「ひとりでなにかを達成するより、5人のほうが楽しくない?」って思うんです──学芸大青春・星野陽介インタビュー
公開日:2021/12/2
今年8月から9月にかけて、全国4都市をめぐるツアー「Hit your City!!」を成功させたダンス&ボーカルグループ「学芸大青春」(ガクゲイダイジュネス)。念願の有観客ライブとなった同ツアーでは、「2次元と3次元を行き来する」というコンセプトどおり、CGキャラクターと生身の姿を行き来し、時には両者を融合させる演出で観客を魅了した。12月1日には2nd Album『PUMP YOU UP!!』のリリースが、2022年3月から5月にかけては4thツアーも控え、彼らの勢いはますます加速しそうだ。
ダ・ヴィンチニュースでは、そんな学芸大青春の魅力を深掘りするインタビュー特集を企画。メンバーそれぞれのインタビューをお届けしていく。まずは、2ndアルバムでこれまでとは一味違う、繊細な歌声を披露した星野陽介さんが登場!
「誰よりも感情を伝えるのがうまい人でありたい」という目標があるんです
──陽介君と言えば、伸びやかで艶のある歌声のイメージが強かったのですが、2ndアルバムではだいぶ歌い方が違いましたよね。繊細なニュアンスのある素敵な歌声だなと思いました。ご自身の中で、どんな変化があったのでしょうか。
陽介:僕は自分の感情を自分自身で理解して、それを歌にした時にその感情やイメージが聴き手にも伝わればいいなと思っていて。例えば、自分が悲しい気持ちで歌っていたら、その「悲しい」が聴き手にしっかり伝わる。森をイメージして歌ってたら、「あ、今なんか森の感じがする」と聴き手に思ってもらえることを大事にした歌い方を目指しているんですね。特にこの2年目は、自分の歌をひとつの武器にしたいなと思っていて。「誰よりも感情を伝えるのがうまい人でありたい」っていう目標が自分の中にあったんです。それを出せたのが今回のアルバムかもしれないですね。“かんじょうせん”ではそういったチャレンジができてうれしかったです。
それと、確かに爽やかな曲、伸びのある曲を多く歌ってきたんですけど、どっちかと言うともともと自分はバラードのようにしっとりした曲のほうが好きで。でも、やっぱり5人だとなかなかしっとりした曲を歌うことも少ないじゃないですか。今回そういった曲を2曲もやらせていただいたので、「こういう曲をやりたかったんだ!」って気持ちで歌いました。
──しっとりしたバラードって、例えばどんな曲を聴いてきましたか?
陽介:C&Kさんの“みかんハート”がすごく好きで。最近だったら優里さんの“ドライフラワー”や“ベテルギウス”。バックでギターが流れる曲が好きなんですかね。自分の声質的にはピアノのほうが合うと思うんですけど、そういうしっとりした失恋ソングが好きで、そういう曲ばかり口ずさんできたんですよ。失恋して落ち込んでいる聴き手に寄り添ってあげられるような曲が多いなと思うので、僕もそういう歌い方をしていきたくて。欲を言ったら、ソロでバラードを歌いたいです。それが今後の目標ですね。
──初めて“かんじょうせん”を聴いた時、2コーラス目に入って一瞬誰が歌っているのかわからなかったんです。それくらい今までとは雰囲気が違いましたが、ボイストレーニングや自主練をしたのでしょうか。
陽介:もともとこういう歌い方のほうが得意だったんですけど、これまではそういう曲がなかったんです。プロデューサーの杉沢さんも、僕がこういう歌い方を好きなのは知っているので、「陽介が思ったように歌っていいよ。いつもみたいに気持ちよく切なく歌っていいよ。好きな感じの曲が来たね」と言ってくれました。「僕にはこういう一面もあるんだよ」って、これまで出せる機会がなかったので、僕としても「いい曲来たな」って感じでした(笑)。
──しかも、この曲では作詞も手掛けています。もともと興味があったんですか?
