『ルパン三世』アニメ化50周年! 貴重な資料といえる「絵コンテ集」など、最新のルパン関連書籍を紹介!!

マンガ

公開日:2021/10/26

 1971年にテレビアニメの放送が始まり、2021年でアニメ化50周年を迎える『ルパン三世』。現在でも最新シリーズとなる「PART6」が放送中であり、変わらぬ人気の高さを誇っている。本年はメモリアルイヤーということで企画展などさまざまなイベントが行なわれているが、書籍のほうでも多彩なアイテムが用意されている。本稿では『ルパン三世 PART1 絵コンテ集 「TV 1st series」秘蔵資料コレクション』(叶精二/双葉社)を中心に、3冊の関連書籍を紹介したい。

『ルパン三世 PART1 絵コンテ集 「TV 1st series」秘蔵資料コレクション』(叶精二/双葉社)
Ⓒモンキー・パンチ/TMS・NTV

 本書は1971年に放送された『ルパン三世 PART1』の現存する絵コンテや、パイロットフィルムと呼ばれる見本映像の絵コンテを収録した、極めて貴重な1冊だ。何が貴重なのかといえば、本書のまえがきにも書かれているが「第1シリーズ(PART1)の4分の3の話数の絵コンテが見つかっていない」から。絵コンテとはアニメ制作用のいわば設計図であり、基本的には公開を想定したものではない。ゆえに多くの場合、廃棄物として処分されるため、現存分は極めて貴重なのである。

Ⓒモンキー・パンチ/TMS・NTV

 さらに収録されている絵コンテには、キャラクターデザインを務めた大塚康生氏や演出を務めた高畑勲氏が所有していたものが含まれている。メインスタッフである彼らが使用していたものであり、彼ら自身による書き込みや修正が加えられているのだ。絵コンテの解説でも詳しく触れられているので、大塚氏らがどのような意図を持ってそのシーンを描いたのか理解しやすいだろう。本書はアニメ史の第1級資料というだけでなく、アニメの演出に携わる人々にも大いに役立つはずだ。アニメ化50周年にふさわしい、非常に価値ある一冊であることは間違いない。

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『ルパン三世傑作集2』(モンキー・パンチ/双葉社)
Ⓒモンキー・パンチ/TMS・NTV

 かつて『週刊漫画アクション』に連載された、モンキー・パンチ氏による漫画『ルパン三世』。『ルパン三世』(双葉文庫刊・全10巻)、『新ルパン三世』(同文庫刊・全12巻)よりセレクションされた原作漫画傑作集の第2弾が登場。原作を読んだことがないという人は、この機にぜひアニメとはひと味違う原作の魅力を確かめていただきたい。

『ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版』(吉岡平:著、塩田信之:編/双葉社)
Ⓒモンキー・パンチ/TMS・NTV

 1980年代後半ごろにブームとなったゲームブック。ゲームブックとは、指定された番号にジャンプしながらストーリーを読み進めていく、ゲームタイプの読み物だ。「ルパン三世ゲームブック」シリーズは全19作を数える人気シリーズだが、その第1作が復刻される。著者の吉岡平氏は「宇宙一の無責任男」シリーズなどで知られる作家であり、本作はその初期作品としても興味深いところだ。

 ひとつの作品が50周年を迎えるということは、それはもう「受け継がれている」といっていいだろう。原作者のモンキー・パンチ氏や、高畑氏、大塚氏も亡くなっているが、新たなクリエイターたちによって作品は作り続けられていく。そして『ルパン三世』を愛するファンがいる限り、その歴史は繋がっていくのだろうと思えるのである。

文=木谷誠