「ヘルヴォル」のふたりが語る、『アサルトリリィ』の魅力――藤井彩加×石飛恵里花インタビュー

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公開日:2021/12/15

アサルトリリィ
©AZONE INTERNATIONAL・acus/アサルトリリィプロジェクト ©Pokelabo, Inc. ©bushiroad ©SHAFT

「ヒュージ」と呼ばれる謎の生命体が出現した、近未来の地球。人類を守るために科学と魔法の力<マギ>を結集した決戦兵器「CHARM(チャーム)」を身に着けた少女たちが戦う――。

 アクションドールから生まれたメディアミックスプロジェクト『アサルトリリィ』。2020年1月に舞台を公演、2020年10月よりTVアニメ『アサルトリリィ BOUQUET』を放送、2021年1月よりスマートフォン向けゲーム『アサルトリリィ Last Bullet』をリリースするなど、その世界は広がりつつある。

 今回は、本作『アサルトリリィ』の中で、エレンスゲ女学園のトップレギオン・ヘルヴォルのメンバーを演じるキャスト陣に、「月刊ブシロード」との共同企画でインタビュー。舞台やライブイベントなど多彩な活動を展開し、ゲームでより深い世界を描く『アサルトリリィ』プロジェクトの魅力を、相澤一葉役・藤井彩加、飯島恋花役・石飛恵里花のふたりに、存分に語ってもらった。

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ゲーム『アサルトリリィ Last Bullet』で深堀りされた、ヘルヴォルの個性

――おふたりは『アサルトリリィ』の中で、エレンスゲ女学園のトップレギオン「ヘルヴォル」のメンバーを演じられています。まずは、ご自身の演じるキャラクター(相澤一葉、飯島恋花)の印象についてお聞かせください。

藤井:私が相澤一葉という役と出会ったのは、2020年1月の舞台(「アサルトリリィ League of Gardens」)でした。そのときは「一葉はヘルヴォルの隊長で、真面目な委員長気質」という設定があったので、それを頼りに手探りで演じていました。そのあとにリリースされたスマートフォンゲーム『アサルトリリィ Last Bullet (以下、ラスバレ)』でヘルヴォルやそれぞれのキャラクターがかなり深堀りされ、最初はかなりまじめな子かなと思っていた一葉が、実は思っていたよりも喜怒哀楽が大きくて人間味のある子でヘルヴォルのみんなとちゃんと向かい合っていく子なんだなと、ゲームの収録を通じて知ることができました。今は、一葉の人間らしさを意識して演じるようにしています。

石飛:私が飯島恋花ちゃんと出会ったのは、2020年の9月の舞台(「アサルトリリィ The Fateful Gift」)でした。そのとき私は恋花の過去を知らなかったので、明るくてあっけらかんとしたムードメーカーとして演じていました。その後、ゲームやイベントで恋花と向き合う時間が増えて、少しずつ彼女と触れ合っていって。ゲームのイベントで恋花の過去が描かれて、そこでだいぶイメージが深くなりましたね。今は、もしかしたら一葉よりも頑固なところがあるんじゃないかと思っています。

藤井:うん、わかる!

石飛:「みんなが傷ついてほしくない」という気持ちが強い女の子なんだなと感じるようになりました。

――おふたりはゲームだけでなく、舞台やライブステージでも一葉役・恋花役を演じています。石飛さんは、藤井さんに一葉らしさを感じることはありますか?

石飛:彩加はめちゃめちゃ一葉っぽいなって思います。ヘルヴォルのキャストはみんな仲が良くて、プライベートで集まることがよくあるんですけど、みんなふざけているときにまとめるのが彩加なんですよ。

藤井:あまり意識していないけど、ヘルヴォルで集まると役割的にそうなるのかな。

石飛:リーダー的な立ち位置になることが多いよね。

藤井:私は普段、ちゃきちゃきした人に付いていくタイプなんですけど、ヘルヴォルのみんなといるときはなぜかリーダーっぽくなってしまうんです。一葉という役柄に引っ張られているのかな……。

石飛:わりと何でもやってくれます(笑)。頼めば何でもやってくれる。

――藤井さんは、石飛さんに恋花っぽさを感じますか?

藤井:こうやって「頼めば何でもやってくれる」って、堂々と言っちゃうところですよ! お調子が良いんです(笑)。でも、お調子が良いところがありながらも、まわりをちゃんと見てる。そういうところが恋花っぽいし、ヘルヴォルのみんなはそれぞれキャラクターに似ているところがあるなって思います。

――ヘルヴォルのキャスト5人は、どんな関係だと思いますか?

藤井:今年はコロナ禍ということもあって、会う機会は限られていましたけど、みんなの誕生日に集まってお祝いしたり……。

石飛:LINEもすごいよね。気を抜いて、ちょっとLINEに触れていないと、未読が300件とか超えていて、「何これ! 何か起きたの?」みたいなことがよくあります。それでLINEを読んでみると、ほんとにしょーもない話をしていて(笑)。

藤井:すごいよね。仕事と全然関係ないLINEがたくさん飛び交っているんです(笑)。

石飛:ふざけた内容を送り合っています(笑)。もちろんお仕事のときはちゃんとお仕事をしていますし、レッスンもちゃんとこなしているんですけど、仕事仲間だけじゃない、ただの友だちとも違う……ヘルヴォルっていう絆があるような気がします。

藤井:私のまわりにいるのは家族、友だち、ヘルヴォルって感じ。

――そういう仲の良さは役柄だったり、イベントだったりで表に出ている感じはあるんでしょうか?

藤井:よくイベントのときに「ヘルヴォルうるさい!」って注意されるよね。

石飛:表に出ちゃってますね、たぶん。ヘルヴォルの空気感みたいなものは、かなりイベントで出ています。

――おふたりが印象に残っているイベントは?

藤井:配信の「ラスバレ放送局」にヘルヴォルの4人で出たことがあって、(芹沢)千香瑠役の野中深愛が欠席した回(ラスバレ放送局 Powered by Mildom第8回)と私が欠席した回(ラスバレ放送局 Powered by Mildom第15回)があるんですけど、なぜか4人しかいないのに、まるで5人いるような感じがするのが面白いんですよね。

石飛:写真を合成したり、欠席した人をトークでいじったりして。

藤井:私が欠席したときは、めっちゃいじられました。藤井彩加をテーマに大喜利が始まる(笑)。その番組が配信されたときは、私がSNSで実況して、結果的に5人で配信しているような感じがありました。実はヘルヴォル5人がそろってちゃんと出演するイベントはまだそれほど数がないので、これからが楽しみです。

――去る2021年11月6日に「アサルトリリィ Last Bullet Presents LIVE in TACHIKAWA GARDEN」が実施されました。こちらはヘルヴォル5人が揃い踏みしたイベントでしたね。

石飛:前回のライブイベント(「アサルトリリィ Last Bullet Presents Edel Lilie+」/2021年7月3日開催)を観に行ったときに、彩加がひとりで一生懸命頑張っていて、私はもどかしい気持ちになっていたんです。もちろん彩加はステージ上で素敵に輝いていたんですけど、「私がリーダーを支えてあげたかった!」という気持ちはありました。だから、「アサルトリリィ Last Bullet Presents LIVE in TACHIKAWA GARDEN」ではヘルヴォルみんなで出演できたのが嬉しかったですね。

藤井:前回のライブイベントには一柳隊のみんなもいたので、寂しさはなかったんですけど、やっぱり、ふとしたときにヘルヴォルのみんなといっしょにステージに立ちたいな、と思いましたね。だから、「アサルトリリィ Last Bullet Presents LIVE in TACHIKAWA GARDEN」のステージで5人そろってのパフォーマンスを多くの方に披露できたのは、嬉しかったです。

石飛:そのライブのダンス中に、5人がカノン(ひとつの振付けをそれぞれが拍をずらしながら踊ること)で踊るところがあるんですけど、最後にパッとみんなのポーズがそろうんです。そこがヘルヴォルっぽいなって思うんです。

藤井:たしかにあれはヘルヴォルっぽい!

