悩みのドツボにハマる…。だけど、悩んだ日々も報われるときがくる!/しいたけ.のやさしいお守りBOOK

暮らし

公開日:2021/12/28

悩みと仲よく喧嘩する

 悩みって不思議で、「解決しようとしてくる人」の前には決して姿を現しません。そのような場所に出てくるものは悩みではなく、課題。「どんな戦略を練ったら売上げが伸びるか」とか「私の性格をどのように改善したら、もっとモテるのか」とか。

 課題には前進してゴールを目指すアグレッシブさがあります。でも、悩みはもっと恥ずかしがり屋だし、基本的に後ろ向きだし、その上で、相談する相手をすごく見ています。

 

 僕は、自分が占いという商売で食べていける技術があるかどうか、などという個人的な事情はさておき、「その人とともに生きてきた、大切な同居人」である悩みに会えることを楽しみに仕事をしてきました。

 悩みによってその人のことがわかりますし、悩みに対する距離感で、その人の生きる姿勢、強さ、寛容さ、そして、いい意味でのいい加減さも教えられました。

 とても誇り高い悩みもあって、「この人はもう、この問題を長く持ち続けてはいけない」と、悩みのほうから同居計画を解消し、その人のそばから出ていく――なんてこともありました。

 

 もう少し、僕の話をさせてください。ドン引きしないで聞いてほしいのですが、占いを始める前、10代のころから、僕は毎日、自分の悩みと喧嘩をしていました。

 僕の悩み「なんでおまえは勉強できねぇんだよ」

 僕「うるせー。こんなつまんねーことやりたくないっつうの。何が楽しくて鶴と亀の足の数を計算しなきゃいけないんだよ。放っておいてやればいいじゃないかよ」

 

 僕「なんでこんなに運が悪いのか。腹立つわ。どうせダメなら期待なんてさせるんじゃないよ」

 僕の悩み「うるせー。お前はよくやったじゃねぇか。潔く負けて、“名誉ある就寝”を選びなさいよ」

 

 ときどき励ましてくれる悩みもいて、10代と20代のころには、実家の近くに「悩みとの喧嘩コース」があり、缶コーヒーを片手に悩みと言い争いをしながら歩くのが日課でした。

 いつからか、「自分の人生なんてどうなるかまったくわからないけど、こいつ(=悩み)と真剣に、一生かけて喧嘩をしていけば、けっこうおもしろいことになるんじゃないか」と感じはじめました。