【ベストセラーを要約!】心は科学的に鍛えられる『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』

ビジネス

更新日:2022/2/17

ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』(星 渉/KADOKAWA)の書籍要約をお届けします。

神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り
『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』(星 渉/KADOKAWA)

この本を読んでほしいのはこんな人!

・大きな夢があるのに、「自分には無理」と諦めている人
・自分の人生、何をやってもうまくいかないと感じている人
・打たれ弱く、失敗が怖くてチャレンジができない人

3つのポイント

要点1
人生で何をやってもうまく人と、そうではない人の違いは心の強さだ。強い心は、科学的に作ることができる。変化を妨害する脳を攻略してメンタルを鍛えれば、自分と現実を変えることが可能だ。

要点2
人生を思い通りに動かすために必要なのは、メンタル=自己評価を変えることだ。自己評価を、目標を実現した未来の自己評価に置き換えることで、脳が現実と自己評価のギャップを埋めようと行動を始める。

要点3
心が折れそうな出来事も乗り越える「神メンタル」の持ち主は、どんな出来事もポジティブに受け取る「反射」の能力が高い。「ラッキー」などの言葉を口癖にするなどの習慣で、反射は身につけられる。

▼プロフィール
星 渉(ほし わたる)
株式会社Rising Star代表取締役。1983年仙台市生まれ。大手損害保険会社で勤務するが、岩手県で東日本大震災時に被災。時間が有限であると実感し「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決意、2011年に起業。「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」をコンセプトに、ビジネスコンサルタント、作家として活動。講演会、勉強会には10,000人以上が参加し、手がけたビジネスプロデュース事例や育成した起業家は623件にのぼる。ゼロの状態から起業する経営者の月収を6カ月以内に最低100万円以上に至らせる成功率は91.3%。著書に『99.9%は幸せの素人』『神トーーク』(ともにKADOKAWA)など。

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心が強い人の人生は何事もうまくいく

 世の中には、「頑張っても結果が出ない人」と「何をやってもうまくいく人」がいる。両者の違いは、心の強さだ。そして強い心は、科学的に作ることができる。

 人間は、損失の痛みを利益の2倍強く感じてしまう「損失回避の法則」や、すでに手にしているものの価値を高く見積もる「保有効果」などの変化を嫌がる脳の性質ゆえに、なかなか変わることができない。しかし、このような脳の仕組みを知り対処することで、変われない自分から脱却できる。

 こうなりたいという未来を実現できるかどうかは、「現実(未来)=①目的地×②手段×③メンタル」の公式で決まる。まず「目的地」について考えると、多くの人が自分の目的地を見誤っている。「ここ以外ない」と思うほど明確に目的地を設定すること、そして目的地から常に目をそらさないことが大切だ。ふたつめの「手段」は、無理に探す必要はない。目的地を具体的に定め、メンタルを強くすれば手段は自然と導き出されるからだ。そして3つめの「メンタル」が、この公式でもっとも重要だ。メンタルとは、心であり「自己評価」である。そして、それを決める思考や感情は脳が作り出す。実現したい未来を導くためには、脳の仕組みを攻略して、自己評価を変える必要があるのだ。

変化を嫌う脳は、科学的に攻略できる

 しかし、変わることを邪魔するのは自分自身の脳だ。脳が重視するのは「生存すること」であるため、今、生きている状態を脅かす変化を嫌う。この「心理的ホメオスタシス」という作用が、チャレンジに対して不安を抱かせたり、自分にはできない理由を探させたりしてしまう。まずはこの作用の存在を知り、不安感などの気持ちの揺れに冷静に対処することが必要だ。

 また、人間の脳には、多くの情報の中から自分に必要な情報を選んで認識する「カラーバス効果」という作用がある。脳は今の自分にふさわしい情報を認識するようにできており、今の自己評価に基づいて、必要な機会や情報を察知する。そのため、メンタル=自己評価を、なりたい自分の自己評価に変えれば、目的地にたどり着くための手段が自然と見つかるのだ。

実現したいことの画像を見て脳に必要な情報だと思い込ませる

 まずは、「現実(未来)=①目的地×②手段×③メンタル」の公式にある「目的地」を設定してほしい。「未来体験シート」に、5年後、3年後、1年後、半年後に実現したいことを書き込もう。ポイントは、完了形で書くこと、測定可能な形で書くこと、制限をかけずに書くこと。次に、それぞれをなぜ実現したいのかを明確にしよう。やる理由は、原動力のもととなるからだ。

 次に、実現したいことをビジュアル化するワークに進もう。視覚に訴えることで脳が刺激を受け、目的地に向けた行動を起こしたくなる。5年後、3年後、1年後、半年後に実現したいことのうち、やる理由が明確なものに関連する画像を30枚集めて、1日1回眺めてほしい。脳に、実現したいことを生きるために必要な情報だと思い込ませることで、目的地から目を逸らさずにいられる。

未来の自己評価で今を生きることで、現実が変わる

 目的地に近づくチャンスが目の前に現れても、「それはできない」という自己評価があれば、行動に移せない。反対に「そこに辿り着ける自分である」という自己評価に書き換えれば、自然と行動が伴う。まず、自己評価の現状を把握するために、「あなたはどんな人ですか?」という質問に最低50個を答えてほしい。さらに、それが目的地に到達したときの自分と同じ自己評価であるかチェックしよう。

