1stアルバム『Fo(u)r YuU』完成。今こそ届けたい、本当の想い――Liyuuインタビュー
公開日:2022/2/9
TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』に唐 可可役で出演し、Liella!の一員として数多くのステージを2021年に経験した歌手・コスプレイヤーのLiyuu(りーゆう)さん。2020年に1stシングル『Magic Words』を発表して以降、少しずつ歩みを進めてきた彼女の音楽活動が、1stアルバム『Fo(u)r YuU』(2月9日リリース)に結実しました。「4つのLiyuu」をテーマに掲げ、「あなたへ」のメッセージを含むアルバムの制作は、Liyuuさんにとってどんな体験になったのでしょうか。歌を通して届けたい自身の想いについて、話を聞かせてもらいました。
自分としては成長するための階段のようなアルバム
――2021年はいろいろな活動があってすごく忙しかったのではと思いますが、Liyuuさんにとってはどんな1年でしたか。
Liyuu:仕事を頑張った1年でした(笑)。
――仕事を頑張る中で、今後の活動に向けて新しい気持ちは芽生えたりしましたか。
Liyuu:新しいこともできたらいいなって思います。自分はもともとコスプレイヤーですけど、1年以上やっていなくて、仕事の機会があったらまたやりたいです。以前もコスプレイヤーとしてモデルもやっていたので、ファッション系の仕事もできたらいいなって思います。
――この1年でLiyuuさん自身が変わった部分って、どんなところだと思いますか。
Liyuu:身体の強さが変わりました。リハとかダンスとかライブをやりながら、身体がどんどん強くなりました(笑)。あとは、自信も持ちました。できなかったこともどんどんできるようになっていて、ちょっとずつ進んでるの実感があります。
――少しずつ自信をつけてきた中で完成した1stアルバム『Fo(u)r YuU』を自分で聴いてみて、どんな気持ちが湧きあがってきましたか。
Liyuu:いろんな曲が入っていて、1曲ずつ全部違っていて、ボリューム満載です(笑)。MVも4つあるし、自分でもボリューム満載のアルバムと思います。
――自信作と言えるアルバムですか。
Liyuu:たぶん、まだならないかもしれないです。新しくチャレンジしたテーマもあるので。自分も試したいジャンルの曲もあったけど、今は自信作というより、自分としては成長するための階段のようなアルバムになってます。
――アルバムの制作にあたり、Liyuuさんとしてはどんな部分で成長したいと考えていましたか。
Liyuu:最初に出したシングル2枚(『Magic Words』『カルペ・ディエム』)では、日本語の能力的に、ちゃんと自分の気持ちが伝えられていないなって思ったところもあるので、今回はできれば自分の気持ちや言葉、思ったことを歌詞に乗せて、歌に乗せて伝わるようになっていたらいいなって思います。昔よりも、ちゃんと歌えた気がします。
――改めてアルバムに収録された2020年発表の『Magic Words』『カルペ・ディエム』の2曲は、Liyuuさんの中でどう聞こえたんでしょう。
Liyuu:う~~ん、今の自分は、2年前の自分とは変わったような感じがしますね。心境とか、考えていることも違っていて。曲を聴くだけであの頃の思い出が出てきますけど、今とは全然違います。中国にいるときに曲をもらって、家で練習して、日本に来てレコーディングしたことを思い出しました。経験したことがないことをやっている最中で、そのときはちょっと不安を感じていました。
――アルバムを作っていて、「自分にはこういう部分もあるのか」と発見したことはありますか。
Liyuu:髪を長くしている2曲のMVは、すごく大人っぽく見えます。今までで一番大人っぽいなって思いました。こちらに来て1年経って、心境も成長したなって思います。長い髪になるとほんとに大人っぽくて、顔の表情も違うと思います。
――レコーディングの中で、「自分の歌のここがいいところかも」って気づいた部分もありますか。
Liyuu:他の人の音楽には詳しくないですけど、自分の耳がけっこう敏感なので、細かい音の処理はすごく気になります。普通はそんなに気にしない人が多いかもしれないですけど、自分は細かいところの処理がすごくいい曲だったら、もう一気に好きになっちゃいます。完成した曲のデータをもらったときも、思ったよりも細かい部分の処理がいい感じになっていて、歌の細かな表情も出るようになっていたのが嬉しかったです。昔よりも、表情とか感情とか気持ちをちゃんと伝えられたなって思いました。
――アルバムタイトルの『Fo(u)r YuU』には、4つのテーマのLiyuuという意味と、「あなたへ」のメッセージが含まれているわけですけど、受け取ってくれる人にいろんな自分を見せたいという願いは、このアルバムで実現できたと思いますか。
Liyuu:はい。(先行配信の)“ルルカワイマ”みたいな感じが、みんなの印象には残っているのかなって思いますけど、この1年でレギュラーのラジオを持ったり、いろんな生放送をやっているから、本当の自分も見てもらえるようになりました。昔はひとつの面しか見せられていないですが、アルバムではいろんなジャンルの曲を歌って、ちょっとカッコいい自分とか、ちょっとハイテンションになったときの自分、ちょっと切ない感じで昔のことを思ってる自分を、全方位的な感じで見せられたかなって思います。
――特に新しい自分を見せられたと思う曲は?
