負ければ県が消滅!? 鳥取県のご当地神が挑む首都争奪バトル!『四十七大戦』/マンガPOP横丁(92)

マンガ

公開日:2022/1/7

四十七大戦
『四十七大戦』(一二三/講談社)

 新年明けましておめでとうございます。なんとか2度目の年を越すことができました。これも毎週チェックしてくださる読者の皆様のおかげです。今年も皆さんに楽しい新作マンガをPOPとともに毎週ご紹介していきますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いします! さて2022年1発目を飾る作品は『四十七大戦』(一二三/講談社)という、このコーナーでは珍しいバトルものをご紹介。実はこの作品、2016年に連載が始まったのちに一旦休載に入るのだが、2021年に出版社を移籍し連載再開。これを機に移籍先よりコミックスがあらためて1巻から発売されたという異色の経歴を持つ作品なのだ。

主役は鳥取県!なにもかもが攻めた内容の物語

 さて気になる内容だが、ざっくり言えば各都道府県に存在する「ゆる神」と呼ばれるご当地神同士が戦い、最終的に未来の日本の首都を決めるバトルストーリーなのだが、とにかくその内容から設定から何もかもが攻めている。なんせ、物語の冒頭で、

「日本政府は先ほど、日本の首都が鳥取県になることを発表しました」

 と鳥取県が勝利するという衝撃の事実から始まるからだ。そしてどうやって鳥取県は勝利を掴んだか、その奇跡の軌跡をたどるという、鳥取県が主役の物語となっているところも攻めているポイントだ。さらに鳥取県は日本の最果てにあり文明から隔絶された、世界でもまれにみる「秘境」そして崩壊の危機を意味する「消滅可能性都市」に指定されているという設定だ。

各都道府県の神たちが存続をかけて繰り広げる壮絶バトル

 さてそんな未来が危うい鳥取県であるが、この作品の世界では日々県民を陰で支えてくれている者が存在している。それがこの物語の要となっている、ご当地神「ゆる神」と呼ばれる「鳥取さん」だ。彼は鳥取県そのものであり、例えば彼が何かダメージを受けると県の産業などがダメージを受けるといったように、鳥取さんが受けた影響がそのまま県に反映されるのだ。そんな鳥取さんが突然謎の戦いに巻き込まれる。各都道府県に存在するゆる神同士の首都争奪戦で、勝てば存続が保証、負けると勝者の都市に住民が流出し吸収合併され消滅に至るという非常に過酷なルールとなっている。鳥取さんの初戦は隣県でライバルの島根県で、両県民にしたらもはやクライマックスな一戦だろう。そしてその戦い方だが、各都道府県の特徴や名物を生かしたものが武器となっており、かなり自虐的なネタも含まれている。このあたりもかなり攻めた設定だ。ちなみに負けることを人口流出とかけて「過疎化される(ころされる)」というのが非常に強くて良いワードと思い、POPに反映させ「負ければ過疎化される!」をキャッチコピーとした。最弱と言っていい状態から首都争奪に挑む鳥取さんの活躍に注目していただきたい。

以前は県をあげての応援も!再燃を期待!

 この作品は鳥取県がメインということで、出版社の移籍前には当時の鳥取県知事がコスプレをして応援しており、聖地巡礼マップを作ったり舞台化したりという盛り上がりを見せた。今回の移籍により再燃するのではないだろうか。そしてこれからも続く個性たっぷりのバトルは各都道府県民の心に大きな一撃を与えるかもしれない。気になった方は、手に取ってみてはいかが?

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう