【東大生の勉強法】努力は最小、結果は最大!『勉強「しなきゃ」が「したい」に変わる 成績が上がる学びの習慣』
更新日:2022/2/17
ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした『勉強「しなきゃ」が「したい」に変わる成績が上がる学びの習慣』(紀野紗良/KADOKAWA)の書籍要約をお届けします。
こんな人にオススメ
・効率の良い勉強方法を知りたい中高生
・定期テスト、入試に向けて実力アップを目指す中高生
・東大生の時間術、モチベーションアップ術を知りたい人
3つのポイント
①現役東大生の著者が中高生の頃から実践してきた「効率の良い勉強方法」のノウハウを徹底紹介
②色分けなどの工夫を凝らした知識が身につくノートづくりでどんな科目でも試験対策ばっちり
③実は「記憶力が悪い」という著者が実際に試してきた、みるみる覚えられる暗記とインプットのコツ
④忙しい人でも勉強時間を確保できる時間術、やる気が出ないときのモチベーションの上げ方のテクニック
(著者プロフィール)
紀野紗良(きの・さら)/2000年北海道生まれ。幼い頃から好奇心旺盛でバレエ、英会話、器械体操、習字、水泳、ピアノなど、さまざまな習い事を経験。中でもバレエは勉強と両立しながら高校2年生まで続けた。自分で工夫して「ノートの取り方」「時間のやりくり」「モチベーションの高め方」といった勉強方法を編み出し、効率よく学んで知識をインプット。2018年、立命館慶祥高校を卒業し、第一志望だった東京大学理科二類に入学を果たす。2021年現在、東京大学農学部4年次在学中。卒業後は大学院に進学予定。謎解きサークル「AnotherVision」に所属し、趣味はバレエ、スキー。TBS系テレビ番組『東大王』に出演中。本書が初の著書となる。
要約
TBS系テレビ番組『東大王』に出演し、その活躍からTwitterには視聴者の中高生から勉強方法について多くの質問が寄せられるという著者・紀野紗良氏。本書はそんな彼女が実践してきた勉強のメソッドを伝える1冊。
「テレビに出ている東大生」というだけで「天才」「次元が違う」などと思われる風潮があるが、本人は「天才的な才能を持っているわけではない」「元々の能力は人より劣っているかもしれない」「学力に関していえば、記憶力がかなり悪い」とのこと。素質がないなりに悪戦苦闘した結果、手に入れた武器こそが「効率の良さ」だったという。才能もなく人より結果を出すのに時間がかかるのなら、この効率の良さをフル活用すればいい! ということで、著者が21年間生きてきた中で得た効率の良さを極めるためのノウハウを紹介する。
勉強を楽しく続けるために不可欠な学びの基本
本書のすべてのベースになっているのは次の考え方。まずはこのポイントを頭に入れておこう。
②「わからなくても楽しい」を増やす
③やりたいことは全部やってみる
④「やるべきことをきちんとやる」を習慣にする
⑤自分なりの目標を見つける
⑥人に教えて、知識を深める
⑦理論で知識を地固めする
⑧勉強を続けて、さらにその先の目標を見つける
辛いことと思われがちな勉強だが、本来、学ぶ=「新しいことを知る」ことは、とても楽しいもののはず。まずは勉強という意識を持たずに「遊び」から入ってみよう。たとえば、英語をカルタにしてみたり、百人一首で和歌を読んでみたりすることも勉強のやり方のひとつ。どんなかたちでもいいので、遊びと勉強を組み合わせてみよう。途中でわからないことがあっても楽しいという気持ちがあれば、それは「もっと知りたい」という好奇心につながって、新しいことを学ぶ意欲となる。
勉強に限らず自分がやりたいと思ったことは、とりあえず全部やるという気持ちも大切。本当にやりたいことなら苦痛にならずに続けることができ、それが「何かを続けて頑張る」という習慣になり、そこから得られたことを勉強に活かすこともできるようになる。それは「何度も反復して定着させる習慣」にもつながる。勉強のモチベーションを保つためには目標を持つことも不可欠。目標は小さなものであっても構わない。そこに到達した姿を想像して毎日勉強を続けていこう。
そうやって学んだことの知識を深めるためには「人に教える」こともひとつの方法だ。相手のペースに合わせつつ、相手がわかるように語ることで、結果的に理解が深まり、自分の知識が「わかったつもり」のフィーリングではなく、確かなものになる。「理論」を理解して思考力を鍛えることが学力の基礎固めなのだ。日々の勉強を積み重ね、自分の可能性を広げる目標を見つけていこう。それが何よりの勉強の原動力になる。
授業を最大限に生かすノートづくり
知識のベースになるのは、実は学校の授業だ。どんな教科であっても授業で聞いて取ったノートが常に「自分が本当にわかっているかどうか」の基点になる。ノートはインプットとアウトプットが同時にできる「最強のツール」。最初は板書の丸写しでOKだが、慣れるにつれて自分の書き方を育てていこう。自分の解釈やアイデアをメモするなどして、自分独自のノートを作っていくことがポイントだ。
そのときに大切なことは「きれいさ」ではなく「見やすくて頭に入りやすいこと」。見直しのときにわかればどんな書き方でも構わないのだ。ただ、丁寧に書くことを心がけよう。授業時間の50分の密度を濃くすることがもっとも効率的な勉強になるからだ。ここでしっかりノートを取っておけば定期試験の勉強はノートで軽い復習するだけで済む。
ノート術①
ペンの色を役割で分けて使おう
黒→教科書と板書の書き写し
オレンジ・赤・ピンク→覚えたい事柄(赤シートを載せたときに消える色で書く)
緑・水色・紫→重要事項を引き出す手がかり(赤シートで消えない色)
重要ポイントは緑・水色・紫で囲みや傍線。近くに赤シートで消える色でアンサーを書いておけば「手作り問題集」としても機能!
