星守紗凪「舞台でもアニメでもかっこよく戦いきりたい」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2021/11/8

星守紗凪

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第271回目に登場するのは、声だけに留まらず、CMや舞台などさまざまな場所で表現活動を続ける星守紗凪(ほしもり・さな)さん。

そのルーツは戦うことに憧れた幼少時代にありました。演じること以前に、キャラクターになることに憧れた夢の源についても話してくれました。

まだまだ“さなぎ”です

——「さなぎさん」って読んでしまいそうなお名前ですね。

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星守:よく言われます。でも「さなぎ」っていう意味合いも込められた名前なんですよ。

——星守さんはゲーム『イグジストアーカイヴ』のテレビCMをきっかけに芸能活動をスタートさせていますね。このお仕事を始めたきっかけはどんなことですか?

星守:20歳くらいの時に舞台やCMなどをきっかけに仕事を始めました。戦うキャラクターに憧れていたから、かっこいいという理由だけで剣術を習い始めたりもして。

——どんなキャラクターが好きだったんですか?

星守:それこそ『プリキュア』とかに憧れていました。小さい頃からとにかく戦う女の子や男の子が好きだったんです。ガンプラも好き、3歳くらいの頃からふれていました。でも、そういったアニメやキャラクターの世界が好きなことを自覚しはじめたのは小学校くらい。小学校中学年くらいには、声優という職業についても知るようになって、キャラクターそのものに憧れていたから、私が目指すべきは声優さんだなと。周りにも「声優になりたい」って言い続けていました。

——どんな子ども時代でしたか?

星守:今とあまり変わらないんですけど…忍者ごっこをよくしていました(笑)。高いところから飛び降りる練習をしたり、今考えたらすごく危ないんですけど家の塀を伝って屋根によじ登ったり。「いつか超能力が出る」みたいな妄想も止まらなくて、小さい頃から厨二病みたいな子でした。

——かなりワンパクだったんですね(笑)。

星守:そうですね(笑)。今でも体を鍛えるのが好きで、お仕事の現場で声を出す前に軽く体を動かしたり、家でも軽い腹筋やストレッチをします。最近は舞台に加えてライブ活動もあるので、長時間歌ったり踊ったりできるように体力をつけつつ、声を枯らさないように腹筋を鍛えたいなあと思ってます。

——学生時代は放送部にも所属していたとか。

星守:強豪校ではなかったので大会や出し物があるわけではなく、全校放送で短い朗読劇を流したりするくらいでしたけど、声優志望の同級生が多いこともあって楽しかったです。でも、全校放送って緊張するんですよね。今でも、収録で台本を両手で持たないと、落としてしまうかもと心配になるくらい、人前で喋るのが苦手で。

——どんな収録だったんですか?

星守:『俺タワー』っていうゲームの収録で、もう震えが止まらないし、緊張で喉が詰まって思ったように声が出ないし、大変でした。静かに喋る役だったからなんとか演じられましたけど、声を張り出すような役だったら、もっと大変だったかもしれません。実装された声を聴いて、当時は「なんとかできた」って思ってましたけど、今聴くと「何があったんだ…」って恥ずかしくなります…。

——経験を積むうちに慣れていきましたか?

星守:漠然とキャラクターに憧れてきましたけど、演じるのは自分自身なんですよね。現実を見た時に、あまり自分の声が好きじゃなかったので、しばらくはギャップに苦しみましたけど、今では「自信を持つしかない」って思えるようになりました。まだ自信はないし、声で表現するのは難しいけど、自分の声を何度も聴いてやり直すことを繰り返していたら、少しずつ自分を信じられるようになってきて。日々反省しつつ、少しずつ進化しつつ…ほんと、“さなぎ”って感じです。

「のびのび演じる」ことを教えてくれた『アサルトリリィ』

——さまざまなジャンルの作品に出演していますが、ご自分で成長を感じた作品はありますか?

星守:『アサルトリリィ』はやっぱりすべての経験をさせてもらっているなと感じます。たとえばTVアニメだと、最初は芝居をすることだけで、周りを見るような余裕が全然なかったんですけど、少しずつみんなのマイク前の行動やお芝居を観察できるようになって、話数を重ねるたびに学ぶことは多かったです。

——舞台、アニメとジャンルの枠を越えて、長く付き合っていける仲間は貴重ですね。

星守:最初の舞台から考えるともう2年くらい。みんな舞台、歌、ダンスとそれぞれ得意分野があるので、お互いに教えあえるいい現場に身を置かせてもらってありがたいです。いちばん学べたのは「のびのび演じる」ということですね。「どうしよう」「ダメかもしれない」と考えてしまった時に「堂々としていればいいよ」とみんなが言ってくれて。緊張していようが、プロとして責任を持って演じるしかないんだなと、先輩たちの背中から教えてもらいました。

——2022年1月には『アサルトリリィ』の新作舞台もありますが、チャレンジしたいことはありますか?

