おすすめしたい本の内容、ちゃんと説明できる? 紙1枚でできる「記憶に残る」読書法
公開日:2022/2/10
本が好きと言うと、よく「最近のオススメは?」「どんな内容なの?」という話に発展する。ごく自然な会話の流れだが、いざ聞かれると案外困ってしまう……という人も多いはず。最近読んだ本が数冊ならともかく、日々それなりの量を読んでいるとどうしても絞る時間をくださいと言いたくなる。そこから内容説明に入るとなると、さらに別のハードルが……。
『早く読めて、忘れない、思考力が深まる 「紙1枚!」読書法』(浅田すぐる/SBクリエイティブ)はそんな「伝えたいのに!」「たしかに読んだのに……」というもやもやを解消してくれる1冊。著者である浅田すぐる氏は、トヨタ自動車に入社後「紙1枚」仕事術を修得し、現在は独立して社会人教育のフィールドで研修や講演などを行ない活躍しているプロフェッショナル。本書は、この手法を読書に活かして効率よく深く本を読もうという本だ。
「紙1枚」で実践する読書法「1枚」フレームワークとは?
この本で紹介されている読書法は、簡単に言うと「紙1枚」の中に枠組みを作り、その枠を埋める形で進めていくというもの。使われる枠組みはたった1種類で、これを覚えておけばあらゆる思考整理に役立てることができるという。これならできそう――ということで、筆者も第2章で紹介されている「最近読んでよかった本は?」という内容で実践してみることにした。
このフレームワークで使用するのは、紙1枚と赤・青・緑のボールペンのみ。枠組みは緑色で縦8列、横4行(上2列のみ3行)に作り、左上に日付と内容、右上2マスに「Q?」「A?」、その下に「Why」「What」「How」の3つの質問を記入する。次はボールペンを青色に変え、「Q?」の欄に問いである「最近読んでよかった本は?」と書き、左端の行にその候補となる本を並べて、その右横に選んだ理由を書いていく。
ちなみに今回は枠をすべて埋めたが、候補となる本は少なくてもOK。「Q?」の答えになる可能性のあるものだけをセレクトしていく。あとは候補にさらなる3つの質問をし、該当する本にそれぞれ印をつける。
「人前でも話しやすそうな本は?」……○
「聞いてくれる人に有意義な本は?」……△
「うまくまとめられたら、成長につながると感じられる本は?」……□
印をつけたら、重なりの多かったものから「A?」を決める。筆者の場合は『旅鉄BOOKS039 ポツンと秘境駅 何もないから行ってみたい!』(旅と鉄道編集部/天夢人)に決まった。「有意義」「成長」という問いに若干悩んだが、紹介したい相手にとって、ということで答えを出した。ここまできたら、あとは3つの質問「Why」「What」「How」への答えを埋めていくだけ。
この作業をすることで改めて本と向き合うきっかけになり、筆者も「ああ、だから私はこの本が好きなのか」と妙に納得してしまった。そしてそれと同時に、次に「オススメの本は?」と聞かれた時の答えも手に入れることができた。「こんな表を作るのは面倒くさい」と感じる人がいるかもしれないが、こうして手を動かすことも重要で、これによって内容が着実に蓄積され、血肉となっていくとのこと。
本書にはほかにも「目的から本を選んで目的達成を目指す方法」「自分の選書の傾向を見直す方法」「難しい古典を身近なものにする方法」など様々なフレームワークが紹介されている。また、限られた時間の中で多くの本に触れるために、作品や作者ではなく読者(自分)中心の読書をする必要性・方法も説かれているので、ぜひ実践してみてほしい。
日々の読書をこうして紙1枚に出力することで、これから読む本のインプット、アウトプット、そして選び方に大きな差が生まれるはず。筆者もこの「紙1枚」をたくさんストックして、今後の会話に備えようと思う。
文=月乃雫