「自己肯定感」が低いと悩んでいる人は、「くやしい」を1日1個に限定しよう!/しいたけ.のやさしいお守りBOOK

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公開日:2021/12/31

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しいたけ.のやさしいお守りBOOK』(しいたけ./マガジンハウス)

「くやしい」は1日1個限定

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 noteで書いている記事やお悩み相談などでも頻繁に「私は自己肯定感が低いです」というお便りが寄せられていて、すごく興味深いです。

 というのは、自己肯定感という言葉じたいがかなり現代的な言葉ですし、この言葉ってひと昔前までは心理学などであつかう専門用語だったからです。

 

 そして、僕がこの「自己肯定感の低さ」という言葉を聞いたときに、いちばん最初に思い浮かべるシチュエーションが「まわりの人が自分の思うとおりに、もしくは自分に対して温かく対応してくれない」という場面なのです。

 ちょっとひどい言い方ですね。ひとりよがりみたいで。でも、もう少し話を聞いてみてください。僕自身の実例をもとにお話をしていきたいです。

 自己肯定感の低さといえば、小学生・中学生のころを思い出すのですが、僕はすごく人見知りで、その当時親友と思っていた1人の友だちとずっと一緒にゲームをしたり、学校から一緒に帰ったりしていました。

 その親友が「今日さ、〇〇も一緒に帰っていい?」とか、第三者を入れてくるパターンがあるじゃないですか(笑)。

 そして、人見知りの人はわかってもらえると思うのですが、「う、うん。いいよ」とか答えるんだけど、その第三者が入ってくると、人見知りの僕はひと言もしゃべれなくなる。

 

 この情景がなぜ「自己肯定感の低さ」と関係するかというと、自己肯定感が低い人って、全部の場面で「自信がない」わけではない気がするのです。

 むしろ、「本当は得意な場面があるし、自分の能力なり、話術なりがどこかで“ハネる”こともある。でも、なぜかそういう躍動感が自分にやってこなくて、目立たない自分でいることがくやしい」って感じなのです。

 だからですね、ご自身で「自己肯定感が低い」と申告する人って、じつはいろいろ準備はしてきたと思うのです。でも、その準備をどこの人間関係で、どの環境の中で活かしていけばいいのかわからない。それこそ、

「本当はいろいろしゃべれるはずなのに、自分にとってよくわからない“親友の友だち”がその場に加わったことでまったくしゃべれなくなってしまうくやしさ」と「自己肯定感の低さ」ってちょっと似ている感じがするのです。

向上心がもたらす副作用

 僕なりの考えを言うと、自己肯定感が低い人の特徴って「深い達成感」を潜在的に求めている人だと思うのです。

 

◎誰かとの会話の中でも「もうちょっといろいろ突っ込めたな」とあとで消化不良を覚える。

◎LINEやメールでも、会話が終わった後に「あれ、なんか私、変なこと言っちゃったかな」と後ろを振り返ってしまう

◎頼まれた仕事に対して、どこまでの完成度を求められているかわからないから、倒れるまでやりきりたい

◎誰かと会って話して、「あー、そうですね。ふふふ」とか愛想笑いをされると、なんだか負けた気持ちになる

◎自分より注目を集める話題を提供した人に対して、「あー、くやしい」と思う

 

 こういう人です。

 これって全部に共通するのが、ちゃんと「くやしい」という気持ちがあって、70点じゃ満足できない、物事をつねに100点まで持っていきたい人の特徴なのです。だから、人として素晴らしいのです。

 だって、向上心がちゃんとあるからでしょう。向上心って「くやしい」っていう気持ちがないと起きないものです。

自己肯定感が低い人にやってもらいたいこと

 自己肯定感の低い人たちが請け負う苦しさって、「全部に対して完璧でなければいけない」という潜在的な気負いなのです。

 友だちと軽快なトークをして、職場では注目されて、ちょっと気になる人とのLINEでは「〇〇さんと話すといつも救われる。今度ぜひお礼させて」と言われて、満面の笑みで電話のスイッチを切りたい。

 そう、それは「あこがれの私」に対する「現状の私のいたらなさ」からくるくやしさなのです。

 ですから、自己肯定感が低い人に、ぜひやってもらいたいのが、

「くやしがる対象を、1個に限定する」

 です。毎日の生活の中で3個も4個もくやしさを抱えてしまうと、やっぱりそれって自分がつぶれていってしまう。「私はなにをやっても中途半端だ」なんていうセリフが出ちゃうようになります。

 

 だから、くやしさの対象は1日1個にして、「友だちとの会話でなにか1回、みんなを笑わせる」ってやるとかね。

「友だちを笑わせる重点キャンペーン」を組めばいいのです。そうしたら、すごく成長できる。

「友だちを笑わせる重点キャンペーン」中は、仕事に関してはそこまで100点を取れなくてもいいとしましょう。

 もちろん、急な仕事を任されることもあるから、そのときにはキャンペーンをその日に切り替えて、「仕事で100点取るキャンペーン」に集中する。

 くやしがる対象が1個だと、がんばれるのです。そして、知恵も浮かんできます。

 でも、自己肯定感が低い人の特徴って、誠実に悩むのです。そして、誠実に5個も6個もくやしがってしまう。

 

 僕自身を振り返ると、原稿で集中的に100点を取らなきゃいけないときは、ある程度の私生活の部屋の清潔さとか、「ツイッターでなんかつぶやかなきゃ」を捨てます。そのあたりは生ぬるい60点でいい。

 それって、英語の習い事をしながらお料理教室にも通って、筋トレもするみたいな――まぁ、もちろん少数の人はそれをこなしちゃうけど――いっぺんに全部を極めようとしても無理でしょう。

 

 だから、くやしがる対象は1日1個に限定してください。

 毎日「どこを重点的に取り組むかキャンペーン」は変えていいですから。

<続きは本書でお楽しみください>

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