細菌やウイルスから体を守る。「免疫システム」について知ろう/病気にならない体をつくる こども免疫教室①

健康・美容

公開日:2021/11/16

ズルズル、ピーピーは悪者と戦っているサイン

病気にならない体をつくる こども免疫教室

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お母さんが「鼻水がズルズル出てるでしょ。早く薬を飲みなさい」っていうの。薬、にがいからイヤだなー。ホントは飲みたくないんだ。

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鼻水が出るのは免疫細胞が悪者と戦っているときに出る反応よ。なるべく薬で症状をおさえないほうがいいんだけど……。水分をとって、ちゃんと寝ましょうね。

発熱、鼻水、セキは免疫細胞がもたらす反応

 免疫システムの主力選手となるのが免疫細胞です。免疫細胞はいくつかの種類があり、それぞれがお互い助け合って、外から入ってきたウイルスや細菌、異物などから体を守っています(詳細は20〜23ページ)。

 免疫細胞が体の中に侵入した病原菌や異物を攻撃しているときは、その部分が赤くなったり、熱を持ったり、腫れたり、痛みを感じたりします。これらはすべて免疫システムが働いているサインです。

 たとえば、カゼのときに出る症状は、免疫細胞が悪者と戦っているサインなので、実は悪いことではありません。

 熱が出てボーっとする、鼻水ズルズル、セキがコンコン、下痢をしておなかが痛い……といった不調は、すべて病原菌と戦っているサインです。

 カゼをひいたときや、おなかをこわしたとき、病院や薬局に行くと、これらの症状をおさえる薬を処方されることが多いようです。しかし、薬を飲んで熱や鼻水などが出ないようにしてしまうのは、免疫細胞の本来の働きを妨げてしまうので、あまりおすすめできません。次ページでは、主な症状の対処法を紹介していきます。

[発熱]

 38度台前半で少しだるいくらいであれば心配ありません。水分補給をして安静に過ごしましょう。38度台後半から40度近くあるときは病院へ。38度台前半の微熱であっても、3〜4日以上続く場合は病院で原因を調べてもらいましょう。

[鼻水]

 鼻の粘膜(ネバネバした液体でおおわれている部分)の表面にある細い毛の束が、からめとった異物を外に排出したものが鼻水です。ウイルスや細菌のほか、ほこり、気温の変化、花粉が原因で出ることがあります。異物の量が多いときや気温の変化で粘膜が刺激されるとたくさん出ますが、すぐにおさまるなら心配ありません。

[セキ]

 ウイルスなどがのどの粘膜に入り込むと炎症が起こり、のどの痛み、鼻水、痰、セキなどが生じます。コンコンとセキ込むときには、空気の通り道(気道)に入り込んだ異物を取り除こうとしています。

 セキが4〜5日以上続くときや、ヒューヒューと息苦しいセキのときは病院に行きましょう。

[目の異常]

 汚れた手で目をこする、話し相手のつばが目に入るなど、異物が目に入ると、真っ赤になることがあります。目ヤニや涙が多い、目のかゆみが止まらないときは結膜炎のサイン。2〜3日しても治まらず、症状がひどいときは病院に行きましょう。

[耳の異常]

 子どものころは、鼻や口の中に侵入した病原菌が、鼻の奥から耳につながる通り道(耳管)を通って、耳に入り込むことがあります。いわゆる中耳炎です。熱が出たり、耳の奥が痛かったり、耳からウミが出たりすることがあります。一時的に薬(抗生物質)を飲むのはいいのですが、長期間飲み続けるのはおすすめできません。

[下痢]

 水っぽい便が出るのが下痢です。子どものころの下痢は、ウイルスが原因の急性胃腸炎によるものがほとんどです。腸まで入り込んだロタウイルスやカゼのウイルスなどを体外に出そうとします。いつも便がやわらかい場合は、体が冷えているサインです。第2章の「冷え予防」を参考にしてください。

ちょっと詳しい話
免疫細胞の種類とバランス

 血液の成分である「白血球」は免疫細胞そのものです。血液検査で白血球の数値が低いときは、免疫が低下していることを意味します。

 白血球にはいくつか種類があり、それぞれが重要な役割を持っています。免疫の司令塔である「リンパ球」、外界から侵入した病原菌や異物(体になじまない物質)を食べて退治する「顆粒球」や「マクロファージ」などが主な免疫細胞です。

 次ページから、主な免疫細胞が、体の中でどんなふうに働いているのか見ていくことにしましょう。

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①免疫の司令塔「リンパ球」

 リンパ球は、体の中に入ってきたウイルスなどの力をなくす「抗体」をつくって体を守ります。カゼやインフルエンザにかかったときには、一時的に体の中でリンパ球が増えます。抗体によって病原菌が無力化すると、熱や鼻水などの症状が治まります。

 リンパ球は免疫の司令塔のような存在で、大きく分けると「T細胞」「B細胞」「NK細胞」の3種類があります。

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②なんでも食べる大食漢「マクロファージ」

 マクロファージは異物を飲み込んで処理し、その異物に関する情報を、先ほど説明したリンパ球や、次で説明する顆粒球に伝える物質を出します。

 マクロファージと顆粒球は「食細胞」と呼ばれます。名前の通り、病原菌や傷ついた細胞など、異物(体内になじまないもの)を貪食(むさぼり食う)して殺します。

 マクロファージと同じような働きをする、樹状細胞という免疫細胞もいます。

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③過剰に反応すると暴走する「顆粒球」

 殺菌作用のある成分を持つ顆粒を持っており、細菌などの大きな異物を飲み込んで処理します。

 ただし、顆粒の中にはアレルギー反応を引き起こす成分も含まれていて、それが過剰に反応して暴走すると、花粉や食べ物といった、本来は害とはいえないものまで攻撃し、その影響が体に出てしまうことがあります。

 顆粒球には「好中球」「好酸球」「好塩基球」の3種類がありますが、ほとんどの割合を占めるのが好中球です。

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<第2回に続く>