人生にはいくら必要? 1日1分読むだけでお金の基本が身につく、お金の教養本
公開日:2022/1/21
生きていく上で欠かせないのが、お金だ。それはわかっているが、なんとなく難しそうで、お金についての勉強を避けてきた人は多いはず。でも、ふと通帳を見た時、記された残高の心もとなさに不安を覚えることもあるだろう。
そんな悩みから解放されるにはどうやってお金と向き合っていけばいいのだろうか。それを教えてくれるのが『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(頼藤太希、高山一恵/自由国民社)。本書では共にファイナンシャルプランナーである2人の著者が「節約」「増やす」「貯める」「使う」「備える」という、お金についての5つの基本戦略を紹介。
お金の仕組みから投資、お得な電子マネーの選び方など、気になる知識がイラスト付きで掲載されている。
■まずは「私の人生」に必要な金額を知る
人ひとりが生きていくには思っている以上のお金がかかる。著者らいわく、「人生の三大資金」は教育費・住宅費・老後資金なのだそう。
まず、教育費。学校が公立か私立か、そして習い事の数などで変わるが、仮に我が子が大学まで進学する場合、子どもひとりあたり1000万~2300万円は必要なのだとか。
住宅費は住む地域や物件によって違いがあるが、マイホームを持つならば住宅ローンを数十年にわたって払い続けるのが一般的。賃貸の場合は、老後も家賃がかかることを頭に入れておく必要がある。
そして一番気になる老後資金は年金だけでは心もとないのが現状。総務省の「家計調査報告」(2019年)によると、老後の生活費は夫婦世帯で月3.3万円、シングル世帯では2.7万円不足する計算となっているようだ。
仮にこの状態が65歳から90歳までの26年間続き、さらに医療費や介護費など「もしものお金」を1人500万円見込むと、夫婦で約2000万円、シングルでも約1300万円は準備しておく必要があると著者らは述べている。これだけの金額を自助努力で備えておかねばならないのが、私たちの現実なのだ。
では、どうやって安心と言える貯蓄管理をしていけばいいのか。まず実践したいのが、ライフプラン表の作成だ。
そこには、教育、住宅、老後というライフイベントに加え、今後の予定や叶えたい夢、成し遂げたい目標なども記載する。
その際、プランの実現に必要な費用も大まかに明記し、人生の予定や夢、目標がはっきりしてきたら、「マネープラン」も作成。すると、自分の人生に必要なお金が可視化でき、貯蓄がしやすくなるという。
必要な金額を、いつまでにどんな手段で準備すればいいのかが見える自分だけのライフプラン表は、今の生活を見直す良いきっかけともなるだろう。
■節約は「固定費の削減」から
お金を貯めるには、節約も大切だ。しかし、いざ始めようとすると、一体何から削減すればいいのかわからない人は多いのではないだろうか。
そんな時はまず、住居費や通信費、水道・光熱費など金額が大きく、見直すと効果が長続きする「固定費」から節約するのがよいのだそう。
例えば、2016年からの電力自由化により、電気の購入先は自分で選べるようになったため、電気とガスを同じ会社から購入し、電気代を削減するのも得策。会社によっては「セット割」が適用され今より料金が安くなったり、ポイント付与などの特典を受けられたりするところもあるので、チェックしてみよう。
なお、食費のような「変動費」を減らす際は我慢をしすぎないように注意。「外食を月1回減らす」や「使い切らない量のまとめ買いをしない」など、自分の首を絞めないマイルールを設け、削ることが苦にならない節約をすることを本書はすすめている。
■本当にお得な電子マネーの選び方とスマホ決済の仕方は?
近年はキャッシュレス化が加速しており、覚えきれないほど多種多様な電子マネーやスマホ決済が世にあふれているため、本当にお得なのはどれなのか……と悩んでしまう。
著者らいわく、電子マネーは電車によく乗るのであれば交通系、そうでない場合は買い物に役立つものを選ぶとよいと解説する。どちらもポイント還元率を見て自分に合ったものを選ぶといいそう。なお、ポイント還元をさらにお得にするには電子マネーやスマホ決済の支払い方法にクレジットカードを指定し、ポイントの二重取りを。この時、お店のポイントカードも提示するとポイントの三重取りも可能になるので、キャッシュレス決済を賢く活用する方法も考えていこう。
お金は今の生活だけでなく、未来を守る大切な武器となる。1日1分本書を読んで、自分と向き合う時間を作ってみてほしい。
文=古川諭香