名バイプレイヤー・滝藤賢一の私服に学べ! 楽しくてリアルに使える「滝藤流」着こなしの極意
更新日:2021/12/20
在宅勤務が増えたり、出社組でも客先への訪問が減ったりして、スーツを着ることが減ったという人も多いのではないだろうか。となると問題は、それまで休日に限られていた私服選びが、平日にも及ぶことだ。ビジネスシーンでもカジュアル化が進み、仕事場で、スーツ以外のファッションセンスが問われる昨今。学生時代や若い頃はおしゃれに気を使ってきたけれど、歳を重ねた今、何を着たらいいか分からないと悩んでいる大人世代もいるだろう。
そんな人にチェックしてもらいたいのが、ファッション好きな俳優の滝藤賢一氏の私服を紹介する『服と賢一 滝藤賢一の「私服」着こなし218』(主婦と生活社)だ。幼い頃から愛する映画に影響を受けて、ファッションに目覚めたという滝藤氏。そんな彼の季節ごとの私服コーディネイトを、こだわりポイントを伝えるコメントとともにたっぷり紹介している。仕事に行くスタイルや、家族や友人と過ごす時間など、さまざまなシーンでの彼の私服の数々は、ユニークかつバラエティに富んでいて、どれも抜群にカッコいい。
たとえば、レオパード(ヒョウ柄)や、ジャージを取り入れた着こなし。レオパードにビビッドな色を加える思い切ったスタイルに、思わず息をのむ。大きな柄がデザインされた大胆なシャツに、ラベンダー色のジャージを合わせた着こなしは、スタイリッシュなのに快適そう。「そうきたか!」という意外性の連続に、ページをめくるのが楽しくなる。何よりも、着ている本人が本当に楽しそうだ。著者はまえがきでも、親から譲り受けたものや古着を着てもいいし、ファッションは、お金がなくても、老若男女問わず、誰でも遊べる趣味だと伝えている。毎日着るものだからこそ、悩むのではなく、彼のように楽しむことで毎日見える景色が変わるんじゃないか、そんな思いに至る。
本書で紹介されている彼のファッションのポイントは10点。たとえば、ブランドものでなくても、サイズ感さえ合っていればカッコいい。柄ものと柄ものを合わせることを恐れない。服はガシガシ洗う、など。スタイルが良くてダンディな滝藤氏だからこそ、似合う着こなしがあるのは当然だ。しかし、芸能人でもおしゃれ上級者じゃなくても、性別や身長を問わず、ちょっとした工夫で取り入れられるポイントだから実践できそうだ。少しずつチャレンジしていくうちに、「なんかあの人、おしゃれになった?」と思われちゃうかも……そんな期待がぐんぐん膨らむ。
この本を読んだ後は誰もが、「もう絶対着ない」と思っていたあの服や、若気の至りで買ったちょっとヘンな服の存在を思い出すのではないだろうか。明日さっそく、タンスから引っ張りだして着こなしに取り入れてみても良さそうだ。服選びの悩みをワクワクに変換してくれる、ジョイフルな1冊だ。
文=川辺美希