Liyuu:“Reply”かなって思います。今まで、直接自分が思ったことを言ってこなかったですが、この曲ではそのまま自分の思いを歌いました。
本当は涙がすぐ出る人で、でも自分からは泣かないようにしたいなって、ずっと我慢してるだけなんです
――今回のアルバムには10曲収録されていますが、2020年発表のシングル表題曲と、先行配信された“ルルカワイマ”“Endless Vacation”以外の新曲について聞いていきたいです。前回のインタビューでは、“ルルカワイマ”は物語性がポイント、という話をしてもらったんですが、まずは新曲の“めたもるふぉーぜ”は何がポイントだと思ったのかを聞かせてほしいです。
Liyuu:“めたもるふぉーぜ”はかわいいラップが入ってるけど、言葉数がすごく多いから、これはかなり苦労しました。プロのラッパーさん風と、Liyuu風なラップを重ねて、一緒にやっていました。歌詞を読むのはちょっと時間かかりました(笑)。
――“花鳥風月”は、優しいバラードになっていますね。《今度会えた時 素直に伝えたい/君がいたからこんなにも私がんばれるよ》という歌詞が印象的でした。
Liyuu:“Reply”よりちょっと優しい感じです。聴くときに負担がない曲で――“Reply”はちょっとね、重さもあるので(笑)、すごい感情がぶわ~って出る曲です。“花鳥風月”はちょっと優しくて、癒されている~って感じがします。
――“Reply”は重たいんですか。
Liyuu:ちょっと重いかもしれないですね(笑)。自分からの気持ちもけっこう強めに入っていて、それをちゃんと伝えたい曲です。
――“BLUE ROSE”は踊れるロックな感じで、歌詞には《見慣れた街並み》から《見慣れない街並み》へ動いていく様子が描かれています。上海にいたときと東京にいる自分の気持ちを、伝えられる歌なんじゃないかなと。
Liyuu:はい。慣れていたところから慣れてないところに来て、その心境が伝わるかなって思いました。仮歌をもらったときは、「完全に私が得意な曲じゃないな」って思いました。「こういう曲ってどうやって歌うんだろう?」って、ずっと考えていて。レコーディングのときは、自分の感覚でいきました。他の人の歌い方を真似しても、なんか味が出ないんですね。真似をすると、自分の雰囲気は出ないし、真似する相手の雰囲気も出ない。両方とも出ないから、真似することは意味ないなあって思います。
――そういう意味では、ロックテイストの“Ambition”も強めの曲なので、「自分が得意な曲ではない」からスタートしたんですか。
Liyuu:強いですね。逆に“Ambition”の歌詞のような言葉って、自分の口から出ないかもと思います。でもちゃんと読むと、ときどき心の中でちょっと思ってる言葉もあって。普段は言えないことを、この曲を通して言えるようになったこともあると思います。《全ての人へ》とか、ほんとに言わないんですよ。すべての人に届けるなんて、絶対に不可能じゃないですか。そう思うんだけど、自分が歌ってるとき、「すべての人、聴いてください」って思ったこともあるので、この曲を歌うときだけ、そういう言葉も歌えるなって思います。
――“カラフルホライズン”は複雑な歌詞を持つポップな楽曲ですね。
Liyuu:そうですね、大変です(笑)。レコーディングは、歌い方で悩んだりしまして。メロディ的にはすごくかわいくて、かわいらしい感じにしたいなって思ったけど、最初はちょっと子どもっぽくなってしまって、歌い方を変えてこの形になりました。この曲は、歌いながら楽しさが出てくれたらいいなって思いました。知らない単語がいっぱいありましたけど、ファンタジーな世界の楽しさを表現したいと思いました。
――ラストに収録された“Reply”は、さっき話してくれた通り気持ちが伝わるバラード曲で、グッとくるところもあったんじゃないですか。
