【時短読書で悩み解決】夢中になる生き方は、論理的に導ける。『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』
更新日:2022/2/17
ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(八木仁平/KADOKAWA)の書籍要約をお届けします。
この本を読んでほしいのはこんな人!
今の仕事がつまらないと感じている人
やりたいことが見つからず、転職を繰り返してしまう人
仕事探しや将来進む道に悩んでいる学生
3つのポイント
要点1
何がやりたいかわからないという人は、「好きなこと×得意なこと×大事なこと(価値観)」の公式に基づく自己理解メソッドで、論理的にやりたいことを導き出す。
要点2
短所を克服することは、自己否定につながる苦しい作業のため必要ない。大切なのは、短所と裏返しの長所を知り、それを活かす努力をすることだ。
要点3
やりたいことは運命的に存在しているわけではない。仮説でもいいので、今、一番やりたいことを決めて動き出し、試行錯誤しながら誰かに役にも立つ「本当にやりたいこと」に近づくことが重要だ。
▼プロフィール
八木仁平(やぎ じんぺい)
株式会社ジコリカイ代表取締役。1993年、高知県生まれ。早稲田大学商学部卒業。大学卒業後、フリーランスのブロガーとして生計を立てる。月100万円以上売り上げたものの、お金以外の働く目的を見失って鬱状態に。自分が本当にやりたいことを見つけるために、書籍を100冊以上読み、300万円を費やしてセミナーに参加し「自己理解」に取り組む。「1つ受けるだけでやりたいことが見つける講座を作りたい」という思いから、3ヶ月、10STEPでやりたいこと探しを終わらせる「自己理解プログラム」を提供。そのノウハウを書籍化した『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』は、累計22万部を突破。執筆やオンラインセミナーで、自己理解教育を広げる活動を行う。
「やりたいことは運命的に出会うもの」は誤解
自分のやりたいことがわからないという悩みを抱えている人もいるだろう。本書では、そんな人が自分の「やりたいこと」を見つけ、「やりたいこと」で成長し続ける方法を紹介する。
やりたいことは、直感ではなく「自己理解メソッド」で理論的に見出すことができる。まずは、やりたいこと探しを妨げる5つの誤解を知ってほしい。ひとつめは、やりたいことは一生続けられることでなければならないという思い込みだ。変化の多い時代、ずっと興味を持ち続けられることを探す必要はない。ふたつめは、やりたいことには運命的に出会うという誤解だ。やりたいことはどこかに存在するのではなく、自分で試行錯誤して育てるもの。趣味レベルでもまずはやりたいことを見つけることが大切だ。
やりたいことを見つけるためにたくさん行動しなければならないというのも間違いだ。大切なのは、数ある選択肢の中からやりたいことを見つける確かな選択基準を身につけること。そのために、自己理解が必要だ。そして、「どうすべきか?」という自分の外側にある他人軸ではなく、自分だけの軸を持つことで、変化の多い時代にやりたいことを見つけて行動することができる。
「好きなこと×得意なこと×大事なこと」でやりたいことが見つかる
「やりたいこと」を見つける自己理解メソッドで必要なのが、「好きなこと」「得意なこと」「大事なこと」の3つだ。やりたいことは、「好きなこと×得意なこと」という公式で見出せる。そこに「大事なこと」を掛け合わせると、「本当にやりたいこと」が発見できる。
「好きなこと」は、自分が情熱を持てる分野のことだ。もっと知りたいと感じることや、「これが仕事でいいの?」と思うほど、関わると面白いことを指す。「得意なこと」は、苦がなく、人より自然とうまくできること。相手の立場に立って考える、深く考えるなどの特性で、性格や才能とも言える。やりたいことは、情熱を持って取り組める「好きなこと(What=何)」を、「得意なやり方でやること(How=どうする)」の組み合わせで見つけられる。たとえば、好きな分野はファッションで、自分が楽しくできることがもの作りであれば、やりたいことは「ファッション関連のもの作りをすること」だ。
注意してほしいのは、「やりたいこと」と「なりたいもの」は違うということだ。なりたい職業を想定してやりたいことを探すのはおすすめしない。なぜなら、仕事のイメージに注目して失敗してしまうからだ。「YouTuberになりたい」と考えると、「多くの人に注目されているYouTuber」に対するあこがれが先行し、「企画」「撮影」「動画編集」など、注目を得るまでの地道な作業が苦になり挫折してしまう。職業が先行すると実現手段が限定され、ひとつの道が途絶えると諦めてしまうケースもある。職業ではなく「何がやりたいのか」をイメージすることで、やりたいことの実現に向けて、さまざまな方法でチャレンジすることができるのだ。
好きなことより先に得意なことを探すのがポイント
