ReoNa初のコラム連載がスタート! 錚々たるレコメンダーと伝える、アニメの新たな魅力――ReoNa「あにめにっき」インタビュー
更新日:2022/2/4
数々のアニメ作品の主題歌を担当し、「一対一」を掲げるワンマンライブでは無二の音楽体験を届けている絶望系アニソンシンガー・ReoNa。彼女のルーツには、自分を救ってくれたアニメへの深い愛情があります。そして同時に、作品や楽曲で関わってきたクリエイターや作家の方々に愛されるのも、ReoNaの「らしさ」のひとつ。2021年に始まった、ReoNaにとって初となる連載コラム「あにめにっき」では、「ReoNaにこのアニメをオススメしたい!」というレコメンダーの方々からの作品を、実際にReoNaが観てレビューをしていきます。今後の連載に向けて、ReoNaに意気込みを語ってもらいました。
「あにめにっき」第1回 澤野弘之さんレコメンド『メトロポリス』はこちら
じっくり観ていないと気づけないようなところが、一度観た作品でもこんなにあるんだなあって
――コラム連載「あにめにっき」がスタートしました。改めて、意気込みをお願いします。
ReoNa:わたし自身、もともと人からお薦めされて知るものが、意外と多かったと思っていて。普段一緒に過ごしているスタッフや関係者の皆さんは、年代が違ったり、いろんな音楽的ルーツをたどってきた方が多いのですが、例えば、わたし自身も洋楽が好きで聴いてたつもりでしたが、わたしが聴いてきたアーティストさんのルーツに「実はこういう人がいるんだよ」って教えてもらったりすることが多くて。いざお薦めされた音楽を聴いてみると、わたしの世代ではなかなか自然に出会わない音楽と出会えて、世界が広がっていくことがありました。わたしが好きな“アニメ”も、自分が観てきた数はきっと少なくはないと自分自身では思っていますけど、それでも知らない作品や改めて観たら違う感じ方をする作品も、数えきれないくらいあって。わたしとゆかりのある誰かだったり、お仕事や活動をご一緒したことがある方に、作品を推していただける、「これが良いよ!」と押しつけていただくことで、わたし自身の世界を素敵に広げてくれるんだろうなあって期待がふくらむ連載です。
――なんでまわりの人たちはみんな好きなものを「押しつけ」たくなるんでしょうね(笑)。
ReoNa:でも、お薦めされてみると、実際にわたしも好きなものなんです。やっぱり、わたしのことを知ってくれてる人だからこそ、きっと想像しなかったような作品のお薦めがあるんじゃないかな、と思います。
――コラムの連載は初めてなんですよね。
ReoNa:はい、初めてです。書くときは、作品を観た直後に言いたいことがわ~っと出てきます。それをまず一度アウトプットしてから、人に届けるように整える、という順番です。やっぱり、わたし自身が観た作品であり、これから誰かに観てほしい作品でもあるので、物語の核心をつまびらかにしてしまっては面白くないけど、でもその上で自分自身が感じたことも伝えたい。そう思うと、言葉を整えるときにかなり悩むなあって思いました。
――まとめるのは難産だけれども、受け取るものはたくさんあって、伝えたいことはあふれてくる。
ReoNa:たくさんあります。もう、自分の中で伝えたいことがぶわっとあふれてきすぎて、自分の記憶が改ざんされてないか、もう1回見返すぐらいです。普段アニメを観るときって、どうしても何かを食べてたり、ケータイが片手にあったりする状況が多い中で、自分が誰かに伝えられることがあるかもしれないと思ったり、お薦めしてくださった方のことを思うと、すごく前のめりに作品を観てしまいます。作品が2時間ならその2時間の中で、こんなに自分は受け取れる余地があるんだなって新鮮に感じました。実際、集中して観ると、すごく楽しいです。「今のシーン、何人が気づいてるんだろう」とか、じっくり観ていないと気づけないようなところが、一度観た作品でもこんなにあるんだなあって感じます。
誰かの心に届くような言葉を、この連載の中でたくさん紡げたら
――「あにめにっき」はその名のとおり、「ReoNaがアニメを観てレビューをしていこう」という連載ですが、通常のコラムと違うのは、これまでくれた通り「レコメンダー」がいることなんですよね。1回目が澤野弘之さんで、2回目以降も素晴らしい方々からのオススメが届いているそうですが。
ReoNa:すごい顔触れです。そこが、もうひとつのドキドキですね。