陽介:自分の考えていることとか想像したことを言葉にするのが好きなので、すごく興味がありました。実は、手紙を書くのも好きなんです。おじいちゃんやおばあちゃんによく手紙を書くんですよね。手紙つながりで『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』というアニメも大好きで。あのアニメって手紙がモチーフになっているので、「手紙っていいものだな」と改めて感じましたね。『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観た次の日には、おじいちゃんに手紙を書きました(笑)。「こういう映画を観たけど、想いを伝えるのって簡単じゃないんだよね」って。おじいちゃんに手紙で熱弁しました(笑)。
手紙はポエムチックになるとおかしいですけど、歌詞は自分の世界観とかイメージを一から十まで決められて、自分だけの世界を作り込むことができるから楽しいんですよね。そう感じたのが、コロナ禍まっただ中の時期で。しかも、その頃は自分もモヤモヤしていてスランプみたいな感じになっていて、「これからどういう自分を見せていこうか」「どういう歌が自分の武器なのかな」と考えていた頃で。そうやって悩む中で、「自分だけにしか見えない世界観があるはずだし、自分にしか使えないような言葉があるから、それを歌詞にしてみたい」と思ったのが作詞をはじめたきっかけです。
今回の“かんじょうせん”でも、結構モヤモヤしたさまを歌ってるんですよ。自分の感情が理解できていない、とか。だからこそ実体験をもとにして自分の言葉遣いを入れながら歌詞を書けたかなと思ってます。全部つながっているし、これまで生きてきた20数年間は無駄じゃなかったんだなと思えました。
──特に気に入っているフレーズは?
陽介:いや、今回の歌詞は全部を書かせていただいたわけじゃなくて、一部分だけなんです。作詞の方が一部分を空欄にして、「陽介君、ぜひここの歌詞を書いてみて」と言ってくださったんです。僕からしたらチャレンジですし、今後の歌手活動の新しい第一歩だなと思って。すごくいい機会を与えていただきました。
──どの部分を書いたんですか?
陽介:それはあえて言わないようにしているんです。聴いた方が、「ここかな?」って想像してもらえれば(笑)。実際歌詞を作る時は、3つ4つ自分で用意したものを提出しました。自分で全部歌詞を書く場合は、一から十までストーリーを作れますけど、今回は作詞家さんが作ったストーリーにはめ込む必要があったので、まず歌詞をめちゃくちゃ読み込みましたね。「どういう思いでこの言葉を使ったんだろう」って掘り下げて読解して。イメージが似ている曲をちょっと聴いてみたりもしたけど、でもそれと似たような言葉遣いになったら、別に僕が歌詞を書かなくてもいいなってなっちゃうじゃないですか。そこで僕色を出すにはどうすればいいか考えて。
その結果、聴き手が男性でも女性でも自分に置き換えられるように、ちょっと中性的な言葉遣いにしたんですよ。男女問わず、人に寄り添えるような歌詞を制作したいなと思っていたので。もともと自分が書く歌詞もそういう感じなんですよ。男女どちらにも当てはまるように、人間全体に当てはまるように、みたいにイメージしてるので。今回もそういう点を意識しました。
──それを自分自身で歌うのは、特別な感慨があったんじゃないですか?
陽介:これまでやってきたレコーディングの中で、一番気持ちが入りました。やっぱり歌いやすかったです。
──今後も歌詞を書いてみたいと思います?
陽介:もちろんです! いつか自分がフルで作詞をした曲を世に出せたら、本当に素敵なことだなぁと思っているので。そこを狙っております(笑)。
──作詞のために勉強していることはありますか?
陽介:その時見た風景、一瞬一瞬の気持ちを、常にメモに書き留めています。そのメモがすごいことになってるので、早く歌詞に使いたいんですよね。僕の中で眠ってるんですよ、我が子が(笑)。
──ソロのバラードを歌うこと、作詞をすることなどいろいろな目標がありますね。「こうなりたい」というアーティストとしての理想像は?
