脚組み、あぐら…ラクな座り方は「腰痛」の原因に!? 腰に負担のない基本の座り方をマスターしよう
公開日:2022/2/3
コロナ禍でテレワークが増えているいま、腰痛に悩んでいる人も増えているという。尿路結石など内臓の病気が原因のものを除くと、その腰痛の原因は座り方が悪いことにあるかもしれない。そういったら、多くの方が驚くのではないだろうか。オーストラリアの研究機関の調査によると、日本人の成人が平日に座っている時間は世界最長の7時間というデータを見れば、その驚きはさらに増すのではないだろうか。
それなら座り方を直したい。そう考える方に手に取ってもらいたいのが『腰痛は座り方が9割』(碓田拓磨/主婦の友社)。虎ノ門カイロプラクティック院・院長として数多くの患者の施術にあたり、早稲田大学保健体育科目の講師も務める著者が、腰痛をやわらげたり、未然に防ぐことができる基本の座り方と、それを身につけるためのエクササイズを教えてくれる。
ラクな座り方が腰痛の原因
普段、あなたはどんな座り方をしているだろうか?
椅子に浅く腰掛け、背もたれに背中を預けている「ダラッと座り」、背中が丸まり、頭が前に落ちた「ねこ背」、「脚組み」、片脚を座面に抱えこんだ「立てひざ」、片脚をあぐら状に曲げた「半あぐら」。無意識のうちにこんな座り方をしていることは少なくないが、それらの方は要注意だ。
こうした座り方はラクなのだが、実は骨盤が後傾したり、左右のバランスが崩れている姿勢。そのためその姿勢で長時間座り続けると、背中や腰部の筋肉に疲労がたまり、それが腰痛となって現れるのだという。
ポイントは、骨盤を立ててから背中を伸ばすこと
では、どんな座り方をすれば、腰痛をやわらげたり、未然に防ぐことができるのだろうか?
その答えが、著者が「椅子の正座」と呼ぶ「基本の座り方」を身につけることだ。
基本の座り方は、骨盤を立てて、背すじを真上に伸ばした座り方。腰の部分がおなか側にゆるやかに反り、背骨が綺麗なS字カーブを描いていることが特徴だ。この姿勢で座ることで、余分な力を使わず、バランスを保つことで身体を支えることができ、腰にかかる余計な負荷を避けることができるという。
足の裏全体をしっかりと床につけ、肩は体の真横にくるように引く。そして、頭は肩の真上に置き、視線はまっすぐ前に向ける。手は脚のつけ根に置き、手の平を上向きにすることも基本の座り方のポイントだ。まずは5分間、そして基本の座り方を30分間続けられることを目標に、少しずつその時間をのばしていくことが腰痛を防ぐことにつながっていくという。
この背すじをスッと伸ばした基本の座り方は、意識すれば誰でも簡単にできるものだろう。だが、骨盤を後傾させて背中を丸めて座るクセがついている人にとって、この姿勢をキープし続けるのは難しいという。
その理由は、いきなり丸まった背中を伸ばすことから始めてしまうことだという。背骨が綺麗なS字を描くように背すじを伸ばして座るには、骨盤を立てて座れるようになることが必要だが、その段階を飛ばして次の段階に進んでしまう形になるからだ。
基本の姿勢で30分間座り続けられるようになるためのポイントは、まず骨盤を立てて座れるようになり、次に背中を伸ばす。そしてその後、全身のバランスを整える。この順番を守ることがとても大切なのだという。
本書では、第3章で「骨盤を立てるエクササイズ」、第4章で「背中を伸ばすエクササイズ」も紹介されている。
例えば、骨盤を立てるためのエクササイズのひとつ「ハムストレッチ」は次のようなものだ。
1.基本の座り方で座る
2.両脚を前に伸ばす
3.つま先を手前に引き起こす
4.上を向く
5.上体を前へ倒す
一つひとつの動作は簡単なものだが、実際に行ってみると、両脚の太ももの裏側にあるハムストリングスが伸ばされていることを実感できる。そして、このストレッチを繰り返すことで、基本の座り方を身につけるために非常に重要なハムストリングスの柔軟性を増すことが可能になるというから、腰痛に悩んでいる方たちにはおおいに役立つのではないだろうか。
基本の座り方ができるようになると、腰痛をやわらげることができるのはもちろん、ひざの痛みや骨折、胸やけ、誤嚥などを防ぐことができるという。また、プラス思考になって気分が上がり、認知症のリスクを減らすことも期待できるという。その理由は本書に譲るが、座っているときの姿勢のよい人は、健康的で美しく見えるもの。腰痛に悩んでいる人はもちろん、魅力的な座り方を身につけたいという方にも役立つはずだ。
文=井上淳