名だたる韓国スターも大絶賛の50万部ベストセラー! 悩みや苦しみに優しく寄り添う「国民エッセイ」が日本上陸
公開日:2022/2/4
年を重ねるにつれ、人は自分を騙すことが上手くなっていく気がする。本当は笑えないくらい絶望的な日なのに、愛想笑いを顔にはりつけたり、泣きたい気持ちを押し殺したり、私たちは自分の本心をぞんざいに扱っているように思う。
『本当に大切な君だから』(キム・ジフン:著、呉永雅:訳/かんき出版)は、そんな日常に疲れ切った人の心に染み入るエッセイだ。
本書はSHINee、NCT、NU’EST、Stray Kids、元IZ*ONEのメンバーたち、俳優のナム・ジュヒョクなど、名だたる韓国スターが読んだという50万部の大ベストセラー。韓国では「国民エッセイ」と呼ばれるほど、多くの人々の心を癒やし、動かした人気書が日本に上陸した。
記されているのは、どうしようもない日の乗り越え方と欠点だらけの自分の愛し方。「誰もが、ありのままで本当に大切な人」とのメッセージを贈る著者の温かさは、自分を傷つけることに慣れてしまった人の心に響く。
消えない後悔にこそ、感謝を
人生には、未来を左右するターニングポイントが数多く存在しており、私たちはその都度、迷い、悩んだ末に道を切り開いている。しかし時折、過去の選択を悔やみ、もっと違った未来があったのでは……と自分を責めてしまうことはあるもの。
だが、著者はそうした気持ちを受け止め、これまで下してきたさまざまな選択を肯定してくれる。だから、過去の自分が報われたような気持ちになる。
“振り返ってみると あのときはそうするしかなかったんだよ。その選択がきみのできるすべてだった。でも、今は違う。きみの心の器は、もっと大きくなって もっと質のいいものを入れられるようになったし それによってもっといい選択をできるようになったんだ。だから後悔するんだよね もっと成長したからこそ。”(P40)
こんな風に、後悔の捉え方を変えることができたら心は軽くなり、自分を幸せにできる方法も見えやすくなりはしないだろうか。
“後悔という名の成長の証に、きみの存在の記憶に、感謝してほしい。”(P42)
著者のこの言葉が、いつの間にか自己否定が癖になってしまった人に届き、自分の「これまで」を誇れる人が増えることを心から願いたい。
本物の縁は、正直になってこそ紡がれる
他者からもっと認められたい、愛されたいという願望が胸の中でうずくのは、人としてごく自然なこと。けれど、そうした思いに支配されると、自分をよく見せたいと思い、仮面を被ることが当たり前になってしまうこともある。
「立派な人」や「優しい人」「完璧な人」などともてはやされる中で、本当の自分を見せられない苦しみや、ありのままで愛されない孤独感が募っている人は意外と多いのではないだろうか。
著者は、そんな状況に置かれている人の辛さもすくい上げ、より楽に生きられるよう、アドバイスを送る。
“無理やり縁をつなげようと 意固地になって無理している間、「ほんとうのきみ」はどれほどつらいだろう。きみ自身にすら受け入れてもらえなかった心の深いところにいるきみは、どれほどさびしい思いをしてきただろう。”(P33)
“ほんとうに尊敬され、愛されたいなら 「ありのままのきみ」で生きていくこと。(中略)これからは正直になるんだ。その正直さだけが この深い孤独やむなしさの沼から救いだしてくれる唯一の綱になってくれるはず。”(P32)
「ありのままの私」で生きることは難しく、仮面を被っていた年月が長ければ長いほど、本当の自分を晒すことが怖くなる。けれど、自分に正直に生きてこそ、本物の縁が得られると語りかける。
“ありのままで行動するとき その姿がそのまま受け入れられるということ。ぼくはそれがほんとうの縁の定義だと思う。”(P33)
仮面の下で泣く自分を見て見ぬふりしている人は、著者の真心からのエールに心を傾け、ゆっくりと本当の自分と向き合ってみてほしい。
なお、本書に収録されているエッセイはひとつひとつが独立しているため、初めから順に読み進めるだけでなく、目次で気になったページから目を通すのもおすすめ。
苦しい恋をしているときに効くメッセージや、悩み迷っている人の背中を押す言葉が、さまざまなシチュエーションで「心のお守り」となってくれる。自分に「この世でいちばん大切な人」という言葉をかけられなくなったあなたに、この本が届いてほしい。
文=古川諭香