石飛:みんな個性もバラバラ、背負っているものもバラバラなのに、最後は同じ方向を向いている。「この振付を考えてくださった先生は天才だな!」と思いました。ライブをご覧になってくださった方は、きっとヘルヴォルっぽさを感じてもらえたと思います。

藤井彩加、石飛恵里花

キャラクターと一緒に歩いてきた2年間

――ヘルヴォルの魅力を感じるには、スマートフォンゲーム『ラスバレ』をプレイするのが一番なのではないかと思うのですが、おふたりは『ラスバレ』にどんな魅力を感じていますか?

石飛:やっぱり、ストーリーが面白いんですよね。

藤井:そうそう、ストーリーが良いんですよ。『ラスバレ』をプレイすると、ヘルヴォルのメンバーそれぞれに重たい過去があることがわかるんです。この重い過去があるからこそ、普段の5人の平和な日常がより際立つ。楽しいだけじゃなくて、ちょこちょこと不穏な出来事が散りばめられていくことで、彼女たちが気になってしまうんです。

石飛:まだまだ気になる伏線がたくさん残っているからね……。

藤井:ヘルヴォル単体のイベントには「叛逆のスキャルドメール」(2021年2月リリース)、「罪なき少女達のスティグマ」(2021年3月リリース)、「夜闇を駆けるエージェント」(2021年11月リリース)があるんですけど、どれも必ず謎が残されていくんですよ。

石飛:ヘルヴォルの2年生中心のイベント「夜闇を駆けるエージェント」も最後、意味深で終わったしね!

藤井:演じている側としても、ひと筋縄ではいかない子たちを演じることは、なかなか刺激的です。これからどうなるのか、私たちも知らないところがあるので……。

石飛:いろいろと刺激的な展開があるからこそ、私たちもキャラクターと一緒に体験しているような感じがあって。よりそのキャラクターと一体化できたような気がして、毎回、嬉しいです。

藤井:キャスト発表から2年くらい経ちましたけど、キャラクターと一緒に歩いている感じはありますね。

――ふたりが印象に残っているイベントは?

石飛:「叛逆のスキャルドメール」のイベントで、ヒュージと戦った(初鹿野)瑤が病院に運ばれてしまうシーンがあるんです。そのときに、病院で落ち込む一葉に恋花が意見したら、一葉は「はい」って返すんです。その言葉を聞いた恋花が「はいじゃ、ないだろ……」「はいじゃないだろ!」って2回言うんですよ。そのシーンで私は恋花のいろいろな思いを感じて、胸に響きました。

藤井:そのシーンは、恋花と一葉が初めてぶつかるシーンなんですよ。ヘルヴォルの中で、恋花が一番、現実主義なんです。現実は甘くないと思っている子なので、ヘルヴォルの一員として隊長の一葉についていきたいと思いつつも、現実をしっかり見ている。そういう立ち位置の違いが見えたような気がします。

石飛:ゲームのストーリーを客観的に楽しみたいと思うんですけど、私たちはどうしてもキャラクターを通してストーリーをみるような気持ちになってしまうんですよね。

藤井:街の人々からも、ヘルヴォルは守ってくれない、とすごく責められるシーンもあるんです。「みんなを守る」という強い意思で、一葉はヘルヴォルの隊長になったばかりだったから。一葉の気持ちを思うと、もう……シナリオを見ていられない(笑)。「私だったら、これは耐えられないだろうな」って、つい自分に置き換えて考えちゃうんですよね。

石飛:わかる。

藤井:最初のイベントが、人や仲間同士がぶつかる重いイベントだったから……。

石飛:普段は明るいヘルヴォルだったから、ギャップが大きかったよね。

藤井:そのあとのメインストーリーの1.5章で街の人から「守ってくれてありがとう」と言われたり、瑤や一葉が傷ついたときに手当をしてくれた看護師さんに出会うシーンがあって。台本をいただいたときは、本当に嬉しかったです。一葉が頑張ってきたことが、少しずつ認められていく。ちょっとずつ積み重ねられていることが嬉しかったです。

――おふたりは『ラスバレ』をどのようにプレイされているんでしょうか。

藤井:ヘルヴォルのみんなといっしょに外征に行っています。電話をグループトークでつないで、みんなと話し合いながらプレイしています。

石飛:時間が合ったときは、みんなでプレイしているよね。主に仕事が終わったあとの夜が多いですけど。

藤井:そこでもヘルヴォルのチームワークが出てると思います。

『ラスバレ』1周年に向けて、動き出したヘルヴォル

――『アサルトリリィ』プロジェクトが始まってお時間も経ちました。おふたりもたくさんのライブや舞台、イベントをご経験されてきたと思いますが、あらためてこのプロジェクトに参加された感想を聞かせていただけますか。

石飛:大変だったこと、私はないんです。

藤井:ホントに!? 