ノート術②
「図」を自分で書いてみよう
教科書に載っている図や表は自分でも書いておくと理解度が格段にアップ! 自分で書くのが大変ならコピーしてノートに貼るのもおすすめ。これで試験前はノートの見返しだけでOK。
ノート術③
英語は見開きの左と右ページで役割を分けよう
左ページは予習の内容。和訳や要約など
右ページは板書が中心
文法や重要単語、構文も右ページに書き写しておくことで情報を一元化すれば、ノート1冊ですべてを把握できるように。
ノート術 応用編
授業でプリントをメインに使う場合も空欄の穴埋めを赤シートで消えない色で書いたり、授業中に出てきた重要ポイントを緑・水色・紫でメモしたりして情報を一元化。そのほか、板書要素なしでゼロから自作ノートを作ったり、テストの予想問題を自作したりすることで記憶の定着率向上、重要ポイントの整理、弱点の強化ができる。
効率的に覚えるための「インプット術」
「ひらめき」は持って生まれたセンス? いや、もっと重要なのは大量のインプット! もし、暗記が苦手でもやり方はある。まず、ひとつは先に紹介したノートを使った暗記。そして、もうひとつはごく単純。教科書を繰り返し読むこと! これは東大卒の弁護士として活躍している山口真由さんも提唱している「7回読み」をもとにした方法。一字一句を暗記しようとするのではなく「ななめ読み」で十分だ。歴史などの社会科系科目の成績アップ、受験対策にはこの方法がとても役に立つはず。
英単語や古文など論理的で暗記が難しいものは例文や連想を活用して覚えよう。たとえば古文の単語は「漢字でどう書くか」、英語なら「接頭辞」を覚えておくことも有効だ。理系科目の場合も「関連するものを一緒に覚えておく」ことがポイント。たとえば、物質の「酸化」の式を覚えると同時に「還元」も覚える、水素の発生法を覚えると同時に酸素についても覚えるなど、派生的に覚えることで応用力がつき、暗記に頼らずとも理屈で解けるようになる。
そして、丸暗記するしかない知識は語呂合わせも活用しよう。ネットにも使える語呂合わせがいっぱいあるので参考に。暗記ではなく思考で理解を深める必要がある数学は、とにかく解法のパターン(定石)を知ることが唯一かつ最強の方法だ。基礎から発展まで「たくさん、何度も解くこと」で解けるパターンを増やそう。そのとき、1問ごとに複数の解き方を考える練習をすれば、より理解が深まって効率的な解き方を思いつくようになる。
時間を有効活用するための「時間術」
知識定着の一番の近道は、「日々コツコツ続けること」。ここでは忙しくても勉強時間を確保する秘訣、勉強計画の立て方を紹介していく。まず、勉強スケジュールの立て方の基本は、目標をベースに考えること。ゴールから逆算して、いつまでに何をするかを決めていこう。ただし、あまりに先まで決めるのではなく、小刻みに今できることから進めていくことがポイント。そのとき、1日のノルマは「少し頑張ればできる」ぐらいにして、調子がいいときはノルマより1問多く解いてみる。逆にノルマが達成できないときは最初の設定がタイト過ぎるので見直していこう。遅れたときのために週に1日は予定を入れない「予備日」を作ることも忘れずに。多少の遅れはここで取り戻せる。
勉強計画を立てた後の課題は1日のうちどこで勉強時間を確保するのか、ということ。ここで見てほしいのは、著者の中高時代の典型的なスケジュール。
6時半 起床
8~16時 学校の授業
17時 帰宅
17時半~21時 バレエ教室
21時半 帰宅
21時半~23時 風呂など
23時 就寝
この通り、家で勉強をする時間は全然ない。だからこそ、学校にいる朝から夕方までを「勉強のゴールデンタイム」にするのだ。授業中の集中力をMAXにすることでもっとも効率的に勉強時間を確保、休み時間を活用して宿題や復習もやってしまおう。