「好きなこと×得意なこと」で見出したやりたいことに、「大事なこと=価値観」を掛け合わせると、「本当にやりたいこと」がわかる。大事なこととは、自由に生きたい、熱中していきたい、人に優しく生きたいなどの自分の状態をあらわす価値観だ。それが自分の内側に向くと人生の目的が決まり、社会や他人など外側に向くと、仕事の目的がはっきりする。「好きなこと=なぜ仕事をするのか?」と、「得意なこと=何の仕事をするのか?」と、「大事なこと=なぜ仕事をするのか?」という、What・How・Whyの3要素で、本当にやりたいことが見つけられる。
本書の著者の場合は、「What=自己理解、How=体系立てて伝える、Why=人生に夢中になりたいし、なってほしい」という3つを掛け合わせることで、「人生に夢中になってほしいから、自己理解を体系立てて人に伝える」という働き方を見出した。この3つを明確にすれば、就活や転職活動の面接でも強い。「なぜこの業界なのか?」や「なぜこの会社なのか?」という質問に根拠を持って答えることができるからだ。
この自己理解メソッドを実践する上では、いくつかのルールがある。そのひとつが、「好きなこと」の前に「得意なこと」を見つけることだ。好きなことから見つけようとすると、お金の制約や、好きなことを仕事にできない理由を探してしまう。自分が得意で成果が出せることや、どんな場所でも使える長所を見つけて自信を持つことができれば、そんな思考のブレーキが外れやりたいことが自然と見つかる。
親や社会に与えられた「偽物の価値観」に要注意
まずは、大事なこと=自分の価値観を探っていこう。大切なのは、目標と価値観を区別すること。価値観は人生の方向を示すもので、目標は、そこに至るまでの進捗を知るチェックポイントだ。価値観を決めて、それを満たすための目標をクリアしていくことで、モチベーション高く仕事に取り組める。
人に与えられた「偽物の価値観」にも注意が必要だ。親や社会に「こう生きるべき」と植え付けられた考え方を、自分の価値観と勘違いしていないだろうか。「成長しないといけない」と親から言われ続けたために、自分にとって成長が大事だと勘違いしていた人もいた。自分の価値観が本物なのか見極めるためには、ひとつひとつの考え方に「これは~したい?」「これは~べき?」と問いかけよう。「べき」「しなきゃ」が当てはまるものは、他人からの期待に過ぎない。価値観は、「質問に答えて価値観キーワードをリストアップする」「価値観をマインドマップにまとめる」などの5つのワークで見出そう。
短所を克服する努力から長所を活かす努力へ
価値観や仕事の目的が確認できたら、次は「得意なこと」を見つけるステップだ。得意なことは、無意識にやってしまうクセのことだ。そう考えると短所しか見つからないと思う人もいるかもしれないが、短所は裏を返せば長所にもなる。短所を克服する努力は不要だ。短所を長所ととらえ、今の自分を活かす努力へと切りかえよう。「これまでの人生で充実していた経験は?」などの5つの質問から最低10個の長所を書き出して自分の「取扱説明書」を作った上で、「好きなこと」探しに取りかかろう。
好きなことは、自分が興味や好奇心を感じる分野だ。しかし、「好きなことを仕事にする」という考え方にはリスクがある。好きな分野に携わることを目指し、どんなことをするか考えずに仕事を選ぶと失敗するからだ。大切なのは、なぜそれが好きなのかも一緒に考えること。野球が好きなら、チームプレイが好き→チームで取り組む仕事、能力をコツコツと高めることが好き→技術を磨く仕事というように、仕事の内容を考えよう。「人の役に立つかどうか」という視点も不要だ。純粋に自分が好きなことを見つけ出し、どうやって仕事にするかは後で考えれば良い。「今お金を払ってでも勉強したいことはありますか?」など5つの質問で掘り下げるワークで、好きなことを見つけよう。
やりたいこと探しを早く終わらせて、夢中になれる人生を始めよう
3つの要素が揃ったら、本当にやりたいことを絞り込むワークに進もう。このステップで注意したいのは、やりたいことを先延ばしにしないこと。「やりたいことがないから、将来のためにとりあえず勉強しておこう」という考え方では、人生は動かない。仮説でもかまわないので、今、一番やりたいことを決めて動き、試行錯誤しながら本当にやりたいことに近づいていこう。
得意なこと×好きなことの公式で見出したやりたいことの中から、本当にやりたいことを選ぶためのフィルターが「仕事の目的」だ。やりたいことでお金を稼ぐために、どうやれば人に「ありがとう」と言ってもらえるかを考えよう。これが仕事の目的となり、大事なこと=自分の価値観を叶える。とはいえ、人は自分の欲求を捨てて誰かのために尽くし続けることはできない。まずは自分の欲求を満たすことで、自然と周りにも目が向き、自分事として考えられる範囲が増える。会社や世の中に対して価値観を満たすことが仕事の目的となり、自分の本当にやりたいことが導き出される。
自己理解によってやりたいことが見つかれば、世の中にあるその実現手段も見つかる。そして自己理解ができていれば、失敗や後悔もすべて学びに変えることができるのだ。成功とは、何か大きな目標を達成することではなく、自分らしく今を生きることだと著者は考える。一番楽しいのは、自己理解を終えた後の人生だ。できるだけ早くやりたいこと探しを終わらせて、自分の人生に夢中になってほしい。
文=川辺美希