星希成奏「キャラクターの魅力を“代理人”として表現するのが楽しい」【声優図鑑】
更新日:2022/1/17
キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第277回目に登場するのは、昨年3月の「A応P」活動終了を経て、声優としてますます活躍中の星希成奏さんです。
『アイドルマスター シンデレラガールズ』(夢見りあむ役)など、演技だけでなく、抜群の歌唱力も披露している星希さん。声優アーティストに憧れていた頃のエピソードや、「男の子役を演じてみたい」と語る声優としての願望などを聞きました!
最初に憧れたのは声優アーティストです
——幼少時はどんな子どもでしたか?
星希:子どもの頃は、同い年の子を子供だなと思っていたような子でした。
いじめられている子を助けるために一緒に遊んだりして。3年生くらいになると男の子に憧れるようになって、ランドセルを片方の肩で担いでかっこつけたり、変なことばっかりしてました。当時『イナズマイレブン』が流行っていたので、真似をしてサッカーをしたり、バレーボールやバスケの習い事をしたり、スポーツをして遊ぶことが多かったです。
——そもそも人前に立つような仕事に興味はあったのでしょうか。
星希:地元の福岡でスカウトされることが何度かあって、小さい頃に母親がノリでオーディションに応募したこともあったんですよ。だから芸能に対してあんまり壁を感じていなかったです。でも自分の容姿等には自信はなかったので…難しい道のりであることはわかっていました。
——ちなみに、声優で憧れていた方はいますか?
星希:最初に声優に興味をもつきっかけになったのは、宮野真守さんです。アニメオタクだったので、うた☆プリの一ノ瀬トキヤの声との差に憧れました。『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカ役がまったく違うイメージだったから驚いて。歌が好きだったから、自分がなりたいなと思っていたのは声優アーティストです。
——小さい頃から歌が好きだったんですね。
星希:はい。両親が歌好きだから、カラオケによく行ってました。独学ですけど、周りからうまいって言われることが多かったので、自分が戦える武器は歌しかないなって思ってました。
小さい頃から女の子っぽく振る舞うのが苦手
——今の事務所には、どんなきっかけで入ったのでしょうか。
星希:高校1年の時に受けたオーディションです。もともと保育士を目指していたんですけど、友だちから歌手のオーディションについてきてほしいと言われて、地元福岡での審査が通過をして、東京審査に向かいました。でも結果は不合格。ここであきらめたら私自身が否定された気がするなと感じて、リベンジのつもりで受けたのが、今の事務所のオーディションでした。
——では、A応Pのオーディションは、事務所に入ってから受けたのですね。
星希:もともとアニメオタクだから、A応Pが主題歌を歌っていた『おそ松さん』も大好きだったし、『はなまるぴっぴはよいこだけ』も歌って踊れるくらい好きだったんですよ。自分の性格を考えると、アイドルになるのは違うなと思っていて。でもA応Pは、アニメ好きな子たちが集まったアニソンも歌うガールズグループだし、声優アーティストとしての経験を積むためにも挑戦したいなと思いました。所属してからも、このまま続けていいのかなって不安になることがありましたけど。
——それはどうして?
星希:小さい時から、女の子っぽく振る舞うのが苦手なんです。でも最近は、見た目だけじゃなくて、私の内面を知ったうえで応援してくださる方が増えていて、すごく嬉しいです。
どのキャラクターも平等に愛しちゃいます
——2018年頃から声優の活動がスタートしています。お仕事を始めたばかりの頃の思い出を教えてください。
星希:もともと大好きなアニメがお仕事になると、好きだからこそ“こうするべきだ”っていうイメージにとらわれてしまって、経験不足でついていけず、失敗の連続でした。でも、どんな失敗をしたのか覚えてないんですよ。失敗するのが当たり前だと思っていたし、どうやったら活躍している先輩方に近づけるのか考えることに夢中で、前しか見えてなかったんでしょうね。かっこいいことを言いたいわけじゃないんですけど(笑)。
——必死で前に突き進んできたんですね。そんな中で『アイドルマスター シンデレラガールズ』の夢見りあむ役が決まり、どんな感想を持ちましたか?
