怒れない自分とおさらば! 気持ちを素直にぶつけて、“ただのいい人”から脱するための方法
更新日:2022/2/3
怒りの感情と上手に付き合うための心理術・アンガーマネジメント。近年、ニュースなどでよく聞くようになった言葉だ。この心理術が必要とされる場面は、怒りの感情が込み上げてきたときの印象がある。しかし、誰かにイラッとする場面で「怒れない人」にも必要というのは意外だ。
怒りは「防衛感情とも呼ばれ、そもそもは自分の身を守るために備わっている感情」と解説するのは、アンガーマネジメントの専門家・安藤俊介氏がまとめた書籍『なぜ私は怒れないのだろう』(産業編集センター)。素直に怒りを吐き出せるようになれば、いらぬストレスからも解放されるはずだ。
怒れないのは「いい人でいたい」から。ときには迷惑をかけるのも大切
なぜ、自分は怒れないのか……。そう悩む人たちの最大の理由は「いい人でいたい」と思う感情だという。
「社会的に正しく品行方正で、誰に対しても優しく気遣いができ、信頼のおける人」と聞けば、多くの人が納得するいい人のイメージに近づくだろう。ただ、現実に「聖人君子」はいない。本書は、誰にとってもいい人は、ともすれば「いてもいなくても何も変わりません」と痛烈な一言を投げかける。
とはいえ、いい人でいたいと願う人を否定しているわけではない。本書は、いい人でいたい人は「誰にも迷惑をかけたくないと思っているかもしれません」とフォローする。
生きていれば、多かれ少なかれ誰かに迷惑をかける場面はある。もちろん、わざと他人に迷惑をかける必要はない。しかし、考え過ぎるのは本末転倒。勇気を出して、感情を抑え込まず過ごしてみるのも大切である。
怒れない人のための第一歩。感情をとにかく“メモ”にぶつけてみる
怒れる人になりたければ、日々の習慣を見直すのも必要。本書では様々なヒントを伝えているが、その一つにあるのが「マイナスの感情をなかったことにしない」とする思考法だ。
ストレスを感じる場面で上手に怒れない人は「怒りの感情をはじめとして、その他の不安、辛い、苦しい、悲しい、心配といった一般的にはマイナスと思われる感情から目を背ける傾向」があるという。理由は「そうした感情を感じてはいけない、感じる自分はどこか間違っているのではないか」と考えてしまうからだ。
そんな状況から解放されたいなら、感情が芽生えた場面で「すぐにその場でメモをして下さい」と本書はすすめる。
メモの手段は何でもよい。手帳でもスマホでも、何ならツイッターなど非公開のいわゆる“鍵アカ”につぶやくのも一つの方法だ。自分宛にメールを送るなど、自分がやりやすい方法を選ぶ。内容も気の向くままで「なぜ自分がそのような感情を感じているのか」とはいっさい考えず、感じたままにぶつけてみる。見直す必要もなく、とにかく思い浮かんだことを「書き留める」ことに集中すればいいという。
怒りはけっして悪い感情ではない。視点を変えれば、相手に「これからどうしてほしいか」を伝える手段にもなりうる。素直に怒れれば「本当の意味でいい人でいられるようになります」と、本書は読者の背中を押す。怒りたい相手だけではない。怒れない自分にすら嫌気が差している人にとって、励ましてくれる一冊となっている。
文=カネコシュウヘイ