 たとえば、「本を出版したい」という目標を持つ人の1年後の自己評価は、「本を出した人である」「作家である」などだ。今、そうなっていなければ、今の自己評価をそのように書き換えよう。すると脳が、自己評価と現状のギャップを埋めるために必要な情報を集め始める。その結果、目標実現のために必要な人脈や情報が集まり、行動も変わり、現実が自己評価に追いついてくる。「今、この瞬間」ではなく、「未来の自分の自己評価」で今を生きることで、現実が変わるのだ。

 未来体験シートで書いた目的地に到達した時点で、あなたが自分をどんな人だと思っているか想像して、書き出してみよう。その作業によって抱く不安や期待感は、脳が刺激を受けてそれに反応している証で、変化の始まりだ。

 長い時間でできあがった自己評価を変えることは難しいが、一瞬で置き換える方法もある。それは、未来の自己評価を体験することだ。たとえば著者は、未来の自己評価のひとつである、目標を達成したら住みたいマンションの内見をした。その後、住んでいる狭いアパートに帰ると現実に対して強烈な違和感を覚え、結果的に、会社の業績を何倍にも伸ばすことができた。

 体験で自己評価を書き換えるもうひとつの方法が、インタビューワークだ。2人1組で、目標を実現した自分になりきってインタビューを受ける。やりたいことを実現した自分の姿を脳に保存することで、未来の自己評価に従った選択や行動ができるようになるのだ。

「できる」という思い込みを強化するアファメーションの方法

 未来の自分で今を生きることで現実を変える公式は、「自分は必ず実現できる」という自信で強化できる。長い間、人類が1マイルを4分以内で走破するのは無理だと言われていたが、それをひとりが実現すると、短期間で4分を切る選手が23人も現れたというエピソードがある。この事実が象徴するように、思い込みは人生の目標に大きな影響を与える。実現を妨げる悪い込みがある一方で、意図的に思い込みを良い方向へと変換すれば、現実も変えることができるのだ。

 思い込みの根本である考え方を変える上で有効なのが、アファメーションだ。アファメーションとは、肯定的な言葉で宣言すること。効果を高めるポイントは、現在完了形の言葉で宣言をする、臨場感が伴うイメージを作り上げる、朝と夜、30秒のアファメーションを繰り返すことなど。アファメーションの内容が重要と脳に認識させるために、毎日、それが実現するまで繰り返そう。続けるためには、今ある習慣に付け加える、PCのパスワードをアファメーションの言葉にするという方法が有効だ。

不安や緊張をコントロールできる「神メンタル」を手にする方法

 変化を妨げる、不安や緊張などの負の感情にも対処が必要だ。まず大切なのは、不安や緊張を感じている自分を認めること。悩みを紙に書き出すことや、自分の認知活動を客観的視点から理解してコントロールする「メタ認知」を活用するのも有効だ。悩みを話す自分とアドバイスを与える自分の会話を紙に書き出す「紙面上の会話」や、鏡に映る自分に話しかけるトレーニングで、メタ認知の力を養える。

「自信のなさ」も攻略しよう。大小問わず、自分で「やる」と決めたことを「できた」という経験を重ねることで、自己肯定感が強化される。それが自分への興味や自分を愛すること、そして「この未来を自分なら実現できるはずだ」という思いにつながる。未来に対する自信を作り出すことができれば、目的地に到達するために必要なことに意欲的に取り組めるようになる。

心が折れる出来事も「ラッキー」と感じる反射を身に着ける

 人生を変えるために行動を起こしていくと、心が折れるような出来事にも遭遇する。それを乗り越える「神メンタル」を持つ人こそが、人生を思い通りに動かせる。神メンタルを持つ人にあるのが「反射」だ。自分の身に起きたどんな出来事も、反射的に良い出来事と捉えられる。たとえば、アンチから批判を浴びても、「批判されてこそ一人前だ」とポジティブに受け止めることができるのだ。

 このように、起きたことに意味づけを行うことを心理学で「フレーミング」と呼ぶ。すべての出来事に良いフレーミングを行う方法は、どんな出来事にも「ラッキー」「ツイてる」などのポジティブな言葉を口にすることだ。すると脳がそれをラッキーな出来事と受け取り、ラッキーな理由を探し始める。口癖にするため、ひとつの言葉を決めて、毎日、何十回、何百回と習慣的に口にしよう。

 思い通りに生きるための公式には、落とし穴もある。目的地に到達した後も公式をそのままにしておくと、次のステップへと動くことができないからだ。目的地に到達した後は、次の目的地を設定し、手段や自己評価を更新していくことが重要だ。

 そして、本書で紹介したプログラムに取り組む上で欠かせないのは、実現するまでやり続けることだ。実現するまでやり続ければ、失敗はしない。ただ、方法を間違えば、努力は裏切るということも忘れてはいけない。自分自身の幸せの軸から目をそらさずに、目指すべき現実を手にしてほしい。

文=川辺美希