陽介:メンバー5人の中でも感情を伝えるのが一番うまい、感情表現がうまいと思われたいんです。今後バラードを歌わせてもらう機会があるなら、「陽介の歌い方はすごく心に沁みるな。なんか言葉にはできないけど、ずっと聴いていたいな」って思ってもらえるような歌手になりたいっていう理想があります。これまでは爽やかな曲を歌ってきたからかもしれないですけど、自分の好きなジャンルの曲を自分の好きな歌い方で歌ってみたいんですよね。自分のありのままを聴いている人に伝えられたらいいなと思います。
──今回は大人っぽい歌声も披露していて、すごく素敵でした。
陽介:これまでは爽やかでスパーンと声を出す曲が多かったですし、自分の好きな曲を歌う時はカラオケとか何もない空間が多かったので、今回みたいにしっとり落ち着いた悲しみのある曲をレコーディングブースでどう表現したらいいのかわからなくなっちゃって。今回“かんじょうせん”や“ずっと”では、自分が思ってる7割8割くらいの声量で当てるとちょうどいいなって学びましたね。いつもは9割10割でスパーンと抜けるように声を出してるんですけど、今回は声量を抑えつつ残りの3割4割でニュアンスとか感情を表現して。例えばすごく悲しかったら、息を多めにたっぷり入れたりとか。本当にちょっとしたニュアンスを拾ってくれると知って、「最近の機械すげーな」って(笑)。
特に“かんじょうせん”は、もうマイクにベタベタにくっついて歌いました。もう唇くっついてるくらい(笑)。歌い方の引き出しが増えて、新しい一面を出せたと思うので、自分の成長にもつながりました。
常に今の自分を俯瞰で見られるようにしないと、成長できないと気づきました
──そうやってひとりのアーティストとして成長しつつ、先日出演したテレビ番組では「5人で何かを残したい」と言っていましたよね。個々の活動と5人だから出せるパフォーマンスの違いをどう捉えていますか?
陽介:いろいろ考えたんですよ。でも結局行き着くところは、「ひとりでなにかを達成するより5人のほうが楽しくない?」って思って(笑)。やっぱ楽しさ重視。ひとりより、5人で高い壁登ったほうが多分気持ちいいだろうなっていうそれだけです。単純に4人のことが好きなんでしょうね(笑)。
──活動を続ける中で、メンバーに対する思いは変化しました?
陽介:3rdツアーの時にのどの調子を悪くしてしまったんですけど、その時の4人の気遣いがあったかくて。コロナ禍で実家にも帰れなかったけれど、「ああ、僕のよりどころはこの4人なのかな」って思えたんですよね。ツアー中は、4人への思いが強まった時期でした。
──そのおかげか、ライブではすごく声が出てましたよね。
陽介:でも、自分の中では課題が残るツアーだったんですよ。こういう言い方はよくないかもしれないけど、「楽しい! 最高!」よりも「まだまだだな、自分」っていう思いのほうがデカかったです。のどの自己管理もそうですけど、練習方法から変えていかないといけないと思って。
それで、ツアーを終えてから練習方法を変えたんです。いつも家で歌を練習する時は普通にそのまま歌っていたんですけど、実は僕、イヤモニ(インイヤーモニター)が苦手で。イヤモニを付けると自分の声が直接耳に返ってくるじゃないですか。カラオケみたいに自分の声がスピーカーから出てくる環境に慣れすぎているからか、イヤモニだと今自分の声がどれくらい出ているのか、ちゃんと伸びているのかコントロールしづらくて。そのうえツアーではのどの調子も悪くて、もうダメダメだと思ったので、まずは自分の声が自分の耳に返ってくる感覚に慣れないといけないと思いました。それで、杉沢さんとボイトレの先生に相談して、今は常にレコーディングと同じような環境にして練習しています。こういうところから徹底していったら歌が変わるだろうと思ってます。
──着々と練習の成果が出ているんですね。
陽介:常に今の自分を客観視して俯瞰で見られるようにしないと、成長できないんだなーって気づきましたね。レコーディングもしやすくなりました。これまでは片耳をヘッドホンから外して収録していたんですけど、最近は両耳で聴けるようになりました。ここ最近で、一番大きな変化でしたね(笑)。
──ライブだと3次元の姿で登場する場面も増えていますけど、ライブを重ねるごとにみんなカッコよくなっているのもすごいなと思って。見せ方、パフォーマンスで意識していることはありますか?
陽介:表情を大事にしたいなと思っていて。自分はK-POPが好きなんですけど、K-POPアーティストって表情がどれも一級品。僕らは目を出さずにパフォーマンスをしてますけど、表情を作ることでその雰囲気が体から出ると思うんですね。「ちょっと大人っぽい曲だから、セクシーな表情をイメージしよう」と思うと、自然と自分の気持ちもセクシーな感じになって、それが体の表現にも表れてグルーヴ感につながったりするので。やっぱり表情って大事だなと思います。
最近はK-POPの「Girls Planet 999」っていうオーディション番組を観るのにハマってるんですけど、この番組は女性出演者が99人いたんですよ。そうすると、99人分の表情の作り方、自分の見せ方を研究できるんですね。男性はかわいい表情とかあまりしないけど、女の子はかわいさとカッコよさ、両方でアピールするので、すっっっごく勉強になるんです。もう盗みまくってます(笑)。
実はこれを言うのは初めてなんですけど、“Sugar”のMV撮影でもオーディション番組で勉強したしぐさを真似して、自分なりに落とし込んでます。「いろんなところから吸収していかないと」って姿勢は常に持ってますね。
──次のツアーでは、さらに進化したパフォーマンスが見られそうですね。
陽介:どんどん引き出しを増やしていかないといけないですよね。いつもの曲でも、ダンスの動きにちょっと違うアレンジを散りばめたいんですよ。だから、1曲通してしっかり凝視してもらいたい。見逃さないでほしいです。その一瞬一瞬に懸けているので。
──座談会では有観客ライブについて話していただきましたが、ファンに対して陽介君が今感じている思いは?
陽介:3rdツアーでみなさんからのお手紙を読んだんですよ。すごい量でしたけど、僕は手紙が大好きなのですっごくうれしくて! みなさん、本当にいろんな言葉をかけてくださるんですよね。じゅねフレ(学芸大青春ファンの愛称)の思いや言葉によって、こんなにも自分が形成されているんだなってあらためて実感しました。みんながいるから僕らがいるし、僕らがいるからみんながいる、みたいな。じゅねフレのみんなは、僕らの支えです。
──前回のライブでは、泣いているファンも多かったですよね。
陽介:そう。登場した瞬間にワーッて泣いている方もいて。「ちょ、早い早い! まだ出てきたところだよ」って(笑)。
──感受性が豊かなんでしょうね。「ダ・ヴィンチニュース」でインタビュー記事が掲載されると、それを読んで泣いたという方もいらして、こちらもうれしいです。
陽介:僕も感受性は豊かなほうなので、そのコメントを読んで僕も泣いてます(笑)。
──では最後に、次に登場する優輝君に向けてメッセージをお願いします。
陽介:最近、メンバー個々のレッスンが増えてきたので時間がズレることもあって、夜ご飯を作ってくれないんですよ。でも、それを言い訳にできないですよね!
──厳しいですね(笑)。個別の活動も増えてきているから、優輝君もなかなかご飯を作ってくれなくなっている、と。
陽介:でも、「それは違うんじゃないか!」と僕は強く言いたいです。「ご飯を作ってくれ」──これが僕のメッセージです(笑)。
取材・文=野本由起 写真=中野敬久
ヘアメイク=yuto
学芸大青春4th LIVE TOUR「PUMP ME UP!!」開催
2022年3月から5月にかけて、全国7都市で4th LIVE TOUR「PUMP ME UP!!」が開催。
2022年3月19日(土) 宮城県・Sendai Rensa
2022年3月26日(土) 広島県・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
2022年4月9日(土) 北海道・Zepp Sapporo
2022年4月24日(日) 福岡県・Zepp Fukuoka
2022年5月8日(日) 大阪府・Zepp Osaka Bayside
2022年5月15日(日) 愛知県・Zepp Nagoya
2022年5月27日(金) 東京都・Zepp Haneda
詳細は、学芸大青春 公式ホームページまで。
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※各形態の初回仕様に4thツアー最速先行抽選販売などに申し込み可能なシリアルコードを封入