増田里紅「可愛さとダークさをあわせもつような振り幅の広い役に憧れます」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2021/11/16

増田里紅

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第272回目に登場するのは、2021年秋のTVアニメ『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』の水沢愛佳役で声優デビューした増田里紅さん。

お仕事を始めるまでの経緯から、空手の「旋風脚」が得意だという意外なパーソナル面まで、持ち前の明るさで答えていただきました!

元気な性格は子どもの頃からです

——里紅さんと書いて「りく」と読むのはめずらしいですね。

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増田:おじいちゃんがつけてくれたんです。お母さんからは、大石内蔵助の奥さんが「りく」さんというお名前で、おじいちゃんがりくっていう女の子がかわいいなと思って、漢字を考えてつけてくれたって聞きました。同じ読み方の男の子はたくさんいますけど、女の子にはまだ会ったことがなくて。

——素敵なエピソードですね。『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』でデビューしていますが、声優を志したきっかけは?

増田:家族みんな『ONE PIECE』が好きで、もともとアニメをよく観ていたんですけど、中学になってから深夜アニメを観るようになって。『ラブライブ!』のμ’sさんたちの配信を観て、いつかは自分もこういう舞台に立ってみたいなと漠然と思ってました。高校では、大学進学を考えて塾にも通いましたけど、大学に入ってから何をしたいのか思いつかなくて。興味があるのは声優だし、音楽でも何かを表現する人になりたい、と思って声優を目指しました。

——深夜アニメは『ラブライブ!』以外にどんな作品を観ていたんですか?

増田:『ONE PIECE』もそうですけどジャンプ系が好きで、『終わりのセラフ』とか『銀魂』とか。ダークな世界観も好きだから『BLACK LAGOON』も好きです。

——音楽で表現することにも興味があったと。

増田:そうですね。高校では軽音楽部のボーカルをしていて、歌うことが好きでした。YUIさんの『CHE.R.RY』とか、DOESさんの『バクチ・ダンサー』とか。コレサワさんの『たばこ』は、ギターを弾いてくれる先輩がいたので、その方に演奏してもらったりしました。

——幼少期はどんな子どもでしたか?

増田:いや〜もう本当に賑やかな子だったと思います(笑)。おままごとをするより体を動かすほうが好きで、小学校の頃は休み時間になると校庭に出て、ドッヂボールをしたり、走り回ったりしていました。

——特技が空手の「旋風脚」ということで、空手はいつ頃から?

増田:小学校から中学校の終わりまで、です。友だちが発表会に連れていってくれたのがきっかけで、誘われて回し蹴りをしてみたら楽しくて、友だちも「うまいじゃん」って言ってくれて。空手って練習がきつそうですけど、体幹を鍛えるためにバランスボールの上を渡り歩いたり、いろんな道具を使った練習もあったので、厳しかったけど楽しくて、好きでした。

——「旋風脚」の習得もその頃に?

増田:身長が低いので、組手だと、背の高い相手に全然リーチが足りなくて。遠くから蹴りを入れるなら旋風脚かなと。でも、繰り出す前の動作の段階でよけられてしまうんですよ。それで一回戦敗退、みたいな感じで(笑)。だけど、型のほうは筋がよかったらしく、毎年優勝してました。決勝戦になるとスポットライトを当ててもらうのも楽しくて、メダルをもらってはニコニコしてました!

人生初のアフレコはバクバクでした!

——『プラオレ!』の出演はどのように決まったんですか?

増田:ヒューマンアカデミーさんに今通っているんですけど、学校に『スマイルオーディション』の案内があって、先生に聞いたら、オーディション経験は多いほうがいいし、自己PRの練習にもなると聞いて、受けてみようかなと。面接で「声優と歌手ならどっちに興味がある?」と聞かれて、「どちらもやりたい」とあやふやに答えてしまったんですけど、あとで聞いたら、どちらもやれる覚悟をみたかったらしくて。それで合格したって伺いました。

——いきなりプロの現場に参加したんですよね。初めてのアフレコ現場はどうでしたか?

増田:最初にレッスンをしていただいて、「相手のセリフを聞いて、感情を作ってからセリフを言うように」と言われて意識したんですけど、心臓がバクバクで何もかもズタボロ…1話は反省することばかりでした。

——増田さんが演じる水沢愛佳とご自身で、似ているところはありますか?

増田:愛佳ちゃんはめちゃくちゃ明るくて、しょぼんとする時もありますけど、あまりそれを見せずに、みんなをどんどん引っ張っていく女の子。妹の彩佳ちゃんとわちゃわちゃする場面では、どちらかというと彩佳ちゃんのほうがしっかりしていて、お姉ちゃんのほうがポンコツかなって(笑)。伝えたいことがあるのに、うまく伝えられないところとか、そういうところが自分と似てるのかなと思います。愛佳ちゃんは自分のことをポンコツだなんて思ってないと思いますけど(笑)。彩佳ちゃんにつっこまれてムッとなるところもかわいい、愛おしい女の子ですね。

——憧れだった歌にも挑戦していますね。

増田:SMILE PRINCESSっていうユニットで、愛佳ちゃんとして歌う楽曲と、増田里紅として歌っている楽曲があるので、その歌い分けが難しかったです。愛佳ちゃんだったらこう歌うかなって思っても、実際に歌うとうまくいかなかったり…でもうまくいった時は嬉しかったです。初めてのレコーディングは緊張でいっぱいでした!