――「連載見たよ。俺も・わたしもオススメ出していい?」みたいなことを、いろんな方が名乗り出てくれるようになったら嬉しいですよね。
ReoNa:それはすごく嬉しいですね。人からプレゼントをもらうときに何が嬉しいって、「買うときにわたしのことを考えてくれてたのかな」って思う、その時間がすごく嬉しいです。それに似たものを感じます。
――実際に、「これがオススメだよ」って受け取ったときは、どんな気持ちになりましたか。
ReoNa:まずは、その方々のルーツを考えちゃいますね。澤野弘之さんだったら、あれだけ音楽をクリエイトされている方なので、「この作品に出てくる音楽ってどんなものなんだろう」と考えます。
――今後もいろいろなクリエイターさんや作家さんがレコメンドを提供してくれるようですが、この連載を通じて今後楽しみにしていることはなんですか。
ReoNa:知っている作品でも、知らない作品でも、人からお薦めされるとやっぱり全然見方が変わってきます。逆に、気になっていたけど観てなかった作品を誰かがお薦めしてくださったとしたら、楽しみながら観られそうです。あとは、普段わたしが触れることのないジャンルにも、今後触れる機会がきっと眠っていると思います。わたし自身は、暗い作品や自分が共感するような作品を好んで観てきたので、そうではない世界に触れさせてもらえる機会もあるんじゃないかな、と思います。
――第1回で澤野弘之さんがレコメンドしてくれた『メトロポリス』の紹介コラムは、非常に「ReoNa的」だなと感じました。人柄・パーソナリティが出ているというか、普段発信している楽曲の雰囲気や歌詞の風合いと、書いたテキストが近しい空気を持っているんですよね。
ReoNa:自分が書いた文章って、大人になると人に見せることなかなかないですよね。もちろんSNSはありますけど、ここまで長くひとつのことを語る機会はなかなかなくて、言葉を直接扱うことは難しいと思いますが、文章の中にわたし自身を感じていただけているとしたら、それはすごく嬉しいです。
――コラムを読んでくれる読者の方に対して、書くときに意識すること・心がけたいことは何ですか。
ReoNa:「あにめにっき」で紹介した作品に触れようと思ってくださる方には、レコメンドしてくださった方プラスわたしの視点も加えてお伝えできるのかな、と思っていて。ReoNaというフィルターを通して、作品の中に受け取るものや気づきが生まれたら、すごく嬉しいです。一度観た映画をもう一度見返すとまた全然感じ方が変わったりするような、ひとつの作品のいろんな顔が見られる瞬間を、この「あにめにっき」から楽しんでいただけたらいいな、と思います。
最近、作品を省略して観る方も多いんじゃないかな、と思っていて。2倍速の機能がついていたり、主題歌を飛ばす機能がついている中で、作品を作る方が「こうしよう」と発信したものを、最初から最後までしっかり観ることは、原点であり大切なことなんだなって、改めて思います。省略して観てしまうと感じられない間(ま)があったり。たとえば『メトロポリス』には、無音になるシーンがあるんですね。静寂が急に訪れたり、それまで鳴っていた音楽が一転して解放される瞬間があって、その緊張と解放というのは、その映像が流れている時間と同じ時間を体験していないと、そこまで解放されるものじゃなかったりするので。作った方の、ありのままを受け取ってほしいです。
――では、今後の連載を楽しみにしてくれる方にメッセージをお願いします。
ReoNa:はい。今回ReoNaとして初めての連載という形で、ReoNaの「あにめにっき」をスタートさせていただきました。いろんな方々から、絶望系アニソンシンガー・ReoNaに対して、わたしが関わっていないアニメ作品をお薦めしていただく内容です。わたし自身も、触れたことがない何かに触れられる機会にもなると思いますし、誰かの心に届くような言葉を、この連載の中でたくさん紡げたらいいな、と思っています。ぜひ、まず第1回の澤野弘之さんからお薦めしていただいた映画『メトロポリス』の記事も、読んでいただけたら嬉しいです。
ReoNa「あにめにっき」第2回のレコメンダーは、『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』『キノの旅』の時雨沢恵一さんです。
近日中の公開をお楽しみに!
取材・文=清水大輔