11月19日、デビュー10周年を記念して制作した写真集『白群（びゃくぐん）』（細居幸次郎：写真/小学館）が発売となった。写真集を発売するのはこれで3度目だ。2冊目まではティーン誌のモデルをしていた縁で中学生の頃に発売したため、新たに写真集を作ったのは8年振りとなる。

　発売日の今日までいろいろな出来事があった。長い時間をかけて、無事に発売できたことを本当に嬉しく思う。

　きっかけはもう数年前になる。2020年のデビュー10周年が見えてきたタイミングで「写真集を作りたいです」と相談した。

　いろいろな方の協力があり2020年6月、デビュー月に合わせて発売しようと動き出したタイミングで世の中が大きく揺れてしまい、海外での撮影を検討していたため、決行が難しくなってしまった。

　いつ状況が回復するかわからない中で、いつの間にか2020年も終わり、このまま写真集の制作はできないかもしれないと諦めていた頃、出版社から「国内での撮影で、もう一度動きましょう」と声をかけていただいた。

　再び始動した喜びの中、コンセプトを決めたり、衣装を選んだり、撮影に向けて着々と準備を進めていくうちに、心のどこかで“本当にいいもの”を作れるだろうかという漠然とした不安も感じていた。

　デビューしたての中学生の頃は写真を撮られることが楽しかった。照明を浴びて綺麗にメイクしてもらい、いろいろな表情やポージングをすることが表現のひとつとして好きだった。

　活動を重ね時間が経つにつれ、自分というものをよく知っていくと、どうしてか写真を撮られることに少し苦手意識を持つようになっていった。写真を通して“自分”というものに向き合わなくてはいけないからか、大切な撮影となると構えてしまい表情が硬くなる傾向があった。

　加えて久しぶりの写真集、緊張もあった。自分の言葉から始まった作品作り、いろいろな意見も出して進んできた責任感もあったのかもしれない。いいものを作りたいと思えば思うほど、大丈夫だろうかという不安もつのり撮影期間を迎えた。

　初日は和装から撮影した。どんな風に進めていくのか緊張していたところ、会話しながら自然に撮影が始まった。カメラマンさんが小さい頃からお世話になっていた方で、笑って昔話などもしながら和やかに撮影が進んでいった。

　1ポーズ目を撮り終えて支度部屋に帰ったあと、カメラマンさんのもとに行き、撮ったばかりのデータを見せてもらった。

「わっ…」

　とても素敵な写真だった。鮮やかな和装と、爽やかな緑。本人がどう映るかだけではなく、そこにある空気や背景、空間そのものを切り取るのが写真集という作品なんだと感じた。

　ヘアメイクや衣装、いろいろなプロの方に魔法をかけてもらい作品作りができる。なんて幸せなことなんだろうと、そう思えた瞬間、“いいものにしなくては”と張り詰めていた緊張と不安が解けていき、楽しく撮影することができた。

　今回撮影の目玉としていたひとつに「断髪式」があった。数年前に写真集制作が決まってからずっと伸ばしていた長い髪を自分の手でバッサリと切る。

　念願の写真集の中で新たな変化をする。これまでの私の全てと、これからの新しい私を表現したかった。

　握ったハサミで初めて思いっきり髪を切ると、心もすごく晴れやかになり、新しい心持ちで後半の撮影に挑めた。

　突然の雨に傘をさした撮影や、休憩の食事中にいきなり撮られた写真、移動中に出会った砂浜に急きょ立ち寄り裸足で遊ぶ様子、いつどんな瞬間でも撮影をして、いい姿であろうと飾ることがない“素の私”も映っている写真集となった。

　タイトル「白群」は私が幼い頃から好きだった色だ。柔らかい白みを帯びた青色。そんな白群のように“澄みきった私”をぴんとした緊張感と柔らかい雰囲気で表せたらと思いこのタイトルを付けた。早朝に撮った海辺の淡い色みはまさに白群のようだった。

　写真のセレクトにも携わり作品が良くなるようにと、少しも妥協をせず作り上げた自信作となった。

　長い時間をかけてここまできて、勇気を出してやりたいと言葉にしたこと、写真に写る自分と向き合ったこと、作品作りの素晴らしさや大変さがわかったこと、その全てがかけがえのない経験となった。

　できあがった作品は一生残る宝物だ。ひとりでも多くの方に届くことを願いながら、ここまで協力いただいた全ての皆さまに感謝をお伝えしたい。