——どちらが歌いやすかったですか?

増田:自分自身として歌うほうが、歌いやすかったかな…。いきなりですけど、私、中森明菜さんが好きなんです。ビジュアルがすごくタイプで、歌を聴いたら歌姫だし、『少女A』とか『禁句』をよく歌ってたんですけど、歌う時に声が低くなるんです。愛佳ちゃんは明るくてスパーンと抜けたような声なので、その元気さを歌で表現するのが難しいなって感じました。

——初レギュラー作品でお芝居と歌を経験して。4月からスタートした配信番組「増田里紅のLet’s STUDY!!!」ではトークにも挑戦していますが、もともとおしゃべりは好きなんですか?

増田:おしゃべりは好きですね。でも配信となると難しくて、話がとっちらかっちゃうんです。あれも話したい、これも話したいって何もかもギュッて一気にしゃべろうとする癖があるみたいで、わあ〜!となってしまって…。

——話すことがなくて言葉が出ない…ということではなく?

増田:初回の時は何を話したらいいのかわからなくて、ディレクターさんがずっとお話してくれました(笑)。あと、視聴者の方のお名前をスケッチブックに書くコーナーがあるんですけど、書くことに集中しすぎてしゃべれなくて。北守さいかちゃんがゲストにきてくれた時は、ずっとしゃべってくれてありがたかったです! でも最近はみなさんから「話すのがうまくなったね」って言ってもらえるようになって、少しずつ成長を感じていただいていると思います!

Netflixに長風呂…休日はおうちでゆっくり

——プライベートでお休みがあったら何がしたいですか?

増田:おうちが快適すぎるので、おうちから一歩も出ない日がたくさんあります。実家なんですけど、日の差し方とか、オフホワイトみたいな壁の色がすごく落ち着く家で。Netflixを観ながらグデンとして、お腹がすいたらお菓子を食べて、自堕落に過ごしています。部屋の中は…漫画とかお化粧品とかでいい感じに散らかっていますね(笑)。

——Netflixではどんな作品を観るんですか?

増田:『ウォーキング・デッド』みたいなゾンビが出てくる映画とか、ホラー映画が好きで。『グレイズ・アナトミー』っていう医療ドラマも観ています。医療だけじゃなくて、ドロドロとした人間関係あり、ちょっと笑いもあったりして面白いです。吹き替えと字幕の両方を観るのが好きで、セリフのニュアンスが違ったりするんですよね。趣味と勉強を兼ねて観ています。

——お気に入りの漫画でオススメをあげるなら?

増田:ダークな世界観が好きなのでデスゲーム系が多いんですけど、『王様ゲーム』とか。『辺獄のシュヴェスタ』もオススメ。魔法裁判をしている頃のお話で、主人公の女の子が修道院の闇を暴いて復讐するんですけど、その子のまっすぐに生きる姿がすごく好きです。

——趣味の入浴は、今でも変わらず?

増田:好きですね。動画を観ながら入っていると長くなってしまって。Lushのバスボムの香りが好きで、泡風呂に浸かったりします。もともと手のシワが深いほうですけど、もっとシワシワになって痛がゆくなるくらい(笑)。あと、お仕事でうまくできなかったこととか、友だちとの会話で恥ずかしかったことを思い出しちゃった時に、シャワーを浴びながら「ひゃあー!」って絶叫することもあります(笑)。

振り幅のあるキャラクターを演じてみたい

——声優としてアピールしたい個性はどんなところですか?

増田:やっぱり元気なところですね。今のところ、それしか取り柄がないかも…(笑)。お芝居を始めた1年前よりは成長したかもしれないけど、「明るく元気に」をいつも心がけているので、アピールポイントです。

——元気になれる秘訣はありますか? ぜひアドバイスを!

増田:食べるのが好きで、そんなに食べる?ってくらいたくさん食べるんです。おいしいものって平和になりますよね。学校でやらかしちゃったとか、友だちとギクシャクしていても、一緒にご飯に行っておいしいものを食べると元気になります。みなさんも疲れた時やお仕事でやっちゃったなあっていう時、ご飯を食べてぐっすり眠ると、きっと元気になると思います!

——これから挑戦したい役やジャンルは?

増田:やっぱり大好きなダークな世界観のある作品に出てみたいです。たとえば『がっこうぐらし!』みたいに、最初はかわいいキャラクターだったのに最終的にはダークな展開になる…みたいな振り幅のあるキャラクターが登場する作品に憧れます。

——最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

増田:まだまだ至らないことが多い私ですが、これからずっと進化し続けたいと思っています。私の成長を見た方が、少しでも笑顔になったり、がんばってみようかな、と思ってもらえたら。みなさんに元気をお届けできる声優になれるように精進しますので、どうか成長を見守っていただけると嬉しいです!

——増田さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】増田里紅さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

増田里紅

増田里紅(ますだ・りく) デジタルダブル所属

増田里紅(ますだ・りく)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト