【20歳の自分へおすすめしたい本】成人を迎える方に読んでほしい! 編集部おすすめの推し本

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更新日:2022/1/9

ダ・ヴィンチニュース編集部推し本バナー

ダ・ヴィンチニュース編集部メンバーが、月ごとのテーマでオススメの書籍をセレクトする、推し本“+”。1月のテーマは、成人の日にぜひお届けしたい、「20歳の自分へおすすめしたい本」です。

お先真っ暗なんてない。『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子/幻冬舎)

『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子/幻冬舎)
『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子/幻冬舎)

「キミモマタイチリンノハナ タカガイチリン サレドハナ」とは、今から10年前に頂いた餞別の扇子に手書きされたメッセージの一部。重厚な小説でもなく、何を今さら?と思われるかもしれないが、二十歳の自分に『置かれた場所で咲きなさい』をそっと渡したい。仕事の躓き、興味も人間関係も取捨選択できず、隣の芝生が青く見えては自信を無くす。はて愛とは? 果敢に生きていながら不安定というのが20代だろう。「ハナ」のように置かれた場所で自分らしい最善を尽くしてみる。僅かでも進めばなんとか道は繋がるし順風満帆な人生なんてないのだから…詰んだ時に糸口を与えてくれる1冊。
(中川寛子/ダ・ヴィンチニュース副編集長)


こだわって生きろ。そんなメッセージに熱くなる『SHOE DOG』(フィル・ナイト:著、大田黒奉之:訳/東洋経済新報社)

『SHOE DOG』(フィル・ナイト:著、大田黒奉之:訳/東洋経済)
『SHOE DOG』(フィル・ナイト:著、大田黒奉之:訳/東洋経済)

 マラソンや駅伝で今話題のナイキの厚底シューズ。革新的な靴を生み出すためにナイキが持つ理想や情熱が創業時から全く変わっていないと分かる一冊。トラブルだらけのナイキの成長物語は、常に胸熱な出来事の連続で、創業者のフィル・ナイト氏は驚くべき行動力で困難を乗り越えていく。その姿に「働くこと」に対するひとつの解答が見つけられると思う。フィル氏は若者に「天職を追い求めろ」と訴えている。中学生の時からナイキ好きな私が20歳の時に本書があったとしたら、この言葉がどのように心に残っていただろうか。
(坂西宣輝)


よっしゃやったるか!と思える就職(?)本『バッタを倒しにアフリカへ』(前野 ウルド 浩太郎/光文社)

『バッタを倒しにアフリカへ』(前野 ウルド 浩太郎/光文社)
『バッタを倒しにアフリカへ』(前野 ウルド 浩太郎/光文社)

 バッタアレルギーの「バッタ博士」である著者が、バッタ被害に悩むアフリカ・モーリタニアに(研究と就職活動を兼ねて)単身乗り込む、科学冒険×就職活動記録本。もうこれだけでワクワクが止まらないのだが、実際の現地生活、バッタ研究の奮闘は、地道でリアルでエキサイティングだ。沢山の困難やプレッシャーがあったであろう日々を、ユーモアを忘れず楽しむ姿勢、“好き”に対して全力投球して自分のスタイルを見つけていく姿は、社会人としてもう眩しい! 子どもが読めば異国でのバッタ研究に夢中になるだろうし、成人を迎えた後に読めばタフな就職・お仕事譚としてぐいっと背中を押してもらえるに違いない。
(遠藤摩利江)



女性に課せられた理不尽に無自覚だった20歳の自分に。『BUTTER』(柚木麻子/新潮社)

『BUTTER』(柚木麻子/新潮社)
『BUTTER』(柚木麻子/新潮社)

「負け犬」「女子力」などのワードがごくごく普通に日常に溶け込んでいたあの頃、20歳の自分は無意識に生きづらさを抱えていた。本作は実在の事件を下敷きに、女性たちの、ある種バターのように濃厚な人間模様を描く作品だが、頻出する料理や食事のシーンは、食べる喜びと作る喜びでいっぱいだ。誰かのために料理を作ることが愛情の証明になるのではなく、また愛情を込めたつもりでも必ずしも愛されないことを描く本作は、愛情を伴うとされる行為全般を一度愛情と切り離し、女性に課せられた理不尽を明らかにする。20歳の自分をも応援する1冊である。
(宗田昌子)


一貫している仕事は強い。『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷学/ダイヤモンド社)

『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷学/ダイヤモンド社)
『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷学/ダイヤモンド社)

 2018年まで雑誌「週刊文春」の編集長を務め、現在は「文藝春秋」編集長である新谷学氏が、自らの仕事術を記した1冊。個人的に、学生時代はとにかく大量の雑誌を読み、さまざまな影響を受けたし、その中でも「週刊文春」は、毎週隅々まで目を通した。「文春砲」というワードが生まれる、15年くらい前の話だ。『編集長の仕事術』で新谷氏は、「ファクト」を強調しているが、目指すもの・ブレない軸・通そうとする筋が一貫している仕事は強いのだな、と感じる。仕事人としての心構えとして、学びがある1冊。
(清水大輔/ダ・ヴィンチニュース編集長)