星希:アイマスといえば知名度の高い作品ですよね。でも作品の大きさより、役をいただけたこと自体が嬉しかったです。ほかの作品もそうですけど、どの作品もどのキャラクターも、平等に愛しちゃうんです。
——演じるうちに、役に夢中になれる一面は見つかっていきましたか?
星希:そうですね。りあむちゃんの思っていることを伝える代理人になりたい!って思うようになりました。りあむちゃんってひとクセある女の子だけど、「気を遣う、でも言いたい、やっぱり気を遣う…」って考えて抜いた結果、あの言葉が出てしまうんですよね。だから、一つ一つのセリフが嫌味に聞こえないなって思ったんです。そんなりあむちゃんの魅力を伝えるには、その3段階、4段階の気持ちを表現しなきゃいけない。難しいことだけど、りあむちゃんが一生懸命に生きている姿をどう伝えられるのかを考えるのが楽しいです。
——楽しみながら演じているのが伝わってきます。今年から個人のYouTubeを始めていますが、こちらは何かきっかけが?
星希:3月にA応Pが活動終了したのと、Vチューバ―の御伽原江良さんとの番組も終わってしまったので、お仕事で出会った人たちと何かできたらいいな、ということで始めました。
YouTubeなら、自分たちだけでも始められるじゃないですか。でも「こういう自分を見てほしい」みたいな自己顕示欲がない人間なので、ネタがないんです。メイク企画はファンの方からお願いされたものだし、歌はもともとボーカロイドが好きだから。本当はやりたいことがあって出すのが一番だと思いますけど、それがないので、何が求められて何を喜んでもらえるのかをいつも模索中です。
——やりたいことをたくさんお持ちだと思っていたので、すこし意外でした。
星希:どちらかというと、表に立つ人間としては周りの目を気にして、周りに合わせてしまうタイプなんです。自分自身人間としての軸はしっかりあるんですけどね…。
男の子役を演じてみたい
——声優さん同士で仲のいい方はいますか?
星希:空気を読むので孤独になりがちですけど…A応Pの春咲暖は、なんでも話せるくらい仲がいいです。A応Pを始める前から交友関係があって、同じ声優部門でもあるし。「おはよう!」って楽屋に入ってくるテンションで、「昨日いいことあったな」とか、わかっちゃうんですよ(笑)。
春咲はわかりやすくない子なんですが、互いの関係性が培ったようで、私の方が断然!読み取る能力が増しました。
——(笑)。では、休日にしてみたいことは?
星希:ゲームしたい! どこかに出かけるなら、可愛い女の子とデートしたいです。『ONE PIECE』が好きなので、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのプレミアショーにも行きたい。最近はまってるポケモンのプレショもいいな。
——最近、というと?
星希:ソーナンスが好きなんですよ。ソーナンスって「そうなんす(ソーナンス(鳴き声)」しか言えないから、もしイヤなことがあって、それを否定したくても、私たちには「そうなんす」としか聞こえないんですよね。だから、ソーナンスが否定したい時に否定してあげる役が必要なんです。それが、私(笑)。この子を守らないとって。
——深いですね! 今後、声優として挑戦したい役柄やジャンルはありますか?
星希:男の子の役を演じてみたいです。竹内順子さんや田中真弓さんみたいに、男の子役を演じている女性声優さんにずっと憧れていて、自分の声の強みも出せる役なのかなと思ってます。
——最後に、読者へのメッセージをお願いします!
星希:いつも応援してくださっているみなさんには、いつも本当にありがとうございます。はじめましての方には、はじめまして。私のことが気になってくれている方、「可愛い」も「かっこいい」もどちらも演じられますので、好きなほうを選んでください! 私にはまると沼が深いですよ。ブラックホールです(笑)。
——星希さん、ありがとうございました!
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!
星希成奏
・星希成奏(ほしき・せえな) ソニー・ミュージックアーティスツ所属
◆撮影協力
撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト」