動物たちの知られざる生態――。コミカルなイラストの表紙が印象的な『ゴリラはうんちを投げて愛を伝えるんだってよ！ チョーヤバイ！ 脱力系いきもの事典』（今泉忠明・丸山貴史：監修、春風邪三太（TAK.BR）：イラスト/小学館）は、老若男女が楽しめるパンチの効いた一冊だ。

ゴリラはなぜ“うんち”を投げる？

　動物たちの豆知識を「子育て」「お食事」「ボディ」「ライフ」「トイレ」のジャンルに分けて、紹介する本書。真っ先に気になるのはやはり、タイトルにもあるゴリラの生態だ。

　彼らは1頭のオスと複数のメスで群れを作る。そんな日々で、コミュニケーションを手助けしているのが“うんち”だ。ゴリラはほぼベジタリアンで、自分のうんちを再消化することもある。そして、気に入った相手へ投げ渡す“プレゼント”としても利用しているのだ。

　ただ、動物園でゴリラが来場者にうんちを投げるのは、どうやら逃げ惑う人びとの反応を見て楽しむためといわれている。また、うんちを投げるので汚いと思うかもしれないが、寝床のベッドを毎晩作り直すなど、きれい好きで繊細な一面もあるという。

ウズラの卵が同じ模様って本当？

　料理でよく使われるウズラの卵。これを産むのが、文字どおりのウズラという鳥だ。スーパーでもよく見かけるが、同じメスの産む卵がほぼ同じ模様であるというのは驚く。

　彼らの卵に独特な模様があるのは、天敵であるヘビや他の鳥などに見つからないようにするためと考えられている。生態も他の多くの鳥とは異なり、地面に卵を産む。ウズラのメスは卵の模様や色に合わせて、天敵に見つかりにくい場所を選んで産むという。

　なお、本書の豆知識によれば、ウズラの卵を出荷する農家は年々減少していて、ここ50年ほどで97％が廃業。2021年3月現在、全国で27軒しかなく貴重な存在になりつつあるという。

肺呼吸をするイルカたちは寝るときどうしてる？

　知能が高い動物として知られるイルカは、海に住んでいながら人間と同じく肺呼吸をする。そのため、彼らはたびたび水面に出て息継ぎをしなければならない。

　とはいえ、起きているときはまだしも寝るときはどうしているのか……。実は、睡眠中もイルカたちは半分起きていて、必要なタイミングで息継ぎをする。おぼれないために身に着けた術で、敵に襲われてもすぐさま逃げられるメリットもある。また、意外なのは生物学的にイルカとクジラが同じグループに属する哺乳類であること。体長4メートルを超えるとクジラ、それより小さいものがイルカに分類されている。

　身近な動物たちもたくさん登場する本書。この一冊を読むと、動物園や水族館に足を運びたくなってくるだろう。

文＝カネコシュウヘイ