石飛:大変だったことあった?

藤井:あったよ~。舞台も大変だったし、イベントも大変だったし。舞台でアクションをしたのは初だったので大変だった!

石飛:ああ、それは記憶から抹消してた(笑)。

藤井:特殊なかたちをしたCHARMを使ってアクションするので、普通の殺陣とも違うし、斬って撃って、というふたつの動作をするから、慣れて自分の身体の一部のように使えるようになるまで、時間がかかりました。

石飛:恋花の使うCHARMは、アクションを指導してくれた先生が「上位3位に入るくらい扱いにくいCHARMだ」と言っていて。私は運動神経が良くないので、カッコが良く決めるアクションは……難しかったですね。仕事で稽古に出られない間に、みんながすごく上達していて。取り残されたような気持ちで、居残り稽古をたくさんしました。

藤井:それを見ていて、頑張ってるなあって思いました。

石飛:みんなが動画を撮ってくれたりして。テーピングも人生で一度も使ったことがなかったんだけど、彩加からいろいろ聞いて。

藤井:みんなテーピングをしないと、身体に負荷がかかってしまうくらいボロボロだったんです。私もテーピングは人生初でした! 「アサルトリリィ」のプロジェクトのおかげで、舞台に向けて身体を少しずつ作ることができました。

――2022年1月には舞台「アサルトリリィ Lost Memories」が予定されています。おふたりの抱負をお聞かせください。

藤井:まだどんな舞台になるのかわからない部分もあるんですが、確実に言えるのは、最初の舞台のときよりは、みんなそれぞれキャラクターへの理解度も深まっていますし、それぞれさまざまな経験を積んでいるので、ヘルヴォルのチームワークをみなさんの前で披露できたら良いなと思っています。

石飛:また5人で舞台に立てることが、ただただ嬉しいです。ゲームだと別々の収録になるので、5人の演じている姿をお互いに見ることができないんですよね。ダイレクトにお芝居ができるのは舞台ならではの面白さだと思いますし、舞台上のみんなを見るのが好きなんです。前回の舞台のときはお互いに「はじめまして」という感じがあって、稽古中もあまり深い話はできなかったんです。

藤井:本番に入ってから、距離が縮まって、ちょっとずつ話をするようになった感じがあったよね。アクションも大変だったし。

石飛:でも、あのころとはキャラクターとしての関係性も、キャストである我々の関係性も変わっているので、稽古のときからそのお互いの高まりを活かしあっていきたいです。お互いの状況もわかるようになってきたし……。

藤井:そうそう。相手のことがわかるようになってきたからね。今は大変なんだろうなって、察することができるようになってきたから。お互いに支えながら頑張っていきたいです。

――この舞台があるころには「アサルトリリィ Last Bullet」も1周年を迎えます。ここまでたどり着いたおふたりのお気持ちをお聞かせください。

藤井:ストーリーも惹きつけられるし、レギオンマッチも楽しいので、いろいろな楽しみ方ができるゲームです。メモリアもいろんなイラストがあるので、私はメモリアを重点的に集めています。それぞれのライフスタイルに合わせて遊んでもらえたら嬉しいです。

石飛:ファンの方が「ラスバレ仲間ができた」と教えてくれることもあって。チャットとかもできるし、ゲームを通じて交流を広げることもできるんじゃないかなと思います。ぜひ、多くの方にプレイしていただきたいです。

取材・文=志田英邦

藤井彩加さん・石飛恵里花さんのインタビューは、雑誌「月刊ブシロード 2022年1月号」にも掲載されています。ぜひご覧ください。
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