星守:前回(2020年9月の『アサルトリリィ The Fateful Gift』 )の続きのお話になるのですが、謎を秘めた内容で終わっているので、お話自体の深さをどう伝えていくのか、役者みんなで話し合っています。私自身は筋トレを継続してキレキレのアクションに挑戦していきたいなと。衣装がスカートなので美しく見える動きも研究したい。3作目の舞台、みんなでかっこよく戦いきりたいです!

——楽しみですね。少し遡りますが、2017年のゲーム『ゴシックは魔法乙女〜さっさと契約しなさい!〜』は、チコ役としての可愛らしい声を聴ける作品ですね。

星守:チコはとにかく可愛いキャラクター。声優になったら絶対にやってみたいって思うような役で、オーディションで合格した時はうれしかったです。

——『アサルトリリィ』も『ゴシックは魔法乙女』も映像と舞台の両方でキャラクターを演じられていて。キャラクターになりたかったという幼少期からの夢を叶えた実感はありますか?

星守:それはやっぱりあります! キャラクターの声を演じながら、自分自身でもキャラクターになりきることに憧れていたので、本当にうれしいです。舞台上で戦うことも多いので、剣術を習っておいて無駄はなかったなと感じます!

——2020年からはニコニコ生放送で『星守紗凪の星守コレクション』をスタートさせましたね。2年間続けてみて手応えはどうですか?

星守:とにかく喋るのは好きなのですが、人前で喋るとなると緊張する時もありますが、ゲストのみなさんもいらっしゃるので、喋りすぎず、ゲストさんと一緒に番組作りができるように工夫しています。以前はイベントなどでMCを任されても台本を追うことしかできなかったけど、最近は少しはトークも弾むようになって、昔から知ってくださっているファンの方が「進化を感じる」と言ってくださったのがうれしかったです。

いつかは音楽を通してメッセージを伝えたい

——仲の良い声優さんはいますか?

星守:『アサルトリリィ』の9人はプライベートでも会う子が多いです。たとえば、高橋花林ちゃんとはドールが好きっていう共通点があって、『アサルトリリィ』もそもそもドールが登場する作品なので、ドールのお店に一緒に出かけたりします。すっごく詳しくて、「このドールはさなしが好きそうだよ」って教えてくれたりします。

セットで登場することが多い遠野ひかるちゃんは、家に遊びに来てくれることもあって、一緒に猫と戯れたり、知育菓子を作ったりしています。女性声優の間で一時期流行ってたという噂も聞きました。

——お休みの日の過ごし方は?

星守:私、サバイバルゲームみたいなアウトドアの趣味が多いわりに、お休みの日は一歩も外に出ないことが多くて。瞑想する時間というか、ひとりで考える時間がほしいので、ひとりで過ごすことが多いです。もちろん誰かと出かけるのも好きで、井澤美香子ちゃんとボードゲームカフェに出かけたこともあります。

——これからどんな声優になっていきたいですか?

星守:自分とは違うキャラクターになれるのが声優の魅力だと思うので、今後は男の子役に挑戦したいです。キャラクターを通して男の子の人生を経験したいですね。女の子役も、私自身が等身大で演じられるような元気で溌剌とした子を演じてみたいです。もうひとつ挑戦したいのはライブ活動。音楽を通してメッセージを伝えるのが夢で、憧れの水樹奈々さんのように、エンターテイメントとしてストーリーを作り込んでいけるようなライブに、いつかは挑戦できたらいいなと思います。

——最後に読者さんへのメッセージをお願いします!

星守:昔から知ってくださっている方、SNSやイベントでのお声がけが力になっています。いつもありがとうございます! このインタビューで私の普段の様子や幼い時のことなどを知って、笑っていただけたらうれしいです。小さな頃から憧れていた声優の仕事で、これからも楽しい時間をお届けできたらと思います。よろしくお願いします!

——星守さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】星守紗凪さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

星守紗凪

星守紗凪(ほしもり・さな)アステールオフィス所属

星守紗凪(ほしもり・さな)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト