【ギフト用絵本・児童書5選】子どもに贈りたい! 編集部おすすめの推し本【書評】
更新日:2021/12/7
ダ・ヴィンチニュース編集部メンバーが、月ごとのテーマでオススメの書籍をセレクトする、推し本“+”。12月のテーマは、「子どもに贈りたい絵本・児童書」です。
大人になるほど作るのが難しくなるからこそ、子どもと一緒に考えたい『ともだち』(谷川俊太郎・文、和田誠:画/玉川大学出版部)
むかし古典の先生が「大人になると友達って作りにくくなるのよ~」と言っていて、当時の私は「そうなの?」と思った。今ではとても納得できるし、数ではないことも知っている。「いまどうしてるかなと思い出す人」とか、本書は『ともだち』ってこういう存在だよねということと、相手の立場になって考えることの大切さを沢山の例とともに教えてくれる。ちなみに、『ぼのぼの』の作者・いがらしみきおさんの友達の定義は、別れるときに「こいつの家について行きたい」と思うかどうからしい。
(中川寛子/ダ・ヴィンチニュース副編集長)
親も子も笑える!一緒に読んだら大爆笑!!『おおきなかぶ~』(ガタロー☆マン/誠文堂新光社)
ギャグ漫画家・漫☆画太郎さんが、世界の名作昔話を基に描いた絵(笑)本。大人が読んでもかなり笑えるのだが、やはり親子で一緒に読みたい。お話の展開ごとに「…ました!」と「…ませんでした!」が繰り返し強調されるので、どんなふうにここを読むかがキモになる。読み聞かせする側の表現力が大いに試される作品だ。ハマれば子どもは大爆笑間違いなしなので、夜の寝かしつけの時に読むことはおすすめしない。笑って寝なくなっちゃうから。
(坂西宣輝)
子どもの感性にしみこむ“言葉の養分”「オバケちゃん」シリーズ(松谷みよ子/講談社)
幼いころの感性でしか吸収できない、“言葉の養分”みたいなものが、人間にはあると思っている。言語を操れるようになってきた初期のころ。まだ固まりきらないやわらかい時に触れたものはその人の土台になる。そんな時読んでほしいのが、このシリーズ。言葉の持つ丸みや柔らかみや上品な手触りを存分に味わい、その中で綴られるオバケちゃんの日々の冒険と家族との時間に夢中になる。松谷みよ子氏が紡ぐ言葉と世界は栄養満点でぴかぴかだ。“くもの糸のコップに入った七いろの「おばけジュース」”は、どんな味なんだろうなぁ……。
(遠藤摩利江)
ねずみたちの丁寧な暮らしぶりにほっこり『14ひきのひっこし(14ひきのシリーズ)』(いわむらかずお/童心社)
とにかくずっと眺めていた記憶がある。ねずみのおばあちゃんおじいちゃん、おかあさんおとうさんと子どもたち、全14匹が、力を合わせてすみかをさがして家を作って、冬を過ごして…。ねずみ視点だから普段見ている物のサイズがすべて大きく、14匹が家を器用に手作りする姿に夢中だった。ストーリーを追うだけでなく、1匹1匹の表情やしぐさなどの細部まで、何度も楽しめるのが素晴らしい絵本。個人的には、シリーズの中でも『14ひきのやまいも』『14ひきのさむいふゆ』が特にお気に入り。
(宗田昌子)
「次はどんな話?」夢中でページをめくりたくなる『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(廣嶋玲子:著、jyajya:イラスト/偕成社)
2020年の春、ご縁があって『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』の特集記事を作ることになった。店主の紅子さんの、唯一無二のキャラクター性。願いを叶えてくれるけど、思わぬ「副作用」をもたらす駄菓子の数々。人間の欲望が垣間見えつつ、ひやっとさせられる、1話完結の巧みなストーリー構成。「次はどんな話?」と夢中でページをめくってしまうし、子どもの頃に怖いもの見たさで『笑ゥせぇるすまん』を読んだことを思い出す。そんな『銭天堂』は、今年夏の時点で累計350万部を突破したそう。子どもも大人も一緒に楽しめる、魅力的なシリーズだ。
(清水大輔/ダ・ヴィンチニュース編集長)