相手と距離を縮めたいとき、自分の話は何割程度がいい?/たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全

ビジネス

公開日:2021/11/4

人と話すときに「自分がつながなくちゃ。話を回さなきゃ」と焦ってしまうことはありませんか? 情報を短く、正確に、わかりやすく伝えるのは難しいもの。普段から口ベタであることを悩んでいる方は「もっと話がうまくなりたい」と思っている人が多いと思います。

元日本テレビのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍している著者・青木源太さんも“元”口ベタの1人。そんな彼が、コミュ力が高い人を15年間観察して学んだ“話し方のコツ”を具体的かつ丁寧に紹介します。

必ずしもすぐに身につくものばかりではありませんが、まずは実践。自分の話し方に自信をもてるようになり、話すことがどんどん楽しくなっていくことでしょう。

※本作品は青木源太著の書籍『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』から一部抜粋・編集しました

口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全
『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』(青木源太/宝島社)

口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全

1対1 お互いの前提条件が合った話題を選ぶ

なぜあの人には話が伝わりにくいのか

 伝えたいことがあって一生懸命説明しても、どうやら相手には伝わっていない。思ったより会話が弾まない……。そんなときは、自分と相手のなかにある「前提条件」が違っている可能性があります。

 会話は、前提条件が同じ人同士のほうが伝わりやすいのです。学生時代にクラスのムードメーカーが、担任の先生の物真似をしてウケをとる。その先生を知っている人たちは「おもしろい!」と盛り上がります。でも、その先生を知らない人には、なかなかそのおもしろさが伝わりにくいもの。

 このように、会話というのは、世代・職種・年齢・地域など、何かしら共通項がある相手とのほうが盛り上がりやすいのです。同窓会で数年ぶりに会った元同級生との会話が弾むのも、同じ学校出身という共通項があるためです。

自分:この前〇〇駅の近くを歩いていたら、△△先生を見かけたよ。
友人:先生、まだ近くに住んでるんだね。なんだか懐かしいなあ。

 歳を重ねていくと、ずっと仲良しだった2人でも、片方は結婚して子どもが生まれ、片方は独身でバリバリ働いているといったように、環境が変わった途端に話が合わなくなってしまうことがあります。互いが置かれている状況が変わることで前提条件が合わなくなり、話が伝わりにくくなってしまうのです。

 逆に言えば、自分と相手の前提条件が合っている話をすると、会話は盛り上がるということです。そのため、話を伝えやすくするためには、まず前提条件を合わせるという作業が必要です。相手との共通項を探したり、共通項がない部分では、より丁寧に説明することを心がけましょう。

1対1 正確に伝えるために前提条件を揃える

必要な情報が共有されているか

 前提条件を揃える必要があると話をしましたが、この前提条件とはその人の所属や経歴、背景だけに限りません。日常会話やビジネスでのやりとりなど、普段会って話をしている相手に対しても、前提条件を揃えなければ、行き違いが発生することがあります。

 たとえば、上司が部下に5日15時締め切りのA案件の作業について、「急ぎのA案件の書類、大丈夫そう?」と聞き、部下が「大丈夫です」と答えたとします。しかし、5日の15時になっても部下が書類をもってくる気配がありません……。部下に聞くと、「その件なら進めています。今日中には終わると思いますが」と返事。つまり、A案件の「5日15時締め切り」という前提が2人のなかで共有されていなかったということです。

 ここで、上司が「今日中だと困るよ」などと言うと、部下も「えっ、どういうことですか? 今やっていますけど?」と不穏な空気になります。さらに、「今じゃなくて、もっと早くやってくれないと」などと言うと泥沼に……。今話している内容についての前提条件が揃っていない状況で話を続けても、会話は成立しません。まずは、「5日15時締め切り」という前提条件を確認し合うことが必要です。

 話そうとする話題に対して、相手が何をどれだけ知っているのか、どう認識しているのかを確認し、話題の前提条件を揃えたうえで会話を進めると、話の行き違いも防げますし、相手の納得も得られやすくなります。

自分:この件だけど、〇山さんからどこまで聞いている?
部下:今、稟議でもめているところまでは知っています。
自分:そうなのよ。その稟議書の修正をお願いできない?

1対1 相手の話を8割にして自分の話は2割に抑える

心理学者が提唱した会話のテクニック

 よい人間関係を築きたいときは、相手の話を聞くことに8割を割き、自分の話は2割程度に抑えるとよいでしょう。特に、相手のことをよく知りたいときや、相手によい気持ちで話をしてほしいときは、この8対2のバランスを意識してみてください。話し上手ではなく、聞き上手になるイメージで、うまく聞き手に回って相槌をうったり、相手の話を引き出すような言葉をかけてみましょう。

 これは、アメリカの心理学者であるカール・ロジャーズが提唱した「傾聴」と呼ばれる、人と話をするときのテクニックです。もとはカウンセリングや福祉、教育といった場面で使われることが多かったテクニックですが、最近ではビジネスなどでも使われます。

 相手の「話したい」という気持ちに合わせて自分のパートを削り、相手に気持ちよく話をしてもらうことで、「あなたと話すと楽しい」と思ってもらえ、かつ自分自身もいろいろな情報を得ることができます。

話を聞き出すのにSNSが有効

 相手の話を聞き出すときに便利なのがSNSです。SNSに載っている情報は本人が「知ってほしい」と思って上げているものです。人づてに聞いた話を本人にしてしまうと、実は触れてほしくない話題だったりすることもありますが、自らSNSに載せている情報はそんなことはありません。「この前つくっていた料理、とてもおいしそうでしたね」などといった言葉は、言われたほうも嬉しくなります。

 もちろん親しくない間柄で個人のアカウントまでチェックされていたら、「気持ち悪い」と思われることもあります。そうした場合は、勤めている企業のアカウントをフォローしていれば、「こんな新商品が出るんですね」といった会話のネタにすることもできます。SNSを活用すると相手との共通項を見つけやすく、相手の話を引き出しやすくなるでしょう。

<第5回に続く>