目指せ発熱ボディ! 下半身を鍛えれば体はポカポカに/病気にならない体をつくる こども免疫教室⑦
公開日:2021/11/22
石原新菜著の書籍『病気にならない体をつくる こども免疫教室』から厳選して全7回連載でお届けします。今回は第7回です。食生活・運動・入浴法・眠り方…今日から誰でもすぐできる。もっと強く、元気に! 病気になりにくい体を作るためには免疫を高めることが重要です。免疫力は、食生活や運動などで、高めることができます。医師の父から指導を受けた“一生使える健康習慣”を、自らも医師となり、子を育てる母となった新菜先生が、子どもたちに向けて、わかりやすく解説します。
“熱”は自分がつくるもの
発熱ボディなら冷え知らず
新菜先生、「発熱ボディ」ってなんですか?
筋肉が多い「熱をつくりやすい体」という意味です。体内の熱の約40%は筋肉でつくられています。筋肉を増やせば冷え知らずになりますよ!
筋肉が集まる下半身を鍛えれば体はポカポカ
効率的に熱をつくるためには、筋肉が集中する下半身をきたえて筋肉をつけましょう。おすすめはウォーキングやスクワット(112ページ参照)です。これらを行うと、筋肉がつくだけでなく、全身の血流もよくなります。
歩くことが減って運動不足になった現代人は、熱をつくる筋肉の量が十分でない人が少なくありません。
子どもを含む若い人であれば、それほど問題になりませんが、いずれ皆、年をとります。30代、40代になって筋肉不足だと冷えやすくなり、血液の流れが滞って太りやすくなり、さらなる運動不足になることも。ふだんから運動していればその心配はありません。
欧米では、カゼのひきはじめに軽い有酸素運動をするとよい、といわれています。これは病原菌を攻撃する免疫細胞が活性化するという研究報告があるからでしょう。ただし、これは「のどが痛い」「寒気がする」「ちょっとしんどい」くらいまで。熱が出ているときや、しんどくて動くのがつらいときは安静にしましょう。
また、長時間の運動やハードな運動は、かえって免疫を下げてしまうので、くれぐれもやりすぎないように。
イライラが免疫を下げる
体を温めれば心も落ちつく!
外に遊びに行けないときって、つまんない。そうすると「イライラしないの!」ってお母さんにおこられちゃうんだ。
心のバランスがくずれると全身の血液の流れが悪くなって、体も冷えやすくなるの。体を温めることでイライラもなくなるわよ。
冷えは心にもダメージを与える
東洋医学では、精神的な不調は“冷え”が招くと考えられています。
うつが原因で自殺する人は、北欧など寒い国で多いですし、寒い時期にうつになる人が多いうえ、体温が低い午前中ほど症状が重い傾向があります。
1984年には精神科医のローゼンタールらが、秋から冬の寒い時期にうつ症状があらわれ、暖かくなってくる3月ごろによくなるというパターンを繰り返すうつがあり、それらを「冬季うつ病」と報告しました。いまではうつが寒い時期に悪化することは、よく知られています。
また、うつの要因となるストレスが続くと、全身の血液のめぐりが悪くなって体を冷やします。すると、冷えがうつを呼び、うつ(ストレス)がさらに体を冷やすという悪循環につながります。
近年、心の病気に悩む人が増えているのは、日本人の体温が低下していることも無関係ではないでしょう。
逆にいえば、体を温めれば心が落ち着いて精神的な不調に陥りにくくなり、免疫システムも活発に働くことに。体を温めると心身ともによい効果があります。
ちょっと詳しい話
体にやさしい漢方薬 子どもだって利用できる
漢方薬は自然のものからつくられる、体にやさしい薬なので子どもも服用できます。ただ、体質に合わせて利用しないといけないので、知識がある専門家にみてもらったほうが安心です。小児科で漢方薬が処方されないのは、漢方に詳しい医師が少ないからかもしれません。
そこでおすすめなのが、ドラッグストアなどで販売されている漢方薬です。これらは2歳以上から服用できるものがあります。子どもでも服用できて、薬局で手に入る漢方薬を紹介します。漢方薬が苦くてのめない場合は、黒砂糖といっしょに湯で溶かしたり、スプーンに漢方薬とはちみつをのせてなめたりしましょう。
葛根湯(かっこんとう)
体を温める作用がとても強く、かぜの初期、鼻水、頭痛、肩こりなどに効果的。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
虚弱体質、疲れやすい、顔色がよくない、夜泣きがひどい、手足の冷えなどを改善する作用がある。小さな子どもにも飲ませやすい。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
花粉症や鼻炎に効果的な漢方薬として知られる。ぜんそく、鼻水、花粉症など、水っぽい鼻水を伴う症状を改善。
紫雲膏(しうんこう)
塗るタイプの漢方薬。肌をきれいにするうえ、消炎作用もある。やけど、湿疹、あかぎれ、かぶれなどに効果的。