Liyuu:最近は、ライブのMCとかいろんなところで涙が出て、けっこう泣くんです。でも去年の10月以前は、そんなに泣かない人だってみんなからイメージされていたんです。「Liyuuちゃんは、ちょっとクールな印象なんですけど、泣いてたよね」「Liyuuちゃんはあんまり泣かないタイプだなって思ったけど、今回泣いたね」「一番意外」って言われたりして。「一番意外」ってどういうことでしょうと思いました(笑)。でも、わたしはそうじゃないんですよって、ちょっと思っています。“Reply”の歌詞には《泣いてばっか》とか入っていて、わたしの見た目から強い人だと思う人もあるみたいですが、実は挫折したときにけっこう泣いてる人です。本当は涙がすぐ出る人で、でも自分からは泣かないようにしたいなって、ずっと我慢してるだけなんです。
――もともとは、人前では泣いたりしなかった?
Liyuu:そうですね、我慢したくて。逆に我慢しすぎると、MCで話したいことがあんまり出てこなくなるんですよ。それが去年から、ちょっとずつ変わりました。
――泣いてしまう自分をあまり人に見せたくない。
Liyuu:うん、それはちょっとあるかも。泣くと話もできなくなるって思っていて。泣きながら話をすると顔がかわいくないなって思ったこともあるので(笑)。でも、そうでもないかもって発見して、泣いてもいいんじゃないかなって思うようになりました(笑)。
――見え方を気にして泣かないように頑張ってたけど、意外と大丈夫そうだ、と。
Liyuu:そう思います。1回泣いたから大丈夫(笑)。1回と無限しかないので。
――そもそも、なんで泣いちゃいそうになるんですか。
Liyuu:感動するから。自分は、ほんとはすごく泣きやすい人なので。みんなの前で、自分の気持ちを話すだけで、泣いちゃうんです。
――それは、応援してくれる人が聞いているから、ということですか。
Liyuu:そうですね。自分の気持ちを話す言葉って、あまり言う機会もないし、そこしかないから。普段もSNSに書いたりしないから、ちょっと恥ずかしいもありつつです。
――なるほど。でも自分の気持ちを伝えられる場所があって、それを聴いてくれる人がいるところで気持ちが動いて涙が出るって、よいことですよね。特に“Reply”を歌うときには、感謝の気持ちを伝えられる機会になるんじゃないですか。
Liyuu:“Reply”の歌詞の内容は、ほんとに自分がずっと思っていたことだけど、一度もみんなに伝えられていない言葉がいっぱい入っています。だから自分から見ても、すごく感動します。歌詞の中の《いつも泣いてばっかだよ》とかも、ずっと言えなくて、ほんとはみんなの前で自分の弱いところは話ししたくないというか、笑顔でいたいなって思うんだけど、我慢するとほんとに無表情になるので(笑)。それでクールなイメージがつきそうになりましたので、この機会でちゃんと伝わりますね。
――弱いところを見せたくなかったんですね。
Liyuu:見せたくないです。これは以前思っていたことで、最近は思ってないんですけど、できればステージでは完璧な感じにしたいなって思っていました。
――人に見られる、人に見せる自分は完璧なものでありたい。
Liyuu:そう。だから、泣かないように頑張ります。
このアルバムで、わたしのいろんな可能性を見つけてくれたら
――1stアルバムって人生に一度しか出せないもので、そういう意味でも大切な1枚になると思うんですけど、少し時間が経ったあとに振り返ったとき、この『Fo(u)r YuU』はLiyuuさんの中でどんな存在になっていると思いますか。
Liyuu:たぶん、すごく迷いながら作ったアルバムだなって思うかもしれないです。いろいろ、試したことがないことをやっているので。
――迷いながら作ったアルバムだけど、でき上がったものには迷いはない?
