細菌やウイルスから体を守る。「免疫システム」について知ろう/病気にならない体をつくる こども免疫教室①
公開日:2021/11/16
石原新菜著の書籍『病気にならない体をつくる こども免疫教室』から厳選して全7回連載でお届けします。今回は第1回です。食生活・運動・入浴法・眠り方…今日から誰でもすぐできる。もっと強く、元気に! 病気になりにくい体を作るためには免疫を高めることが重要です。免疫力は、食生活や運動などで、高めることができます。医師の父から指導を受けた“一生使える健康習慣”を、自らも医師となり、子を育てる母となった新菜先生が、子どもたちに向けて、わかりやすく解説します。
免疫システムはちゃんと働いている? チェックしてみよう!
□カゼをひきやすく、ひいたら長引く
□口内炎がたびたびできる
□肌にブツブツが出たり、肌あれがひどい
□すり傷や切り傷がなかなか治らない
□気分が沈みがちで、心から笑えない
□熟睡できない。眠っても疲れがとれない
□ゲームなどが好きで、あまり体を動かさない
□下痢や便秘になりやすい
□体温が36.5度未満
□冷えていると感じる
ポイント 体を守る免疫システムについて知ろう!
●私たちの体には、体を守る免疫システムが備わっています。
●免疫システムの主力を担っているのは免疫細胞です。
●免疫細胞が活発に働けば病原菌にも負けません!
●免疫を活性化するもの、低下させるものを知りましょう。
私たちに備わる“体を守る力”。その主役は免疫システム
カゼやインフルエンザ、下痢になる原因を知ってるかな?
バイキンマンみたいな悪者が、体に入ってくるからだよね。
そうです。細菌やウイルスといった病原菌は、空気や水や食べ物といっしょに体の中に入ってくるの。私たちは、いつも悪者の攻撃を受けています。それらから体を守ってくれるのが免疫システムなのよ。
病原菌を食べてやっつける
シンプルな「自然免疫」
カゼをひいたときに熱が出たり、鼻水が出たり、体がだるかったりするのは、体の中に入ってきた病原菌が悪さをしているからです。
また、おなかが痛くて下痢するのは、腸に侵入した病原菌や有害物質を外に出そうとするため。
こうした病気を引き起こす病原菌は、空気中や土の中、食べ物、水などあらゆる場所にひそんでいます。口や鼻などから病原菌が体内に入ってきたとき、それらをやっつけるのが「自然免疫」です。免疫システムには、もともと体に備わっている「自然免疫」と、成長しながら身につけていく「獲得免疫」があります。病原菌が体内に入ったときに、真っ先に働くのが自然免疫です。
自然免疫はとてもシンプルなしくみで、体の中の免疫細胞が体外から入ってきた異物や病原菌、病原菌におかされた細胞、ケガなどで傷ついた細胞を食べて殺します。その勢いはすさまじく、「貪食(むさぼり食う)」と呼ばれるほど。自然免疫は、体内に異物や病原菌が侵入したときには、いち早く気がつき、最初にかけつけてやっつけてくれます。
カゼをひくごとに免疫は強くなる
またカゼひいちゃった。ボーっとしちゃうし、遊べないし、やだなぁ。これってぼくが弱いからなの?
カゼをひくのは悪いことばかりではないのよ。熱が出たり、鼻水が出たり、おなかをこわしたりすることで、新しい免疫を受け取って、より強い体になっているの。
病気になるほど強くなる
学んで記憶する「獲得免疫」
生まれながらに持っている「自然免疫」に対して、成長しながら手に入れていく「獲得免疫」があります。
赤ちゃんはお母さんから免疫をゆずり受けますが、生後6か月ごろになると徐々に減っていくため、そのころからは自力で免疫を得る必要があるのです。
生後6か月を過ぎるとカゼをひいたり、下痢になる回数が増えます。特に、保育園や幼稚園に通いはじめると多くなるのですが、これは、集団生活を送ることで未知の病原菌に触れる機会が増えるためです。
未知の病原菌が体内に入るたびに、熱が出たり、鼻水が出たり、セキをしたり、下痢をしたりして、新たな免疫を手に入れています。これが「獲得免疫」です。
獲得免疫は、体内に入ってきた病原菌の情報を学んで記憶しています。そのため、再び入ってきたときには、初めてのときよりもすばやく反応することができます。
基本的に、一度かかったことがある病気は、その後、かかりにくくなりますが、それは獲得免疫の働きによります。カゼをひくのはしんどいですが、新しい免疫を手に入れて体が丈夫になっていると考えましょう。