どんな相手にも緊張しない! 自分をうまくコントロールするには?/たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全
公開日:2021/11/7
人と話すときに「自分がつながなくちゃ。話を回さなきゃ」と焦ってしまうことはありませんか? 情報を短く、正確に、わかりやすく伝えるのは難しいもの。普段から口ベタであることを悩んでいる方は「もっと話がうまくなりたい」と思っている人が多いと思います。
元日本テレビのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍している著者・青木源太さんも“元”口ベタの1人。そんな彼が、コミュ力が高い人を15年間観察して学んだ“話し方のコツ”を具体的かつ丁寧に紹介します。
必ずしもすぐに身につくものばかりではありませんが、まずは実践。自分の話し方に自信をもてるようになり、話すことがどんどん楽しくなっていくことでしょう。
※本作品は青木源太著の書籍『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』から一部抜粋・編集しました
準備 肩や首をほぐし発声練習を行う
前もって身体をほぐしておく
大事な場面で話すことになったとき、緊張しないためにぜひ準備しておきたいことがあります。それは、事前に大声を出しておくことです。駐車場や会社に向かう途中の高架下など、大声を出せる場所があったら大声を出して、喉の準備をしておいてください。時間に余裕があるなら、ひとりでカラオケに行くというのもおすすめです。
ただし、状況によっては大声が出せないこともあるでしょう。そんなときには、顔の筋肉をほぐしてみましょう。
緊張すると肩や首が凝るため、肩をほぐすのもおすすめです。何度かぐるりと回すだけで、一気に緊張がほぐれます。
また、仕事終わりに居酒屋に入ったときなど、緊張からやっと解放されたときのことを想像してみてください。まずはネクタイを緩め、首元のボタンを外すのではないでしょうか。逆に考えると、ネクタイをきつく締めるということは、それだけで緊張モードに切り替わってしまうということです。可能であれば、本番のときもネクタイを心持ち緩めておくと、緊張を避けることができるでしょう。もちろん、聞き手が見てだらしなくない範囲で、です。
顔の筋肉をほぐす言葉
顔のストレッチは、手の平で頬を押し上げながら顔の筋肉をぎゅーっと伸ばすだけでも効果があります。「あ・え・い・う・え・お・あ・お」という発声も効果的です。
試しに口に出してみてください。口がいろいろな方向に動いたのではないでしょうか。縦や横、さまざまな形に開く動作なので、やるとやらないとでは筋肉のほぐれ方が大きく違ってくると思います。
僕も普段からこの発声を取り入れています。発声と肩をほぐす作業は、話をする前の大切なルーティーンです。
準備 結果を予想して本番に臨む
成功(失敗)を想像してみる
次に、メンタル面で緊張を緩和する方法を紹介します。
これには2つのタイプがあり、どちらに当てはまるかは人によって異なります。ひとつが成功体験をイメージすることで気持ちが楽になるタイプ、もうひとつが失敗したときのことを想定して自分の心に保険をかけるタイプです。
僕はどちらかというと前者で、「これが成功したらよいことが待っている」と思うことで、大事なイベントの前日でもよく眠ることができます。
反対に、僕の妻は後者の「失敗したらどうしよう」と考えてしまうタイプです。失敗したときのことをあらかじめ想像できているので、本番前に「失敗してもいいか」と余裕をもてると言います。
どちらにも共通しているのは、前もって結果を考えておくことで緊張を和らげることができるという点です。成功した場合を想定するか失敗した場合を想定するかは人それぞれですが、予想もなしにいきなり本番に臨むより、心理的にワンクッション置くことで緊張を軽減できます。
関係のないことを考えてリラックス
「自分を客観視する」ということから派生したもので、本番前にあえて関係のないことを考えるという手法もあります。
舞台に上がって周りを見渡したときに、一緒に話す人のネクタイの色を確認したりするというものです。自分ではない周囲のこと、これからする話とは関係のないことを考えてみるとよいでしょう。
また、緊張すると呼吸が浅くなりがちです。意識的に息を吸って、吐いて、大きく深呼吸をしてみてください。肩や首をほぐす動作と一緒に深く呼吸をすることで、緊張をより遠ざけることができるでしょう。
準備 緊張する理由を知って自分をコントロールする
多少の沈黙は気にしない
ここまで度々緊張の話をしてきましたが、「うまく話せないかも」という不安の最大の敵である緊張について、ここでまとめておきましょう。
よく「沈黙の時間が怖い」という人がいますが、沈黙を恐れてしまうと、かえって緊張してしまいます。たとえば家族との会話において、いっさいの沈黙もなく延々と話をしていることなど稀でしょう。会話において沈黙は、少々あっても構わないのです。
ではなぜ、家族での会話の沈黙は問題なくて、ほかの人との会話の沈黙を苦痛に感じるか。そして、その沈黙をなぜ長く感じるのか。
時間の感覚は相対的なものです。友人、同僚、上司、部下との会話で沈黙が起生じた際に「会話がおもしろくないと思われているのではないか」「何か指摘されるかも」「この書類ではダメだったのか」など、不安や気まずさを感じると長く思えるのです。そして、緊張が増していく結果に――。実際には、大して時間は経っていないものです。
ですので、沈黙を恐れることに対して回答するとすれば、「少々沈黙があっても気にしないこと」となりますが、それでも沈黙が怖いとすれば、その理由をあらためて考えてみましょう。指摘されることへの恐怖、すなわち成果物への自信のなさだと思い至れば、成果物に対する説明をしっかりシミュレーションして、上司との会話に臨むなどするとよいと思います。一方で、質問にすぐ答えられずに沈黙になってしまうことが怖いのであれば、沈黙を恐れるあまり慌てて答えようとせずに、「ちょっと考えさせてください」と言えば問題ありません。人は沈黙ではなく、理由がわからない状態が嫌なのです。
話の内容はみんな忘れるもの
話していると、緊張のあまり「テンポよく話ができない」「呂律が回らない」と、自分のダメなところばかり目についてしまうこともあると思います。
それは気合を入れて取り組んでいる仕事で評価されたい、婚約者の親へのあいさつで気に入られたい、などの理由で緊張するわけです。つまり、どうでもいいことであれば緊張しません。人生の大事な局面にあるのだと考えて、だから緊張しているのだと知れば、気持ちも少し楽になるでしょう。
こうした自己分析を続けていくと「自分はどういう場面で緊張するのか」という傾向を掴みやすくなり、次第に自分で緊張をコントロールできるようになります。
緊張しないための方法
会話の前にできること
●カラオケなどで事前に大声を出す
●肩や首をほぐす
●ネクタイをだらしなくならない程度に緩める
●成功のイメージなど、あらかじめ結果を考える
●意識的に呼吸をする
会話中にできること
●緊張していることを素直に伝える
●相手の人間らしい一面を探す
●「緊張している自分」を俯瞰する
●過度に「失敗したくない」「好かれたい」と思わない
episode 緊張のコントロールを加藤浩次さんから学ぶ
僕自身が緊張をコントロールできるようになったのは、加藤浩次さんにアドバイスを受けたことがきっかけです。「緊張するのは失敗したくない、相手からよく思われたいという気持ちの表れだ」と教わり、それ以来、自分がどうして緊張しているのか客観視できるようになりました。
加藤浩次さんから言われて忘れられないもうひとつの言葉は、「自分がおいしくなることではなく、共演者がおいしくなることを常に考えなさい」です。僕が若いころ『スッキリ』でご一緒しているときに、番組に出演するアナウンサーにとって最も大切なこととして、口を酸っぱくして言われてきました。当時の僕は自分が目立つような発言や周囲の印象に残るようなコメントをしたいと思いがちだったのですが、そうではなく一緒にいる人が輝くことがいちばんなんだと教えていただきました。これは今でも、僕がアナウンサーとして仕事をするときの大切な指針としています。