そして、ちょっとした「スキマ時間」を使った「ながら勉強」も大切。電車で立っているとき、コンビニのレジの待ち時間など状況に応じた勉強ツールを事前に準備しておき、たとえ1~2分であっても集中してインプット。お風呂やトイレの時間も入る前に単語帳を開いてちょっとした暗記をして、「思い出すまで出てはいけない」とルールを課せばゲーム感覚で勉強に使える。
勉強時間を確保するために睡眠時間を削るのはNG。むしろ思考力と集中力が落ちてしまって逆効果になってしまう。そして集中して勉強するためには適度なリフレッシュも忘れないこと。短い時間でも好きな音楽を聴いたり、公園など自然の多い場所に行ってみたり、自分の好みにあった気分が一新できる楽しみを持っておこう。家で勉強をするときはキッチンタイマーを使って勉強と休憩時間を区切ってダラダラを防止して、ゲームやスマホの誘惑に負けないよう「自分の部屋に持ち込まない」など家族にも協力してもらってルール作りをすることもポイントだ。
学び続けるための「モチベーション維持術」
前述のように気が散る要素、つまり「誘惑のモト」はできる限り少なくし、勉強をするところから遠ざけたい。むしろ勉強に無関係なアイテムは極力排除するぐらいの気持ちで集中力を乱す情報や手間はとことんシャットアウトしよう。ただし、人によっては、逆に家族の目が届くリビングなどで勉強するほうが安心感とモチベーションが生まれることもあり、最初は「リビング学習」で勉強の習慣作りをするのも方法のひとつ。
やる気が出ないときは、最初のアクションをとことん簡単なものにするのがコツ。とっかかりの瞬間が一番大変なので、まずはノートや問題集を開くだけでもOK。それだけでもやる気モードに入れることがある。時には自習室など「勉強するための場所」に移動してスイッチの切り替えもしてみよう。さらにモチベーションを上げるためには、全国模試の成績上位者など、勉強ができる人を「顔を知らないライバル」にするのもオススメだ。
そのほか、「あと少しだけやる」を習慣にしたり、苦手科目の中で「できる要素」を見つけたりすることもやる気や自信のアップにつながる。そして、もちろん「自分へのご褒美」も忘れずに。それは「好きなおやつを食べる」など、手軽なものでも構わない。「お楽しみ」を用意して、それを励みに勉強しよう。
試験を攻略するための「情報収集術」
入試など大きな目標を達成するためには日々の勉強だけでなく、情報収集も重要なポイントだ。中高生にとってはやっぱりネットが一番身近で使いやすい情報収集ツールになるだろう。とくに地方在住者にとってネットは最大の情報源。ただし、ここに時間をかけすぎて勉強時間をおろそかにすることは禁物。まず、全般的な情報を得るためには塾や予備校のメルマガが役に立つ。リアルタイムな情報についてはSNSも便利だ。予備校のセミナーで知り合った人など、同じ立場の人とLINEでつながったり、Twitterでフォローしたりしてみよう。ただし、これも節度をもって活用することを忘れてはいけないし、ネットには信ぴょう性が怪しい情報も多いので注意が必要だ。
参考書や問題集は「基礎・標準・上級レベル」1冊ずつ揃えることが基本。選ぶときは検索を活用して、ひとつのサイトやブログが推薦しているものではなく、複数が推しているものを探したい。そして受験についての最新情報は、やっぱり大手予備校が強い。試験の攻略テクニックも豊富なので、通えるようなら通ってしまうのが手っ取り早い。実際に通わなくても、資料請求したり、メルマガ登録するだけでも情報が送られてきたり、自習室が利用できたりすることがあるので、しっかり調べて使えるメリットはしっかり活用しよう。
ここまで紹介したしてきた勉強方法を実践しながら東大を目指してきた著者はセンター試験で854点(95%)を獲得、東大での二次試験も見事に合格して理科二類に入学を果たした。3月の学部卒業後は大学院に進学予定。これからも今まで通り、意欲と熱意を携えて努力を続けていくという。