Liyuu:う~ん、正直迷うところもありますね。やっぱり“BLUE ROSE”や“Ambition”みたいな曲を歌うのはほんとに初めてなので。でき上がった曲は、「ほぉ、こういう感じになるんだ」「自分の思ったよりちょっといい感じ」って思いますけど、みんなが聴いてどういう感じなのかは、まだわからないです。
――2月11日には1stコンサートがありますが、来てくれる人にはどんな自分を見てほしいですか。
Liyuu:このアルバムだけを聴くと、想像とかするじゃないですか。Liyuuはこういう人、とか。でも、コンサートに来て、ほんとのLiyuuを知ってくれたらいいなと思います。
――そこでも、完璧な自分を見せたい?
Liyuu:はい。ステージで、用意してきたものを、ちゃんと伝えたいです。
――音楽活動も、その他の活動でもたくさんの仕事を頑張っている中で、今のLiyuuさんに頑張るパワーをくれるものってなんですか。
Liyuu:毎回頑張ったあとにできたものを見たとき、頑張ってよかったなって思います。曲とかダンスもイベントもそうだけど、結果を見て「やってきて良かったな」って思って、次も頑張ろうって思います。人からもらう感想も、すごい力になります。ファンの方が優しいから、まだそんなにできてないところも、「いいですよ」って言ってくれる人が多いから。ファンの方が言ってくれたことはすごく信じてますので。細かいところまで見て書いてくれてるので、信じてます。
――2021年は仕事を頑張った1年で、今年2022年はどんな1年にしたいですか。
Liyuu:なんか、でき上がった1年にしたいです。他の人から見て、「今輝いてるんですね」って思われるようになりたいと思います。今までは、「頑張ったね」って思ってくれた人が多いかもしれない。一生懸命な気持ちはみんなに届いたのかなって思うけど――まだできるかどうかわからないですけど、見てくれた人がグッとくるように、伝わったらいいなって思います。
――では最後に、大事な1stアルバムを受け取ってくれる方にメッセージをお願いします。
Liyuu:まずは、アルバムを手に入れてくれてありがとうございます。このアルバムで、わたしのいろんな可能性を見つけてくれたらいいなって思います。これからもいろんな可能性を一緒に探していきたいと思いますし、探しに行けたら嬉しいです。
取材・文=清水大輔 写真=北島明(SPUTNIK)
ヘアメイク=岩出奈緒
●Liyuu(りーゆう)
1997年、中国・上海生まれ。コスプレイヤーとしての活動を通して、ホリプロインターナショナルのスカウトを受け、2019年より日本での活動をスタート。歌手としては、2020年1月に1stシングル『Magic Words』でデビュー。TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』に、唐 可可役で出演。2022年に2月9日に1stアルバム『Fo(u)r YuU』をリリース、2月11日にはパシフィコ横浜国立大ホールにて、ワンマンライブを開催する。
Liyuu – ルルカワイマ (1st ALBUM「Fo(u)r YuU」収録)
Liyuu – Endless Vacation (1st ALBUM「Fo(u)r YuU」収録)
Liyuu First Concert 2022「Fo(u)r YuU」
2022年2月11日(金・祝)パシフィコ横浜国立大ホール
開場16:30/開演17:30
https://liyuu0109.com/topics/firstconcert2022
【LiyuuオフィシャルTwitter】https://twitter.com/liyu0109
【LiyuuオフィシャルInstagram】https://www.instagram.com/koi_liyuu/