られていく若さにしがみつくことなく、いつまでも自分を誇れそうな気がするのに……。
そんな思いを抱いているすべての人におすすめしたい本がある。それが『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(竹田理絵/自由国民社)だ。
凛とした空間の中で珠玉の一杯を楽しむ茶道は、日本に伝わる伝統文化のひとつ。近年では茶道に心奪われる外国人が増加。もはや世界に通用する「教養」となっているため、茶道を知り、身につけることは品格を磨くことに繋がる。
著者の竹田理絵氏は、和の教養や精神を身につけて世界で活躍したいビジネスパーソンに対して、日本の伝統文化や茶道、和の作法で支援するグローバル茶道家。茶道歴は40年。そして25年間の講師歴の中で教えた生徒数は3万人を超える。
本書では世界の人々に茶道が人気である理由を解説。そして歴史や作法、知識なども伝授し、初心者もこの唯一無二の伝統文化に触れてほしいと訴えかけている。
茶道はなぜ世界のVIPを虜にするのか
私たち多くの日本人にとって茶道はどこか遠い存在になっているが、著者のもとには海外から、お茶会開催の依頼が多く寄せられており、銀座の歌舞伎座の隣に開いているお茶室には年間30カ国以上の国から来る外国人の方々が茶道を楽しみに訪れているという。
なぜこれほどまでに茶道は世界の人々を魅了するのか。その理由は「おもてなしの心」が感じられるからだという。
著者いわく、外国人が日本に来て一番感動するのは期待を上回る細かな心遣いが感じ取れる「日本のおもてなしの心」なのだとか。
このおもてなしですが、究極のおもてなしは「茶道」にありといわれています。
茶道ではお客様をもてなす際、何日も前から相手のことを想いながらお茶室の内外を整え、道具の取り合わせに心を配り、お菓子を選ぶなど心を込めて丹念に準備する。
実際、著者は国王の即位50周年を祝う会で茶道を披露するために世界有数のセレブ国・ブルネイへ行くことになった際、どんなお抹茶を持っていけば喜んでもらえるか、事前に熟考。口に合いそうなオリジナルブレンドを持っていったところ、王女はお抹茶に込めた想いに感激してくれ、普段、人目のあるところで召し上がることはめったにないのに最後の一滴まで飲み干してくれたのだそう。
書道、華道、香道、着物などといった日本の美意識がすべて盛り込まれた伝統文化であると同時に、相手の笑顔を心から願うという人として大切な品格を身につけられもする茶道はまさに日本の宝。
自国の素晴らしさは見えなくなってしまうこともあるが、他国から感動される茶道という教養を自分のものにできたら、人として大きく成長できるだろう。
初めてのお茶会へ行く時のマナーや服装は?
そうはいっても、茶道はなんとなく堅苦しいイメージがあり、始めるにはハードルが高そう……。そう感じる方もいるかもしれないが、最近では椅子席でのお茶会や初心者歓迎の茶道体験もあるため、実は意外とチャレンジしやすくなっているそうだ。
お茶会は必ず着物でなければならないという決まりはないので、服装はワンピースや丈の長いスカート、スーツなどでOK。最低限の持ち物は白い靴下だ。これは、お茶室が清浄であると考えられているから。着物であれば白足袋、洋服の場合には白い靴下に履き替えてからお茶室へ。その際はデリケートな茶道具を傷つけてしまうことがないよう、腕時計やアクセサリー類は外しておこう。
そして、お茶室で歩く時には畳の縁を踏まないように注意。なぜなら、昔、畳の縁には家紋を入れることが多かったため、そこを踏むことは主人の顔を踏みつける行為だと考えられているからだ。
なお、お茶室では床の間の前が上座、出入り口に近い方が下座となることも忘れないようにしたい。お茶会は座る順番により役目や作法があるので、茶道の知識がないと難しい正客(一番上座に座る人)や末客(一番下座に座る人)は避けるようにしよう。
本書には他にも、お茶碗を回す理由や茶道を楽しむ上で重要となる精神、わび・さびの意味などが詳しく解説されており、知識ゼロから茶道という教養を知ることができる。ぜひこれの一冊を機に、世界で通用するワンランク上の品格を持つ人になってはいかがだろうか。
文=古川諭香