あなたも“冷えチェック“してみよう! 冷えが免疫を下げる理由とは?/病気にならない体をつくる こども免疫教室③
公開日:2021/11/18
「子どもは風の子」は昔の話?
かつて子どもの体温は高く、冬の寒い時期に薄着で元気よく遊びまわる子どもがたくさんいました。ところが、この20〜30年ほどで私たちの生活環境は変わり、平熱が36度未満の低体温の子どもが増えています。
いまどきの子どもの平熱は、高くても36度台前半が当たり前、35度台のケースも少なくありません。37度台が普通にいた昔と比べると、体温が1度以上も下がっているわけですから、冷えによる悪影響が心配されます。
36ページのチェック項目に当てはまった場合は、まず体を温めましょう。それが免疫アップにつながります。
冷えが免疫を下げる2つの理由
「冷え」は免疫細胞の働きを低下させます。免疫の主力を担うNK細胞やマクロファージは、体温が36.5度以上になると活発に働くので、平熱がそれより低い人は免疫は低下しています。
さらに、体が冷えると全身を流れる血液のめぐりが悪くなります。その結果、免疫細胞が十分に力を出しきれなくなり、さらに免疫が働かなくなってしまいます。
冷えが「血の汚れ」につながり、血の汚れが免疫を下げる
先生、「血の汚れ」ってどういうこと? 血の色が黒になるとか、そういうこと?
わかりやすくいうと、血液の中にいらないものがたくさんある状態のことよ。余分な栄養素とか燃えカスのようなものとか。血液を「ごみがないきれいな川」のような状態にしないと、免疫は落ちてしまうの。
血が汚れると血液の循環が悪くなる
東洋医学でいう「血」は、血液だけでなく血液が運ぶ栄養やホルモンなども含まれています。
体が冷えると、エネルギーをつくったり新しい細胞をつくったりする代謝のメカニズムがスムーズに働かなくなり、血液中の栄養を使い切れず余ってしまいます。
たき火にたとえると、マキという原料(栄養)はあるのに、火というエネルギーを起こせないようなものです。
免疫細胞は燃えカスとなった余分な栄養を異物とみなし、食べて処理します。そうすると、その処理でおなかがいっぱいになり、病原菌を攻撃する力が弱まってしまって、免疫の低下を招くことになります。
さらに、この状態が長く続くと、使いきれなかった燃えカスの栄養分が血液中にどんどん増えてドロドロ血液となり、血液が血管の中で流れにくい状態になります。
血液の流れが悪くなると、リンパ液の流れも悪くなり、それが免疫の低下をもたらします。
血液とリンパ液の関係は少しむずかしいので後で詳しく説明することにして、ここでは血液の汚れと病気の関係についてお話ししましょう。
血液が汚れると体はあの手この手できれいにする
血液は、全身のすみずみにある細胞に、生きていくために必要な酸素や栄養を運んでいます。
細胞の中では、それらを原料にエネルギーがつくられますが、そのとき体に不要なゴミ(老廃物)や有害な物質が生じます。血液はそれらを回収して肝臓や腎臓、肺に送り、体に無害なものにつくりかえたり、尿や便、汗、吐く息といっしょに体の外に出したりしています。
冷えによって血液の流れが悪くなると、血液に不要な物質が増えて汚れます。そこで体は、以下のように、あの手この手を使ってきれいにしようとします。
[発疹]
血液が汚れてくると、体は汗といっしょに老廃物を外に出そうとします。じんましん、湿疹、とびひなどは、すべて肌から老廃物を出そうとするときに起こる反応です。
[発熱]
老廃物をうまく外に出せない状態が続くと、体はそれらを燃やして浄化しようとします。老廃物が多いと、つくられる“熱”も多くなり、発熱します。また、肺炎、気管支炎、膀胱炎など「炎」のつく病気の原因のひとつが、血液の汚れから体を守ろうとする反応です。
[動脈硬化]
動脈硬化は、血管がかたく、もろくなり、血管の中が少しずつせまくなることです。せまくなった血管の中で血栓(血のかたまり)がつまったり、もろくなった血管が破れたりすると、脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞といった病気を引き起こします。動脈硬化も血の汚れが原因です。
血液中の老廃物を減らすためにコレステロールが血管壁にくっつき、血管の中がせまくなります。さらに、血液をきれいにしようと老廃物を集めたものが血栓です。
[がん]
血液の汚れがいつまでたっても改善されないとき、体がとる最終的な浄化方法が「腫瘍(がん)」です。腫瘍とは細胞や組織のかたまりのこと。東洋医学では、体内にたまった汚れを1か所に集めてほかをきれいにしようとしていると考えられています。血液の汚れが改善されないと、治療してもがんは再発します。