プレゼンで相手を納得させたい! 話の要素はどこまで絞るべき?/たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全
公開日:2021/11/6
人と話すときに「自分がつながなくちゃ。話を回さなきゃ」と焦ってしまうことはありませんか? 情報を短く、正確に、わかりやすく伝えるのは難しいもの。普段から口ベタであることを悩んでいる方は「もっと話がうまくなりたい」と思っている人が多いと思います。
元日本テレビのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍している著者・青木源太さんも“元”口ベタの1人。そんな彼が、コミュ力が高い人を15年間観察して学んだ“話し方のコツ”を具体的かつ丁寧に紹介します。
必ずしもすぐに身につくものばかりではありませんが、まずは実践。自分の話し方に自信をもてるようになり、話すことがどんどん楽しくなっていくことでしょう。
※本作品は青木源太著の書籍『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』から一部抜粋・編集しました
表現 不安を素直に打ち明けてハードルを下げる
不安を伝えると相手も寛大な姿勢を示してくれる
プレゼンの場などで第一声を発する自己紹介。緊張するものですが、とりつくろわず緊張していることを素直に伝えることもひとつの方法です。話を始める前に「慣れない場で緊張しています」と相手に打ち明けてみましょう。
たとえば、乗り込んだタクシーの運転手さんに「私、新人なんです」と言われたとします。目的地に到着するまでに多少道を間違えられても、「新人だから仕方ないな」と許せるのではないでしょうか。少なくとも、新人だと前もって伝えられた状態とそうでないのとでは、心持ちが変わってくると思います。
人は「理由がわからない」状態が最もストレスになります。逆に言えば、プレゼンが進まない理由や、運転手さんが道を間違える理由などが明瞭であれば、受ける側もある程度大きく構えて寛大になれるものです。
緊張の自己申告はクッションになる
はじめの自己紹介で「新人の◯◯です」と伝えることは、「この人は慣れていないから、ある程度もたつくのは仕方ないな」と聞き手に思わせる、いわばクッションの役割をになってくれます。「プロなんだから言い訳するな」という考えもあるでしょうが、聞き手にストレスを与えないためにも、緊張の自己申告は有効でしょう。
僕と桝アナウンサーは新人時代、スポーツ中継の下積みをしており、当時の会社の方針で1年目はテレビにほとんど出られませんでした。「新人アナウンサーの青木源太です」と言う機会が極端に少ないまま、2年目でテレビに出始めてからたくさん失敗をしたという過去があります。
2010年頃に方針が変わったことで、今は新人が朝のニュース番組に配属されることも多くなりました。新人が〝新人〟という肩書きで仕事をできる期間はすごく貴重で、大切です。僕たちにはそれがなかったので、少し羨ましいと感じます。
表現 言いたいことを4つに絞りつなぎ合わせて文章にする
箇条書きのメモが自然なスピーチにつながる
プレゼンやスピーチにおいて避けたいことは、伝えるべき事柄の伝え忘れです。漏れなく話をするためには言いたいことを箇条書きにしたメモを用意するといいでしょう。
箇条書きのメモを用意することは、自然なスピーチに欠かせない大切なポイントです。
「これを伝えたいな」という要素を4つ挙げて、それを接続詞でつないで文章にします。このとき、起承転結を意識すると文章を組み立てやすいです。
頭で物事を理解していれば、箇条書きの言葉も、適切な接続詞を用いてつなげることができます。逆に言えば、一言一句メモに書き起こすのはあまり理解できていないということです。伝えたい内容の本質を理解している人は、箇条書きでもちゃんと文章にできますし、なおかつ話の筋が通っていて伝わりやすいものです。
ニュース番組で記者がリポートをしている場面で、ただ原稿を読んでいるだけの記者と自分の言葉でリポートしている記者とで、聞き手にも違いがわかると思います。プレゼンやスピーチもそれと同じなのです。
episode 話す内容は「4つ」に絞る
僕が野球中継の際に持ち込むメモには、試合前に選手から聞いた話を箇条書きにしていました。そしてその内容を適宜実況に入れていきます。たとえば、相手のピッチャーの攻略法を事前に聞いて、その選手がバッターボックスに入ったときに話す、といった具合です。試合前のインタビューを箇条書きにするとき、要素は4つに絞ります。ただし話す時間によって、4つより少なくなる場合もあります。目安は10秒にひとつの要素。情報は、詰め込みすぎると適切に伝わらなくなってしまうからです。
表現 資料にはできるだけ目印を入れないようにする
丸や線は悪い癖となって残っていく
僕の場合、メモは基本的に箇条書きにしていましたが、「続いては◯◯です」のように次のコーナーの合図になっている言葉(Qワード)は間違えてはいけないため、一言一句書いています。そのような場合でも、資料に線や目印を書き込むことはしません。「目印がないと読めない」という状況を避けるためです。
あるとき、鼻濁音(濁音の子音を発音するとき、鼻に音を抜くもの)が不得意な新人アナウンサーが、鼻濁音を含む文言に丸をつけた原稿で原稿読みをしていました。これは新人時代にすすめられるやりかたで、実際自分の苦手な箇所に注意を向けるという点で役に立ちます。ただし、丸をつけた原稿を読む習慣が抜けきらずに、どんなに経験を重ねても目印がない原稿では読めないことにもつながりかねません。
特にアナウンサーは、臨時ニュースなど目印なしの原稿を読む際に弊害が出ます。プレゼン資料も最初は読むための目印を入れても、徐々に外していくとよいでしょう。
episode 必要に応じて箇条書きで書き込みを行うことも
僕も原稿には絶対に何も書かないというわけではありません。VTRを観た後に感想を言う必要があるときには、「こういうことを言おう」というメモ書きをしています。そのため「メモ力」のようなものが身につきました。
たまにVTRを観ているシーンをワイプで抜かれることがあります。そのとき俯いているとカメラに映しづらくディレクターさんが困ってしまうので、顔は画面を見て頷きながら、手元を見ずにメモを取ります。桝アナウンサーをはじめとして、アナウンサーには「目線を外して文字を書く」というスキルが高い人が多いです。