初対面で失敗しても挽回できる! 第二印象リカバリー術/ わかる! 伝える!視線の心理術 ①

暮らし

公開日:2022/1/3

ビジネスシーンでもプライベートでも使える、「マスク・画面越し」のコミュニケーション術。コロナ禍によって、大きく変化したコミュニケーションの形。マスクで口元が見えなかったり、テレワークの普及などの影響で、人の気持ちを察するための手掛かりの不足によって生じる悩みや不安を、心理学の面などからアプローチし、新たな状況の中でのコミニュケーションに対応できる対処法をわかりやすく紹介!

初対面の印象が薄い

 新型コロナウイルス感染症対策として、人と会話をするときにマスクの着用が推奨されてから1年以上経ちました。オフィスではもちろん、外出先において対面で打ち合わせをするときにも、マスク着用で会話をすることが通常になっています。

 仕事先の相手が初対面の場合は、会話をしながらどんなに目を合わせても、その人のことを、マスクをつけた顔でしか記憶することができず、どうしても第一印象は薄いものになってしまいます。そして、それは相手にとっても同じことがいえます。

 たとえば、初めての仕事先とマスクを着けて打ち合わせをする場合、どのようなことに注意すれば、相手に良い印象を残すことができるでしょうか。

ビジネスマナーが第一印象を向上させる

 初めての緊急事態宣言から約1年。これまでわたしたちが対面で行ってきたコミュニケーションのあり方は、ガラリと一変してしまいました。リアルな対面の場では、人の顔の印象の大半をになっている口元が“マスク”で隠れてしまうために、「表情が読み取りにくい」「声がくぐもって聞き取りづらい」などの弊害がともなうようになりました。

 人と対面するときは、つねにマスクを着けなければならない「マスク着用時代」において、初対面の仕事先に良い印象を残すためには、何に気をつければよいのでしょうか。

 そのカギを握るのは、ビジネスマナーにおける「初頭効果」(後述)にあります。

 マスク時代のコミュニケーションと聞くとすぐに、目で笑うコツなどの細部に気持ちがいってしまいがちですが、その前に意識しておくベースがあります。誰もが社会人になりたてのころに身につけた、今となってはあたり前すぎてすっかり自己流となっているビジネスマナーの基本を改めて見直すことが、第一印象の向上につながります。

 たとえば、第一印象を向上させるマナーとしてはどのようなものがあるのか、いくつかピックアップしてみましょう。

視線の心理術

①タイムマネジメント(時間の管理)を厳守する
②立ち姿や姿勢を美しく
③初対面のアイコンタクトを大切に

 誰もがストレスを感じがちな時期だけに、相手を尊重する基本的な配慮が良い印象を強化します。約束の時間通りにきちんと打ち合わせを始める時間厳守は、基本のマナーです。

 また、対面のコミュニケーションで大切になるのは、その人全体の印象です。背筋をピンと伸ばして胸を張ることで、自分に自信をもっている印象が伝わり、相手に信頼感を残せます。最初のあいさつは、必ず目と目をしっかり合わせて。

 このように、マナー、上半身の印象、視線のアクションと、トータルな観点からの第一印象づくりを心がけましょう。

第二印象で好感度のリカバリー

 前述の初頭効果とは、第一印象は人の好き嫌いに大きな影響を与える現象のことです。提唱したのはアメリカの心理学者のアッシュです。彼は架空の人物の特徴について、ポジティブな形容詞から読み上げたときと、ネガティブな形容詞から読み上げたときでは、聞く側の中でどのように印象が変わるかの実験を行っています。果たして前者の場合は良い印象の人物、後者の場合はその逆の印象でとらえる人のほうが多く、第一印象は最初に入ってきたイメージに左右されることがわかりました。

 しかし、初対面のために会話がしっくりこなかったという場合もあるはずです。そんなときには「第二印象」での挽回を目指しましょう。第二印象とは、コミュニケーション論における造語で、会話のやりとりをすることによって形成される印象のこと。もととなる心理学の理論に「親近効果」があげられます。提唱したのはアメリカの心理学者のアンダーソンで、情報量が多い場合、人は最後に提示された情報に影響を受けやすいということが実験によりわかっています。つまり、後日であっても良いコミュニケーションを積み重ねることで、挽回がはかれるということです。人として良い印象をもってもらえる工夫から始めてみてください。

<第2回に続く>