立花さんが、アクセサリーブランドを立ち上げたきっかけは?/やりたいこと、全部やりたい。 自分の人生を自分で決めるための方法②
公開日:2021/12/26
立花佳代著の書籍『やりたいこと、全部やりたい。 自分の人生を自分で決めるための方法』から厳選して全7回連載でお届けします。今回は第2回です。シングルマザーとなり貯金ゼロからの起業。インドの小さな村発のアクセサリーブランドの立ち上げなど、やりたいことを全部やって人生を切り開いてきた、アクセサリーメーカー「スプリング」代表の立花佳代さん初の書籍です。自分も周りも幸せにするエシカルな生き方のヒントが満載の『やりたいこと、全部やりたい。 自分の人生を自分で決めるための方法』をお楽しみください! 生産者、お客様、すべての人が幸せになってほしいという、立花さんの思い。成功の秘訣は自分自身が楽しみことが大切!
自分が楽しくないと、まわりも幸せにできない
いま、わたしが代表を務めるスプリングでは、事業の柱のひとつとして、インド伝統の手刺繍やビーズワークを活かしたアクセサリーブランド「MAYGLOBE by Tribaluxe」(メイグローブ バイ トライバラクス)を展開しています。
どの商品もインド独自のデザインを取り入れながら、日本の女性が可愛いと感じられるような、日本のトレンドを押さえた繊細でオリジナリティあふれるアクセサリーです。
それまで、これといって目立った産業のないインドの小さな村の女性たちが手に職をつけることで、自立の機会を与えているとの評価を得て、おかげさまで商品のクオリティーだけでなく、SDGsなどの言葉が広がるなか、エシカルなアクセサリーブランドという文脈で評価をしてくださる方が増えてきたのは、本当にありがたいことです。
「MAYGLOBE by Tribaluxe」のアクセサリーは、インドの大都市・デリーから車で2時間ほど行った北部にある、伝統工芸技術を受け継いできた村々との協働でつくられています。
刺繍が得意な村、編み物が得意な村というように、それぞれの村に代々伝わる伝統工芸の技を活かして、当社でデザインしたものを手先が器用で技術のある職人たちが丁寧に一つひとつ手づくりします。
一般的な金属をベースにするのではなく、生地を使っているため軽くて着け心地がいいこのアクセサリーは多くの人に好評をいただいていますが、2004年にわたしがはじめてインドを訪れて以来、ここまでのブランドに育て上げる道はとても険しいものでした。
わたしがインドでアクセサリーをつくることを考えたのには、いくつかの理由があります。
まずわたし自身が、もともとアジアの民族系ファッションが好きだったのです。家業を手伝っているときから、シンガポールやタイやマレーシアからファッションアイテムをよく仕入れていました。
このとき、インド産の刺繍アイテムやガラスビーズなども扱った経験から、「インドのアイテムは技術もあって、ユニークなものがあるな」と常々、感じていたのです。
そしていつの日か、日本のファッションに感度が鋭い女性たちが、納得して着けられるインドのアクセサリーをつくりたいと思うようになっていました。
なにより、わたし自身がそんなアクセサリーがほしかったのです。
「ならば、自分でつくってしまおう」
そうして、いわば自分が楽しむために、ほかのどこにもない質の高いオリジナルのアクセサリーをつくることを思い立ちました。
最初の原点が、「自分が楽しむ」ということだったのがうまくいった秘訣だと思います。
他人を幸せにしたいとか、他人にいい格好をしたいとか、他人を行動の動機づけにしてはじめたことは長続きしないし、うまくいかないように思います。
なぜなら、まさにその他人の力を借りないと、ものごとを成し遂げることはできないからです。
自分でなんでもできる人だったら違うのかもしれませんが、少なくともわたしひとりの力なんて微々たるもので、まわりの人間の力に頼らないとなにもできません。
だからこそ、相手も同じように「楽しそう」「やってみたい」と本気で思ってもらうことが大切です。
自分が心の底から「楽しい」「やりたい」と思ってもいないことを、相手に「楽しい」「やりたい」と思ってもらうのは難しいのではないでしょうか。
これができたらこんなすごいことができる、こんな楽しいことになるということを、心から相手に伝えてはじめて、相手も一緒になって協力してくれて、ものごとはうまくいくはずです。
そのため、わたしの行動の基準はいつも「自分が楽しいと思えるかどうか」にあります。
つくる側も仕入れる側も幸せなブランドにしたい
そんな思いで事業を進めてきて、想定していなかったことが起きました。
それは、インドでのビジネスを通じて現地の女性たちと触れ合い、彼女たちの生活水準の向上にも貢献できたことでした。
村では女性たちが手工芸で家計を助けていますが、村のインフラはまるで整っておらず、みんなとても貧しい生活を送っています。それでも彼女たちはいつも明るく、毎日たくましく暮らしていました。
そして現在では、日本市場向けの製品をつくるために多くの職人たちが活躍し、産業の少ないインドの村の生活水準の向上につながっています。
現地に行くと、自分たちの技術で生活がよくなることを誇りに思ってくれている様子が伝わってきます。
わたしたちも、自分たちのためにはじめた仕事をとおして彼女たちの役に立てていることがとても幸せで、これからも楽しんで、一緒に仕事を続けたいと思っています。やはり、つくる側も仕入れる側も幸せであることがなにより大切なこと。
そんなわたしたち生産者と、その製品を楽しんで着けてくれる消費者の「思いがつまった」ブランドが、「MAYGLOBE by Tribaluxe」なのです。